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中小企業診断士 1次試験

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新QC七つ道具『言語データを武器にする強力な思考ツール群』

運営管理 第27回

運営管理・設備・品質管理 0047分13秒2026年3月1日公開

「顧客満足度がなんとなく下がっている」「チームの新しい企画がどうもまとまらない」。数字だけではなかなか捉えきれない、こんな混沌とした状況に、どう筋道を通すか。動画はこの問いかけから始まります。このページでは動画の流れにそって、新QC七つ道具の7つの手法と、言語データ・数値データの違い、旧QC七つ道具との関係を、資料による違いの補足つきでまとめました。まず動画を聞いて、あとからここで復習するのがおすすめです。

数字だけでは捉えきれない問題に、筋道をつける

動画は、品質管理の中でも少し特殊な話題から始まります。言葉やアイデアなど、数字だけではなかなか捉えきれない複雑な問題を整理する、強力な思考ツール群です。例に挙がるのは「顧客満足度がなんとなく下がっている」「チームの新しい企画がどうもまとまらない」といった混沌とした状況。そこに1本の筋道を通すための道具が、新QC七つ道具です。

従来のQC七つ道具(旧QC七つ道具)が、主に製造現場の数値データを扱うのに対し、新QC七つ道具は、企画や開発の部門で飛び交う言語データを武器に変えるための道具立てだと説明されます。言語データとは、意見・アイデア・要望・課題のように、言葉で表された情報のことです。

旧QC七つ道具数値データ新QC七つ道具言語データパレート図特性要因図ヒストグラム散布図チェックシート管理図層別親和図法連関図法系統図法マトリックス図法アローダイアグラム法PDPC法マトリックス・データ解析法新QC七つ道具で数値データを扱うのはマトリックス・データ解析法だけ(動画の指摘)
旧は数値、新は言語。ただしマトリックス・データ解析法だけは数値データです。

動画は7つの手法を1つずつ見ていきます。混沌とした情報から構造を見つけ出し、具体的なアクションにつなげる流れを体感してほしい、というのがねらいです。

覚え方は「新連携アロマでP」

7つもあると覚えにくい。そこで動画が紹介するのが、頭文字の語呂合わせ「新連携アロマでP」です。

  • シ=親和図法
  • レ=連関図法
  • ケ=系統図法
  • アロ=アローダイアグラム法
  • マ=マトリックス図法
  • デ=マトリックス・データ解析法
  • P=PDPC法

この順番で見ていくと、各手法がどんな目的で使われるのか、流れがつかみやすいと動画は言います。

(補足:資料による違いです。7手法の順番と名前は資料で違います。JIS Q 9024:2003の参考注記は「マトリックス・データ解析、連関図、系統図、マトリックス図、親和図、アローダイアグラム、PDPC」の順(規格の項目順)です。英語文献が引く水野滋の列挙は「連関図、親和図、系統図、マトリックス図、マトリックス・データ解析、PDPC、アロー」、解説サイトや検定テキストは「親和図法、連関図法、系統図法、マトリックス図法、アロー、PDPC法、マトリックス・データ解析法」と並べます。順番に決まりはなく、語呂合わせは動画の並びに合わせたものです。「連関図法」を「関係図法」、「アローダイアグラム」を「アロー・ダイヤグラム」と書く解説もありますが、同じ手法です。なお、マトリックス・データ解析を含めて7つとする点は、JISの注記も動画も同じです。)

親和図法:ごちゃごちゃの意見を、似たもの同士でまとめる

最初は親和図法。動画の説明では、散らばった言語データを、言葉の持つ意味の親和性、つまり似たもの同士でグループ分けしていく手法です。ブレインストーミングで出た大量の意見を整理・分類して体系化し、構造として見えるようにするときに役立ちます。

ただ分類するだけなら、ふつうの仕分けと同じではありませんか。

ねらいは、混沌とした情報の中から構造を見つけ出すことです。似たものを集めて、グループごとに共通の題をつけていくと、バラバラだった意見が少数のまとまりに整理されて、全体の姿が見えてきます。

(補足:動画にない話です。JIS Q 9024では、親和図は「混沌とした問題について、事実・意見・発想を言語データでとらえ、相互の親和性によって統合して、解決すべき問題を明確に表した図」とされます。作り方は、課題を設定し、原始情報を集めて言語データにし、類似した2つを新しい言語データに作りかえ、類似性のないものはそのままにして、これを繰り返す流れです。解説サイトには「KJ法とも呼ばれる」という説明があり、KJ法は文化人類学者の川喜田二郎の考案とされます。)

連関図法:絡み合った原因と結果を、矢印でほどく

次は連関図法。名前のとおり「関係の図」で、原因と結果、あるいは目的と手段などが複雑に絡み合った問題について、関係性を論理的につないでいく手法です。因果関係を整理することで問題の構造そのものが明らかになり、解決の糸口を見つけられる、と動画は説明します。

親和図法:似た意見をグループにまとめる意見意見意見意見意見グループA(題をつける)グループB(題をつける)問題の構造が見えてくる連関図法:原因と結果の絡み合いを矢印でつなぐ原因ア原因イ原因ウ原因エ問題(結果)赤=絞り込んだ主要原因(色づけして目立たせる)
親和図法は『まとめる』図、連関図法は『因果をつなぐ』図です(図は説明用の例)。

(補足:JIS Q 9024の手順では、問題を用紙の中央に書き、1次原因を周りに置き、2次原因、3次原因と掘り下げて因果関係を矢印で結びます。そのあと因果関係を確認して原因を足したり直したりし、主要原因を絞り込んで色づけします。動画は「目的と手段」にも触れていますが、目的から手段を枝分かれさせる役目は、次の系統図法のほうです。)

連関図と系統図、どちらも矢印や枝でつなぎますよね。見分け方はありますか。

連関図は、原因と結果が複雑に絡み合っている問題で、因果のつながりをつかむ図です。次に出てくる系統図は、1つの目的から手段を枝分かれさせて展開する図。絡み合いを読み解くのが連関図、分解して具体化するのが系統図、と覚えると区別しやすいです。

系統図法:目的を、実行できる手段まで分解する

系統図法は、目的を達成するための具体的な手段を、どんどん掘り下げていく手法です。目的と手段を多段階に展開して系統立てることで、対策を整理します。大きな目標を、だんだん小さなタスクに分解していくイメージです。目的と手段の連鎖をツリー状に描いていくと、最適な解決策が具体的に見つかる、と動画は言います。

目的1次手段2次手段(具体策)クレームを減らしたい受注ミス対策説明の改善入力を二重確認注文書式の見直し説明書を平易に問い合わせ窓口実行できる手段まで掘り下げたら完成
目的から手段へ、枝分かれさせて掘り下げます(図は説明用の例)。

(補足:JIS Q 9024の手順は、問題を用紙の左端中央に書き、第1次手段をその右に列挙し、その1次手段を第2次の目的として第2次手段を右に出す、という繰り返しです。具体的に実行できる手段が得られるまで多段階に展開し、最後に上位の目的と手段の関係や、抜け落ちがないかを確認します。マトリックス図と組み合わせて、手段のウェート付けに使うこともあるとされます。)

マトリックス図法:2つの要素を行と列に置いて、関係を見る

マトリックス図法は、行列の形を使う手法です。主に2つの要素を行と列に置き、その交点に、対応関係があるかないか、その度合いを示して、問題点を整理します。複数の視点から物事を評価して、着目点を明確にできるのが利点だと動画は説明します。

対策案効果手間
案A◎△
案B○◎
案C△○

(上の表は説明用の例です。行に対策案、列に評価の観点を置き、交点に◎○△を書き込むと、どの案がどの観点に強いかが一目で分かります。)

(補足:JIS Q 9024では「行に属する要素と列に属する要素によって二元的配置にした図」とされ、作り方は、課題を決め、行と列の要素を決め、マトリックスの型を選び、交点に関連の有無・度合いを書いて、着眼点から結論を得る流れです。テーマ選びや、対策案の絞り込みを支える技法としても挙げられています。)

アローダイアグラム法:作業を矢印でつないで日程を管理する

アローダイアグラム法は矢印を使う図で、複雑なプロジェクトで、各作業の関連性や日程をネットワーク図で示し、効果的な工程管理を行うための方法です。聞き手が「プロジェクトの工程管理で出てくるPERT図と似ていますか」と尋ね、講師は「全く同じものと考えていただいて大丈夫」と答えます。以前、生産計画のテーマで触れたPERTで使われる手法が、まさにこれに当たる、という説明です。

(補足:「全く同じ」は少し単純化した言い方です。JIS Q 9024は、アローダイアグラムを「日程計画を表すために矢線を用いた図」とし、PERTと呼ばれる日程計画・管理の技法で使われる、と書いています。つまりPERTは技法、アローダイアグラムはそこで使う図です。JIS Z 8141は、各作業を矢線で表し、作業間の先行関係に従って結合し、開始と完了のノードを加えたネットワーク図と定義します。最早・最遅の日程や余裕時間、クリティカルパスの計算は別の講義ページ(PERT・CPM)で扱っているので、ここでは「作業の順序と日程を矢線で表す図」と押さえれば十分です。)

マトリックス・データ解析法:唯一、数値データを扱う

動画が「ここがポイント」と強調するのが、この手法です。マップ上に2つ以上のデータを配置(マッピング)して、違いや傾向を分析します。新QC七つ道具は主に言語データを扱うものがほとんどですが、この手法だけは数値データを扱う。多変量解析の一種と考えるとよい、と動画は言います。

言語データで整理したものを、今度は数値で裏付ける、という使い方もできそうですね。

そのとおりです。名前にマトリックスとつく手法でも、マトリックス図法は言語データの関係を整理する図、マトリックス・データ解析法は数値データを解析する手法で、中身はまったく別物です。

(補足:JIS Q 9024では、行列に配置した数値データを解析する多変量解析の一手法で、主成分分析とも呼ばれることがある、とされます。大量の数値データから項目を集約し、評価項目間の差を明確に表すために使います。手順は、平均値と標準偏差、相関係数、固有値、固有ベクトルと因子負荷量、主成分得点を計算し、得点の散らばりをグラフにする流れです。資料による違いとして、JISは「新QC七つ道具」の注記に含めつつ、解説の置き場所は言語データ編ではなく数値データ編です。「新QC七つ道具=言語データ」は大づかみの整理で、この1つだけが例外、と覚えておくと整合します。)

PDPC法:計画の途中の「もしも」を先に決めておく

最後はPDPC法。動画では「プロセス・デシジョン・プログラム・チャート」の略で、計画の段階で、不測の事態に備えるための手法とされます。事前に考えられるさまざまな結果を予測して、万が一問題が起きたときの対応をあらかじめ決めておく。そうすれば、計画の途中で不測の事態が起きても、それに従って対策を実行でき、プロジェクトを円滑に進められます。

スタート作業A作業B目標最も望ましい筋道(太線)もしAが遅れたら(想定外の事態)あらかじめ決めた対策戻れないときは次善の結末へ誘導する準備もする
『もしも』を先に書き込んでおくのがPDPC法です(図は説明用の例)。

動画のたとえ:転ばぬ先の杖

聞き手が「いわば転ばぬ先の杖を体系的にやるようなもの」とまとめ、講師も「まさにそういうことです」と応じます。計画どおりに進む道だけでなく、うまくいかない場合の分かれ道と対策まで、先に描いておく手法です。

(補足:資料による違いです。訳語は、JIS Q 9024が「プロセス決定計画図」、OR事典が「過程決定計画図」です。JISは「目標達成のための実施計画が、想定されるリスクを回避して目標に至るまでのプロセスをフロー化した図」とし、手順は、出発点とゴールを決め、大まかな手段を並べ、各段階で予想される状態を想定して対策を書く流れです。OR事典は「現在の状況から最終結末に至る過程で生じ得る状況と対策、その推移を有向グラフに描いたもの」とし、最良の結末から先に決める点や、戻れないときは次善の結末へ誘導する点も述べます。考案は東京大学の近藤次郎とされますが、年は「1970年代後半」とする事典や「40年以上前」とする記事など資料で幅があり、一次資料では確認できませんでした。)

7つを「改善の流れ」に並べてみる(補足)

動画は手法を1つずつ目的で紹介しますが、並べ方の整理はありません。補足として、「問題の発見・整理、原因の追究、対策の立案、計画・日程管理、リスク対応」の5つの場面に当てはめると、次のようになります。

問題の発見・整理親和図法(マトリックス図法でテーマ選び)原因の追究連関図法対策の立案系統図法(マトリックス図法で絞り込み)計画・日程管理アローダイアグラム法リスク対応PDPC法数値での裏付けマトリックス・データ解析法
動画にはない補足の整理です。資料によって当てはめ方は少し違います。

(補足:資料による違いです。この5つの区分そのものは、今回確認できたJISや公的資料には見つからず、図は各手法の定義からの整理です。JIS Q 9024は改善の手順の中で、テーマ選定にマトリックス図、原因の仮説設定に特性要因図と連関図、対策案の列挙に系統図と親和図、採用時のリスクの検討にPDPC、実施計画の策定にアローダイアグラムを挙げています。親和図は、取り組み方に迷う混沌とした問題の整理にも、対策案のアイデア出しにも使われ、1つの場面に固定されません。JIS Q 9024は2026年に改正版が出たとされますが、本文は確認できておらず、ここでの引用は2003年版です。)

旧QC七つ道具との境目と、新QC七つ道具の誕生(補足)

(補足:動画にない話です。旧QC七つ道具の顔ぶれも資料で少し違います。JIS Q 9024の注記は「パレート図、グラフ、チェックシート、ヒストグラム、散布図、管理図、特性要因図」で、層別は別項目です。さらに特性要因図は、JISでは言語データに対する技法の側に載っています。「旧=数値、新=言語」は試験向けの大づかみの整理と考え、迷ったら手法の名前と用途で判断しましょう。)

(補足:誕生の時期も資料でずれます。民間の解説は「1977年に日本科学技術連盟(日科技連)が開発」とします。英語文献は、水野滋(1988)によれば世界的な調査のあと1976年に提案され、開発委員会は1978年に解散して研究会に再編、第1回シンポジウムは1979年だと引きます。国立国会図書館の典拠データには『管理者スタッフの新QC七つ道具』(1979年5月)が出てきます。「QC手法開発部会」という日本語名と発足年、1976年と1977年の差は、日科技連などの一次資料では確認できませんでした。)

まとめ

手法目的・使いどころ鍵
親和図法混沌とした言語データを、似たもの同士で整理・体系化整理
連関図法絡み合う原因と結果の関係を明らかにする因果
系統図法目的から手段を多段階に展開して対策を整理分解
マトリックス図法2つの要素を行と列に置き、関係の有無・度合いで着目点を明確化交点
アローダイアグラム法作業の関連と日程をネットワーク図で示す。PERTで使う日程
マトリックス・データ解析法数値データを多変量解析で分析。新QCで唯一の数値データ数値
PDPC法不測の事態を予測し、対応を先に決めておく備え

試験の注目点

新QC七つ道具は「言語データ」、旧QC七つ道具は「数値データ」という対比と、7手法の名前と目的の組み合わせが基本です。マトリックス・データ解析法だけが数値データ、アローダイアグラムはPERTで使う図、PDPCは不測の事態への事前対策、と区別しておきましょう。(参考:令和元年の運営管理 第11問は旧QC七つ道具の問題で、特性要因図が正解でした。新QC七つ道具そのものを問う問題は、今回は見つけられていません。)

動画の最後は、聞き手への問いかけで終わります。今回の7つのうち、あなたが明日、仕事や生活の中で直面している、数字では表せない複雑な問題に、どれをどう使ってみたいか。知っているだけではもったいない道具なので、その思考実験が、知識を自分のものにする第一歩になる、というのが動画の結びです。

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