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損益分岐点分析の解き方を解説(CVP)『会社が生き残るための「最低ライン」』

財務・会計 第26回

財務・会計・管理会計・意思決定 00512分31秒2026年2月14日公開

「多くの人がここでこう足を止めがちですよね」。動画は、診断士試験の財務・会計でつまずきやすい損益分岐点分析の計算問題への、こんな共感から始まります。このページでは動画の流れにそって、損益分岐点分析の6つの計算パターンと、最後に残されるセールスミックスの問いをまとめました。まず動画を聞いて、あとからここで復習するのがおすすめです。

数字が並ぶだけで身構えてしまう?

動画は、診断士試験の財務・会計で、多くの人がここで足を止めがちな論点の話から始まります。特に損益分岐点分析の計算問題。数字が並ぶだけで、ちょっと身構えてしまう。けれども動画は、これは会社の健康状態を把握して、未来の作戦を立てるための、とてもパワフルなものだと言います。公式をただ暗記するのではなく、その数字が何を語っているかを読み解くのが面白いところだ、という立場です。

この回では、試験で問われる計算の主要な6つのパターンを順番にたどります。単なる受験テクニックにとどまらず、ビジネスの現場で使える思考法として、経営者の椅子に座ったつもりで見ていきます。

1損益分岐点売上高2損益分岐点比率安全余裕率3目標利益の達成4感度分析(もしもの話)5経常利益が目標のとき6連立方程式(前期と今期)今の会社を診断する先を計画し、変化に備えるひとひねりした条件に対応する
6つのパターンは、バラバラではなく一連のストーリーです。

すべての土台は「売上高−変動費−固定費=利益」

経営者がまず考えるのは、どうやって赤字にならないようにするか。動画はこれを、生き残るためのラインと呼びます。すべての計算の土台は、驚くほどシンプルな次の関係式です。

売上高 − 変動費 − 固定費 = 利益

  • 変動費:商品の材料費のように、売れれば売れるほど増えていくコスト。
  • 固定費:オフィスの家賃や社員の給料のように、売上が0でもかかってくる、ずっしり重いコスト。
  • 損益分岐点:利益がちょうど0、プラスマイナス0のトントンの状態。
  • 限界利益:売上高から変動費を引いたもの。これが毎月かかる固定費をちょうど払い終えた瞬間が、損益分岐点です。

以下は理解のために、動画にはない設例(単位は万円)を使います。動画の数字ではありません。

項目金額売上高に対する割合
売上高5,000100%
変動費3,00060%(変動費比率)
限界利益2,00040%(限界利益率)
固定費1,200−
営業利益80016%
変動費 3,000固定費 1,200利益 800変動費 1,800固定費 1,200利益 0(ちょうどトントン)今の売上高 5,000損益分岐点売上高 3,000
売上高の中身を積み上げた図(動画にない設例・万円)。固定費まで払い終えた高さが損益分岐点です。

(補足:動画は限界利益を「商品を1つ売るごとに入ってくる儲け」とも、「売上高から変動費を引いたもの」とも説明しています。前者は1個あたりの限界利益、後者は総額で、数字の大きさが違います。設例の限界利益2,000は総額です。これを売上高で割った40%は限界利益率で、「1−変動費比率」と同じ値になります。問題文がどちらの意味で書かれているかは、読むときに確かめてください。)

(補足:固定費は、売上や生産量が一定の範囲にあるときに増減しない費用とされます。範囲を超えれば増えることもあるので、問題文の前提に従います。)

パターン1:損益分岐点売上高はいくらか

最初のパターンは、最も基本的な「損益分岐点売上高はいくらですか」という問いです。動画の示す公式は、次のとおりです。

損益分岐点売上高 = 固定費 ÷(1 − 変動費比率)

変動費比率は、売上高のうち何%が変動費に消えていくかという割合です。設例なら、1,200 ÷(1 − 0.6)= 3,000(万円)。売上高が3,000のとき、変動費1,800と固定費1,200を払って利益はちょうど0になります。

金額(万円)売上高総費用固定費 1,200損益分岐点利益 80003,0005,000売上高(万円)
売上高の線と総費用の線が交わる点が損益分岐点です(動画にない設例)。

動画のたとえ:固定費という山を登る

動画は、大事なのは公式の形ではなくイメージだと強調します。固定費は登るべき山、1つ売るごとの儲けは山を登る一歩。損益分岐点の計算は、山を何回登れば登りきれるかを数えているだけです。設例なら、山の高さ1,200を、売上1円あたり0.4円ずつ登るので、売上3,000が頂上です。

もうひとつ、動画が最初のステップとして挙げるのが、問題文から固定費と変動費を正確に見つけ出すことです。ここを間違えると、目指す山の高さを見誤るようなもの。実際の試験では、どの費用が固定費でどれが変動費なのか、少し意地悪な形で混ざって示されることもあるため、これを正確に仕分ける練習が1番重要かもしれない、と動画は述べます。

パターン2:損益分岐点比率と安全余裕率

生き残るためのラインが見えたら、次は健康状態です。今の会社は、そのラインのギリギリを歩いているのか、余裕があるのか。それを測るのが、2つ目のパターンです。

  • 損益分岐点比率:今の売上高が、損益分岐点という崖にどれだけ近いかを示す指標。低いほど良い。
  • 安全余裕率:今の売上高が、崖っぷちからどれだけ安全な場所にいるかを示す指標。高いほど良い。

動画の例では、損益分岐点比率が80%ならまだ余力がありますが、99%だと、少し売上が落ちただけですぐ赤字に転落する、かなり危険な状態です。

設例:売上高5,000のうち損益分岐点比率 60%安全余裕率 40%動画の例:比率80%安全余裕率 20%損益分岐点比率 80%動画の例:比率99%安全余裕率はわずか1%損益分岐点比率 99%比率 + 安全余裕率 = いつも 100%
足して100%になる2つの指標。比率は低いほど、安全余裕率は高いほど安心です。

そして動画が「絶対に知っておいて欲しい」とするのが、この2つを足すと必ず100%になるという関係です。設例では、損益分岐点比率が3,000÷5,000=60%、安全余裕率が40%で、合計100%になります。

え、そうなんですか。じゃあ、どっちか片方が分かれば、もう片方は100から引くだけで計算できるんですね。

そういうことです。単なる時短テクニックというより、論理的なチェック機能として役立ちます。自分の計算で足して100%にならなかったら、その瞬間に、どこかで計算ミスをしていると気づけるんです。

(補足:動画は式を示していません。一般的な定義は次のとおりです。損益分岐点比率=損益分岐点売上高÷売上高、安全余裕率=(売上高−損益分岐点売上高)÷売上高。分子がちょうど「全体から引いた残り」になるので、足せば100%です。なお、動画の「99%」の例では、売上がわずか1%減るだけで損益分岐点に並び、それ以上減れば赤字になります。)

パターン3:目標利益を達成する売上高

経営者は現状維持では満足しません。「今年は絶対に1,000万円の利益を出すぞ」という具体的な目標があるはずです。ここから分析は、守りから攻めのツールに変わります、と動画は言います。

考え方は驚くほどシンプルです。基本の式は「売上高−変動費−固定費=利益」でした。損益分岐点は、この利益を0にして売上高を求めたものです。ならば、利益を0ではなく1,000万円にして解けばいいだけです。

もしかして、利益を1,000万円にして計算すればいいだけですか?

まさにその通りです。目標を利益0から1,000万円に変えるだけなんです。

設例で確かめます。式は「売上高 − 0.6×売上高 − 1,200 = 1,000」です。0.4×売上高 = 2,200 より、売上高は 5,500(万円)。まとめると、必要な売上高は「(固定費+目標利益)÷(1−変動費比率)」で、(1,200+1,000)÷0.4=5,500です。確かめると、5,500×0.4−1,200=1,000になります。

動画は、これは夢や目標を売上高という数字に翻訳する作業であり、単なる計算問題ではなく事業計画そのものだと述べます。設備投資に必要な利益から、必要な売上を逆算するストーリーが見えてくる、というわけです。

パターン4:感度分析(もしもの話)

ビジネスの世界は変化します。来月から家賃が10%上がったら。主要な材料費が5%下がったら。動画はこのような「もしも」を扱うパターンとして、感度分析を紹介します。何かが変化したとき、利益がどれくらい影響を受けるかを見るものです。

難しそうに聞こえますが、動画の説明では解き方は単純で、問題文の指示どおりに数字を入れ替えて、再計算するだけです。聞き手は、たとえば固定費が100万円から110万円に増えたなら、基本の公式の固定費の部分を110万円に入れ替えるだけか、と確かめ、講師が肯定します。

大切なのは、複雑な式を覚えることよりも、どの数字がどう変わったかを正確に読み取る読解力なんですね。

おっしゃる通りです。変動費が5%増加と、変動費比率が5ポイント増加では、意味が全然違いますから。

この「5%」と「5ポイント」の違いを、設例の損益分岐点売上高で比べてみます(固定費1,200、売上高5,000、変動費比率60%が出発点)。

条件変動費比率損益分岐点売上高
変更前60%3,000
固定費が1,320に増加60%3,300
変動費が5%増加63%約3,243
変動費比率が5ポイント増加65%約3,429

変動費が5%増えるのは「3,000が3,150になる」ことで、売上高が同じなら変動費比率は63%(3ポイント増)です。5ポイント増加は60%が65%になること。同じ「5」でも、結果は約3,243と約3,429で変わります。動画は、どの数字がどう変わったかを冷静に見極めれば、あとは電卓を叩くだけで、落ち着いて対処すれば確実に得点できるサービス問題とも言える、と述べます。

(補足:「変動費が5%増加」は、売上高が変わらず変動費の総額だけが5%増える前提で表を作りました。販売数量が増えて変動費が増えるなら売上高も増えるので別の計算です。また、動画では「シナリオ分析につながります」と紹介されたあと、もう一方の話し手が「いわゆる感度分析」と受けています。両者の使い分けは資料により異なり、一般には、感度分析は1つの前提を変えて結果を見るもの、シナリオ分析は複数の前提をセットで変えるもの、と説明されることが多いようです。)

パターン5:目標が経常利益のとき

ここまでは会社の現状把握から、未来、環境変化への対応でした。もう少し複雑なケースが、本業以外の儲けや損失、つまり営業外損益が絡む場合です。銀行への支払い利息や、受け取り配当金などは、どう考えればいいのでしょうか。

銀行への支払い利息や受け取り配当金は、どう考えればいいんでしょう?

いいポイントですね。CVP分析の基本モデルは、あくまで本業の儲けである営業利益をベースにしています。ここに支払い利息のような営業外の費用が入ってくると、話が少しややこしくなるんです。

これが5つ目のパターン、「目標が経常利益の場合」の対処法です。経常利益とは、一般には、営業利益に営業外の収益と費用を加減したものをいいます。動画が紹介する、試験対策上の定石は、営業外損益を固定費の調整項目として扱うという方法です。

営業外の項目設例固定費への入れ方
支払利息(営業外費用)200家賃が増えたものとして足す
受取利息(営業外収益)50家賃が安くなったものとして引く
固定費1,200+支払利息200(営業外費用)−受取利息50(営業外収益)見かけの固定費1,200+200−50 = 1,3501,350 ÷ 0.4 = 3,375(経常利益がちょうど0になる売上高)
営業外の損益は、固定費の増減として扱います(動画にない設例・万円)。

こうしてできた見かけ上の固定費を、いつもの損益分岐点の計算に当てはめます。設例では、固定費1,200+200−50=1,350。経常利益がちょうど0になる売上高は1,350÷0.4=3,375です。聞き手がこれを、ルールとして覚えてしまえば対応できそうだ、知っているか知らないかで差がつく問題だ、と受け止め、講師が「まさに知識問題」と応じます。

(補足:経常利益に目標がある場合は、パターン3の目標利益と組み合わせます。目標経常利益を600とすると、(1,350+600)÷0.4=4,875です。確かめると、売上高4,875の営業利益は4,875×0.4−1,200=750、これに受取利息50を足して支払利息200を引くと、経常利益は600になります。受取配当金を営業外収益に入れるかは会社の事業内容で扱いが変わりうるため、問題文の区分に従ってください。)

パターン6:連立方程式で固定費と変動費比率を求める

最後は、動画の話し手が、個人的には一番探偵みたいで面白いと言う問題です。前期と今期の売上高と利益のデータだけが与えられて、「この会社の固定費と変動費比率はいくらでしょう」と問われます。情報が少なすぎて解けなさそうに見えますが、ピースは揃っています。前期と今期のそれぞれを「売上高−変動費−固定費=利益」に当てはめれば式が2本、未知数は変動費比率と固定費の2つ。中学校で習った連立方程式で解けます。

動画にない設例で確かめます。前期は売上高4,000・利益400、今期は売上高5,000・利益800とします。限界利益率を m と置くと、4,000×m − 固定費 = 400、5,000×m − 固定費 = 800 です。2本を引き算すると、1,000×m = 400 で m = 0.4。つまり変動費比率は0.6です。固定費は4,000×0.4−400 = 1,200。今期の式でも5,000×0.4−800=1,200で一致します。

あ、なるほど。中学校で習った連立方程式で解けるわけだ。

ご名答。2つの時点のデータという2つのヒントから、変動費比率と固定費という2つの謎を解き明かす、まさに探偵の仕事です。

動画は、数学が得意な人には気持ちよく解ける問題だとしつつ、最近の試験では出題頻度は少し下がっている、と述べます。苦手意識が強いなら、ほかの5つのパターンの習熟を優先するのも戦略のひとつ、という説明です。(出題頻度は、このページでは確認していません。)

(補足:この解き方は、固定費と変動費比率が前期も今期も同じだという前提で成り立ちます。問題文でその前提が示されているかどうかを、まず確認しましょう。)

試験の注目点(動画の整理にそって)

  • 動画では、固定費と変動費の仕分けが最初のステップで、これを正確にできる練習が1番重要かもしれない、とされている。
  • 動画では、感度分析は読解力しだいで得点できる問題、経常利益は知っているかどうかの知識問題と整理されている。
  • 動画では、連立方程式タイプは最近の出題頻度がやや下がっているとされている(本ページでは未確認)。

動画の最後の問い:商品が複数あったら?

動画は、6つのパターンを、企業のコスト構造のレントゲンを撮り、利益計画という治療方針を立て、さまざまな経営判断を下すための実践的な思考ツールだとまとめます。

そして最後に、思考をもう一歩先へ進めるための問いが投げかけられます。今日の話は、会社が売っている商品が1種類、たとえばコーヒーだけというシンプルな前提でした。では、利益率の高いエスプレッソ、そこそこの通常コーヒー、利益率は低いけれど数が出るサンドイッチのように、複数の商品を扱っていたら、この分析はどう変わるでしょうか。動画は、どの商品をどんな割合で売るかという組み合わせ、セールスミックスが会社全体の収益構造を大きく変えると指摘し、探求してみてほしい、と言って終わります。

(補足:動画にない、考え方の一例です。商品ごとの限界利益率を売上構成比で加重平均した値を使うと、全体の損益分岐点売上高を「固定費÷加重平均の限界利益率」で求められます。数字は動画にない設例です。)

商品限界利益率売上構成比(ケース1/ケース2)
エスプレッソ70%30%/10%
通常コーヒー50%40%/30%
サンドイッチ20%30%/60%

ケース1の加重平均は0.3×0.7+0.4×0.5+0.3×0.2=0.47、固定費1,200なら損益分岐点売上高は約2,553です。ケース2は0.1×0.7+0.3×0.5+0.6×0.2=0.34で、約3,529。同じ固定費でも、サンドイッチ中心になるだけで、損益分岐点が約1,000も上がります。

まとめ

  • 土台の式は売上高−変動費−固定費=利益。損益分岐点は利益が0になる売上高で、公式は固定費÷(1−変動費比率)。
  • パターン2:損益分岐点比率は低いほど良く、安全余裕率は高いほど良い。足すと必ず100%なので、計算のチェックに使える。
  • パターン3:式の利益を0から目標利益に変えるだけ。設例は(1,200+1,000)÷0.4=5,500。
  • パターン4:感度分析は、指示どおりに数字を入れ替えて再計算する。「5%増加」と「5ポイント増加」は別物。
  • パターン5:経常利益が目標のときは、営業外費用を固定費に足し、営業外収益を引いてから計算する。
  • パターン6:前期と今期のデータから、連立方程式で固定費と変動費比率を求める。動画によると出題頻度は下がり気味。
  • 最後の問いは、商品が複数のときのセールスミックス。

公式の暗記ではなく、会社の数字の読み方として身につける。それが動画のメッセージです。問題を解くときは、どの費用が固定費でどれが変動費か、今どのパターンが問われているかを頭に置いて読みましょう。

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