聞き流しラボby kufu-yaWebテキストNEW
中小企業診断士 1次試験

7科目を、聞き流しで一周する。

企業経営理論から中小企業政策まで、1次試験の論点を科目別の講義動画にまとめています。過去問の解説も1問ずつそろえています。

科目別の講義動画過去問完全解説ファイナルペーパーメンバーシップ
診断士 聞き流しラボ

環境関連法規

運営管理 第23回

運営管理・店舗管理・立地 00810分37秒2026年3月1日公開

「法律の名前や専門用語がずらっと並んで気おくれしているとしたら、少しリラックスして聞いてみてください」。動画はこんな語りかけから始まります。このページでは動画の流れにそって、環境基本法と循環型社会形成推進基本法、拡大生産者責任と各種リサイクル法、カーボンフットプリントとLCA、ISO14001とエコアクション21、そして改正省エネ法までをまとめました。まず動画を聞いて、あとからここで復習するのがおすすめです。

環境関連法規は「暗記の山」ではなく、一本の流れ

動画は、法律の名前や専門用語がずらっと並んで気おくれしている人への語りかけから始まります。「少しリラックスして聞いてみてください」。今回のテーマは環境関連法規。法律の名前が多くて身構えてしまう分野ですが、動画は「丸暗記ではなく、なぜそのルールがあるのかを一緒に紐解こう」と呼びかけます。流れは次のとおりです。

  • 環境基本法と循環型社会形成推進基本法:土台となる法律と、ごみの扱いの優先順位。
  • 拡大生産者責任と各種リサイクル法:作った企業が廃棄の段階まで責任を持つ。
  • カーボンフットプリントとLCA:環境への負荷を数字で見える化する。
  • ISO14001とエコアクション21:見える化した負荷を、仕組みとして管理する。
  • 省エネ法:試験で最も狙われやすい、対象事業者の数字と義務。
環境基本法循環型社会形成推進基本法(優先順位と責任分担を定める)容器包装リサイクル法家電リサイクル法小型家電リサイクル法食品リサイクル法建設リサイクル法自動車リサイクル法物品ごとの個別法(拡大生産者責任を具体化)
基本法から個別法へ。大きな枠組みから順に、ツリーで覚えます。

土台は2つの基本法、そして処理の優先順位

すべての基本になるのが環境基本法です。環境保全について基本理念を定め、国・地方公共団体・事業者・国民の責務を明らかにした法律です(第1条)。その下に、廃棄物管理の文脈で特に重要な循環型社会形成推進基本法(循環基本法)があります。目指す循環型社会の姿を示し、国・事業者・国民の役割分担を決めています。

循環基本法で絶対に押さえたいのが、処理の優先順位です。「なんとなくエコにしよう」ではなく、厳格な順番が決まっています。

1発生抑制(リデュース)2再使用(リユース)3再生利用(リサイクル)4熱回収5適正処分上の3つ(青)が3R。上から順に検討する
ごみ問題の優先順位。できるだけ上の段で解決します。

発生抑制はリデュース、再使用はリユース、再生利用はリサイクル。この3つの頭文字が3Rです。3Rでも対応できないものは、燃やして熱を回収し(熱回収)、それでも無理なら最後の手段として適正に処分します。順番を守ることが求められている、というのが動画の説明です。

試験の注目点:順番と、5段階の区別

5段階のうち、3Rは上位の3つだけで、熱回収と適正処分は3Rに入りません。「熱回収」はリサイクルとは別の段階、という点が引っかけになりやすいところです。

(補足:動画にない話です。条文では、発生抑制は第5条、再使用→再生利用→熱回収→処分の順位は第7条に書かれています。ただし第7条には、技術的・経済的に可能な範囲で行うこと、また、順位どおりにしないほうが環境負荷の低減に有効だと認められるときは、そちらを考慮することという但し書きがあります。順番は絶対の鉄則ではなく、原則という位置づけです。)

排出者責任と、パラダイムシフトの「拡大生産者責任」

もう1つ、責任分担の面で欠かせないキーワードが拡大生産者責任です。動画はこれを「パラダイムシフトとも言える原則」と紹介します。これまでは、ごみを出した人(排出者)の責任を明確にするのが中心でした。拡大生産者責任は、ものを作る生産者の責任を、製造や流通の段階だけでなく、廃棄物処理の段階にまで広げた考え方です。

作って売っておしまいじゃなくて、生産者が廃棄の段階まで責任を持つ、ということですね。

そのとおりです。だからこそ、対象となる物ごとに処理の難しさが違うので、個別の物品に合わせたリサイクル法が作られました。

(補足:環境省の白書では、拡大生産者責任を「生産者が、製品が使用され廃棄された後も、適切なリユース・リサイクルや処分に、物理的または財政的な一定の責任を負う」考え方と説明しています。これにより、廃棄されにくく、リユース・リサイクルしやすい製品を作る動機づけにするねらいです。循環基本法は、排出者責任と拡大生産者責任の2つを基本理念としています。)

動画が挙げた個別のリサイクル法は6本です。表に、それぞれのねらいをまとめました。

法律ねらい(条文の目的より)
容器包装リサイクル法容器包装廃棄物の排出抑制と、分別収集・再商品化の促進
家電リサイクル法特定の家庭用機器の再商品化(下の補足を参照)
小型家電リサイクル法使用済み小型電子機器等に含まれる有用な金属などの回収・再資源化
食品リサイクル法食品廃棄物等の発生抑制・減量と、食品循環資源の再生利用・熱回収
建設リサイクル法特定の建設資材の分別解体と再資源化。解体工事業者は登録制
自動車リサイクル法自動車製造業者等・関連事業者による、使用済み自動車の引取りと再資源化

(補足:動画にない話です。家電リサイクル法の対象は、エアコン、テレビ(ブラウン管式・液晶式・有機EL式・プラズマ式)、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機の4区分です。名前の似たプラスチック資源循環法は、プラスチック使用製品の使用の合理化、市町村による再商品化、事業者による自主回収・再資源化を進める別の法律です。さらに廃棄物処理法は、事業者が事業活動で生じた廃棄物を自らの責任で適正に処理する義務を定めています。)

環境負荷を数字で見える化:カーボンフットプリントとLCA

責任が広がると、企業は自社の製品がどれくらい環境に負荷をかけているかを、正確につかむ必要が出てきます。そこで出てくるのがカーボンフットプリント(CFP)です。製品の原材料調達から、製造、流通、使用、廃棄・リサイクルに至るライフサイクル全体で排出された温室効果ガスを、CO2排出量に換算して分かりやすく表示する仕組みです。全工程の温室効果ガスをCO2に直すので、製品どうしを比較しやすくなります。

これを数字にするための、より専門的な手法がLCA(ライフサイクルアセスメント)です。製品の原材料の入手から製造、使用、処分に至るすべての段階で要する環境負荷を、定量化します。次の4つのステップで行われます。

原材料製造使用廃棄・再生この全体が調べる範囲(CFPもLCAの考え方で算定)1目的・調査範囲の設定何のために、どこまで調べるか2インベントリ分析インプットとアウトプットを表にする3影響評価環境への影響の大きさを評価する4解釈結果を読み解いて改善に使う
4ステップの順番と、インベントリ分析の中身(黄色)が試験で問われます。

実務でいちばん理解しておきたいのは、インベントリ分析だと思います。具体的には何をするんですか。

システムのどの段階で、どのようなものがどのくらい消費され、どの程度の環境負荷物質が排出されたかを、定量的につかむ作業です。調査範囲の中で、インプットとアウトプットのデータを把握して、表にまとめます。

原材料やエネルギーといったインプットと、製品や環境負荷といったアウトプットを、徹底的に洗い出して一覧表にするんですね。

はい。それで環境負荷が見える化できます。

(補足:動画にない話です。製品のカーボンフットプリントに関する国際規格にISO14067があり、LCAの規格であるISO14040・14044に基づいています。)

試験の注目点:4ステップの順番

「目的及び調査範囲の設定」→「インベントリ分析」→「影響評価」→「解釈」の順です。インベントリ分析は、環境への影響を評価する段階ではなく、インプットとアウトプットを数字で集める段階です。影響の大きさを評価するのは、その次の影響評価です。

見える化した後は「仕組み」で管理:ISO14001とエコアクション21

環境負荷が見えたら、次はそれをどうマネジメントしていくかです。ここで出番になるのがISO14000シリーズです。国際標準化機構(ISO)が定める環境マネジメント関連の国際規格で、その中心になるのが、環境マネジメントシステム(EMS)を定めたISO14001です。

ただ、ISO14001は大企業ならともかく、あなたが将来サポートする中小事業者には、少しハードルが高く感じられます。そこで重要になるのが、環境省が策定した日本独自の仕組み、エコアクション21です。ISO14001をベースにしつつ、中小事業者でも環境配慮の取組みを進められるように設計されています。

ISO14001エコアクション21
定めた主体国際標準化機構(ISO)環境省
位置づけEMSの国際規格ISO14001をベースにした中小事業者向けの仕組み
特徴EMSの要求事項を定めるEMS・環境パフォーマンス評価・環境報告を1つに統合

エコアクション21の特筆すべき点は、環境マネジメントシステム、環境パフォーマンス評価、環境報告の3つが統合されていることです。取り組んだ結果をレポートにまとめて公表できるように工夫されています。動画はこのレポートを「環境活動レポート」と呼び、「この統合されている点と環境活動レポートというキーワードは確実に押さえたい」と強調します。

(補足:「環境活動レポート」は、2004年版・2009年版のガイドラインでの呼び方です。現在の環境省の説明では、このレポートは「環境経営レポート」とされています。試験問題が旧称で出題されても同じものを指しますので、両方の名前を覚えておくと安心です。)

試験で最も狙われる、改正省エネ法

ここからは、試験で非常によく狙われる省エネ法です。正式名称は「エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律」。ポイントは「非化石エネルギー」という言葉が入っていることです。工場等、輸送、建築物、機械器具等の4つの分野について、省エネルギーのための措置を定める法律です(第1条)。

(補足:この名称は令和5年4月1日施行の改正で付いたもので、改正前は「エネルギーの使用の合理化等に関する法律」でした。動画は「令和4年度の法改正」と言っていますが、改正法は令和4年に成立し、施行が令和5年4月1日です。)

この法律で一番のポイントが、規制の対象となる事業者の線引きです。事業者全体の1年間のエネルギー使用量が、原油換算で1,500kL以上の事業者が対象で、このような事業者を特定事業者といいます(法第7条、施行令第2条)。そして試験の引っかけになりやすいのが、フランチャイズチェーンの扱いです。

フランチャイズ本部加盟店A加盟店B加盟店C本部+全加盟店の使用量を合計(店舗ごとではなくチェーン全体)原油換算で年度1,500kL以上→ 本部が特定連鎖化事業者に指定される
加盟店の分も本部の判定に合算される、というのがポイントです。

店舗ごとに計算するのか、チェーン全体で計算するのか、という話ですね。

フランチャイズチェーンは、個別の店舗ではなく、チェーン全体のエネルギー使用量を合計して、1,500kL以上になれば対象になります。

チェーン全体で計算するから、本部がまとめて責任を持つ、ということですね。

そうです。企業単位でまとめて提出する必要がありますし、フランチャイズならチェーン本部がまとめて書類を提出します。

(補足:条文では、フランチャイズ本部を連鎖化事業者といい、本部の工場等と加盟店の当該チェーンに係る工場等のエネルギー使用量の合計が1,500kL以上なら、特定連鎖化事業者に指定されます(第19条)。)

対象になると、次の義務が生じます。

義務内容
書類の提出中長期計画書と定期報告書を、企業単位で提出する
体制の整備エネルギー管理統括者と、それを補佐するエネルギー管理企画推進者を選任する
努力目標中長期的にみて、エネルギー消費原単位を年平均1%以上低減する

動画では、提出先を「所轄の経済産業局」と説明します。条文上の提出先は主務大臣(経済産業大臣と事業所管大臣)です(第15条・第16条)。実務では、経済産業大臣宛の書類は、事業者の主たる事務所の所在地を管轄する経済産業局長宛に出します。

体制の面では、動画は「エネルギー管理統括者と、それを補佐するエネルギー管理者」と言っていますが、統括者を補佐するのはエネルギー管理企画推進者(第9条)で、その後の「統括者と推進者の2人を選任する」という説明と合っています。「エネルギー管理者」は、これとは別の、工場等ごとの義務です。第一種特定事業者が、年度3,000kL以上の第一種エネルギー管理指定工場等(製造業など政令で定める業種のもの。専ら事務所用のものは政令で定めるものが除かれ、それ以外の業種の工場等も対象外)ごとに、エネルギー管理士免状を持つ人から選任する者を指します(法第10条・第11条、施行令第3条)。名前が似ているので、試験では選択肢の言い換えに注意が必要です。

目標は絶対量ではなく原単位で、「中長期的にみて年平均1%以上低減」が努力目標です。単年度で必ず1%ではなく、毎年の1%を目指して継続的に効率化していく、というイメージです。

もう1つ、動画が強調するのが、非化石エネルギーの扱いが変わったことです。改正前は、化石エネルギーの使用を合理化する法律で、太陽光由来の電気や、バイオマス、水素・アンモニアなどの非化石エネルギーは、合理化の対象外でした。改正で、非化石エネルギーを含む全てのエネルギーが対象になりました。動画は、廃棄物から回収したエネルギーや、風力・太陽光といったクリーンなエネルギーも、「エネルギーそのものの需要を合理化して無駄をなくす対象になった」と説明します。

(補足:条文の第2条では、エネルギーは「化石燃料、非化石燃料、熱、電気」と定義され、非化石エネルギーは非化石燃料・非化石熱・非化石電気に整理されています。省エネの努力と、非化石エネルギーへの転換の2本立てだと押さえてください。)

試験の注目点:数字と線引き

  • 特定事業者の線引きは原油換算で年度1,500kL以上。
  • フランチャイズはチェーン全体で合算し、本部が提出する。
  • 選任するのは統括者と、補佐する企画推進者の2人。
  • 努力目標は年平均1%以上のエネルギー消費原単位の低減。
  • 改正で、非化石エネルギーも合理化の対象に加わった。

まとめ:ルールは「企業が生き残るための基準」

動画は最後に、今日の流れを振り返ります。環境基本法から始まり、拡大生産者責任をベースにした各種リサイクル法、カーボンフットプリントやLCAのインベントリ分析による定量的な見える化、中小企業の味方になるエコアクション21、そして非化石エネルギーまで含めた改正省エネ法。これらは単なる試験用の暗記項目ではなく、企業が市場で生き残るための基準そのものだ、と動画は結びます。

テーマ覚えるポイント
循環基本法発生抑制→再使用→再生利用→熱回収→適正処分。3Rは上位3つ
拡大生産者責任生産者の責任を廃棄物処理の段階まで拡大。個別のリサイクル法の考え方
CFP・LCAライフサイクル全体をCO2換算。LCAは4ステップ、インベントリ分析はインプット・アウトプットの表
エコアクション21環境省策定。EMS・環境パフォーマンス評価・環境報告を統合。結果を公表(旧称・環境活動レポート)
省エネ法1,500kL以上、フランチャイズは合算、統括者+企画推進者、年平均1%、非化石も対象

最後に、動画から1つの問いかけが出されます。拡大生産者責任によって、作る企業が最終的な廃棄の段階まで責任を負うのが当たり前になりました。もしあなたが将来、中小企業のコンサルタントとして新製品の開発に関わるとしたら、廃棄段階での環境負荷をゼロにするために、最初の設計図やビジネスモデルそのものを、どう根本からデザインし直すべきか。製品のライフサイクル全体を見据えたビジネスの再構築を、現場で使うイメージを持って考えてみてください。

LISTEN

動画で聞く

NEXT

続けて読む