聞き流しラボby kufu-yaWebテキストNEW
中小企業診断士 2次試験

知識ではなく、解き方を聞く。

1次試験の合格者に向けて、与件文の読み方、設問の切り分け方、解答の型を、事例ごとに解説します。

事例別の過去問解説重要論点講義ファイナルペーパー
診断士 聞き流しラボ 2次試験対策

インターネット活用のプロモーションは情報の向きで選ぶ

事例Ⅱ 第24回

事例Ⅱ 情報の向きで選ぶ。インターネット施策の使い分けと書き方11分39秒2026年8月19日公開

「与件文に顧客とのつながりを強めたいと書いてあると、とりあえずSNSと書いてしまう。それで合っているのか自信が持てない」。動画はこんな迷いから始まります。用語を知っている人が多い論点だからこそ、差がつくのは与件文のどこに反応し、どう答案に書くかです。このページでは、情報の向きの3パターン、与件文のサイン、向きごとの施策、答案の書き方と間違えやすい点をまとめました。まず動画を聞いて、あとからここで復習するのがおすすめです。

ネット施策は知っているのに、答案で迷うのはなぜ?

動画は、事例Ⅱでよく出てくる「インターネットを活用したプロモーション」の掘り下げです。これまでにインターネット活用の目的の見分け方や、実際に商品を販売する場面を扱ってきましたが、今回は、情報を発信したり顧客とつながったりする場面に絞って、二次試験の現場でどう使うかを見ていきます。

インターネット広告とか、SNSとか、ホームページとか、知識としては知ってます。

そうなんです。用語自体は知っている人が多いんです。でも、いざ与件文に出てきたときに、どの施策を答案に書けばいいか迷いませんか。

めちゃくちゃ迷います。「顧客とのつながりを強めたい」と書いてあると、とりあえずSNSと書いてしまうんですが、それで合っているのか自信が持てなくて。

講師は、同じ「インターネットを使う」でも、情報が誰から誰に向かって流れるかで施策の役割がまったく違う、と整理します。今日の軸は、この「情報の向き」です。

① 企業から顧客へ企業顧客知らせたい・伝えたい② 顧客から企業へ顧客企業ニーズ・意見を知りたい③ 顧客から顧客へ(企業は場を用意)顧客顧客口コミ・つながりを作りたい
インターネット施策は、情報が流れる向きで役割が変わります。
  • 企業から顧客へ:キャンペーンや商品の情報を知らせる。
  • 顧客から企業へ:顧客のニーズや意見を企業が受け取る。
  • 顧客から顧客へ:企業を通り越して、顧客同士が直接やり取りする。

与件文には、目的の違う悩みが同時に並ぶ

まず、この論点が二次試験でどう出るかです。講師によれば、事例Ⅱの与件文には、企業が抱える課題として、目的の違う複数の悩みが同時に書かれていることが多いそうです。たとえば、次のような3つです。

  • 「顧客にキャンペーンの情報が届いていない」
  • 「顧客が何を求めているか分からない」
  • 「顧客同士のつながりが作れていない」

どれもインターネットで解決できそうに見えますが、向いている施策はそれぞれ別です。同じ「インターネットを使いましょう」でも、課題によって出す答えを変えなければいけません。

だから、設問でこのタイプの課題が出たら、いきなり施策を考えません。まず「この課題は、情報がどっちに流れてほしいと言っているのか」を先に見極める。施策より先に向きを見る、というのがこの論点の出発点です。

与件文の着眼点:3つの向きと反応する記述

向きが決まると、与件文のどんな記述に反応すればよいかも決まります。動画の説明を表にまとめました。

向き反応する与件文の記述動画のやり取りでの例
企業から顧客へキャンペーンや商品の情報を、顧客に知らせたい・伝えたい「新商品を知ってもらえていない」「セール情報が伝わっていない」
顧客から企業へ顧客のニーズが分からない、意見を聞く仕組みがない(弱みの記述)企業側が情報を受け取りたい場面
顧客から顧客へ口コミを増やしたい、顧客同士のつながりを作りたい企業を通り越して、お客さん同士が直接やり取りする話

この3つの向きのうち、どれに当てはまる記述なのかを見分けられるかどうかが、この論点の一番のポイントだと講師は言います。

パン屋さんの3つの掲示物で、向きをつかむ

向きのイメージをつかむために、動画は街のパン屋さんにたとえます。お店の中に、3種類の掲示物があると考えてください。

パン屋の店内インターネット上お知らせの貼り紙企業から顧客へホームページのお知らせ欄レジ横のご意見箱顧客から企業へ問い合わせフォームおすすめの食べ方ノート顧客から顧客へSNSの交流スペース
パン屋の掲示物を、そのままインターネットに置き換えます。
  • お店の前に貼り出す「本日、新作入荷しました」というお知らせ。これは企業から顧客への情報発信です。お店側から一方的にお知らせを出します。
  • レジのそばの「ご意見箱」に、お客さんが感想や要望を書いた紙を入れる。これは顧客から企業への情報です。お店がお客さんの声を集めるための仕組みです。
  • お店の壁に「おすすめの食べ方ノート」を置き、常連さん同士がパンの食べ方や合わせるドリンクを書き合う。これは顧客から顧客への情報のやり取りです。お店は場所を貸しているだけで、実際にやり取りしているのはお客さん同士です。

この3つの掲示物を、そのままインターネット上に置き換えたのが3つの向きです。ホームページのお知らせ欄が「本日入荷しました」の代わり、問い合わせフォームが「ご意見箱」の代わり、SNSの交流スペースが「食べ方ノート」の代わり、と捉えると、本番でも向きを見分けやすくなる、と講師は言います。

覚え方

掲示物の役割ごと、頭の中でインターネット上に置き換える。お知らせ欄は企業から顧客、問い合わせフォームは顧客から企業、SNSの交流スペースは顧客から顧客です。

向きごとの施策:何を書けばいいか

次に、それぞれの向きにどんな施策が対応するのかです。動画で挙がったものを整理します。

企業から顧客へ(知らせる)・インターネット広告・メルマガ、ホームページでの情報発信・従業員ブログでの使い方紹介(調理方法など)・喜びの声の掲載、予約状況の公開顧客から企業へ(集める)・ホームページの問い合わせコーナー・SNS、ブログへの意見の書き込み顧客から顧客へ(つなげる)・ホームページ、SNSでの情報交換の場の提供・企業は主役でなく、舞台を用意する黒子
向きが決まれば、書く施策の候補が絞れます。

企業から顧客へは、分かりやすいのがインターネット広告です。ほかに、メールマガジンやホームページを使って、キャンペーンや商品の情報を発信することがあります。従業員がブログで商品の使い方を紹介する施策もあります。例えば食品なら、その商品を使った調理方法を従業員が発信するイメージです。商品を宣伝するだけでなく、使い方まで見せるわけです。

さらに、顧客の喜びの声をホームページに掲載する施策や、サービス業なら予約状況をホームページで公開する施策も、すべて「企業から顧客へ」の情報発信です。伝える中身はいろいろでも、向きは「企業から顧客へ」でまとまります。

顧客から企業へはシンプルです。ホームページ上に問い合わせコーナーを設置する、SNSやブログを使って顧客が意見を書き込めるようにする、といった施策になります。企業が顧客の声を拾うための窓口を作る、という位置づけです。

顧客から顧客へは、ホームページやSNSで、顧客同士が情報交換できる場を提供する施策です。ここで聞き手が確認を入れます。

企業が発信するわけじゃなくて、顧客同士が話せる「場」を用意してあげる、ということですか。

そこがまさに、この向きの一番のポイントです。企業は主役ではなく、あくまで顧客同士が交流できる舞台を用意する黒子の立場になります。

与件文の悩みを仕分ける手順

実際に与件文の課題を3つの向きに仕分けるときの手順は、次のとおりです。

  • 手順1:与件文に出てくる企業の悩みを、1つずつ拾う。
  • 手順2:それぞれが「情報を届けたい」「情報を集めたい」「顧客同士をつなげたい」のどれに当たるかを判定する。
  • 手順3:悩みごとに、その向きに合った施策を当てはめる。

1つの設問に、悩みが2つ、3つと書かれていることもよくあります。悩みごとに向きが違うことも多いので、1つの答案の中で複数の向きの施策を組み合わせて答えることもあります。全部を1つの施策で片付けようとしなくて大丈夫です。

悩みと施策の向きを、1対1で丁寧に対応させる。これがこの論点を使いこなす一番のコツだと講師は言います。

答案の書き方:施策に「向き」を書き添える

答案の型は、「〜という課題に対し、〜という施策を行うことで、〜という効果を実現する」という流れが基本です。課題、施策、効果の3点セットですね。

ただ、講師がこの論点で一番大事だと言うのは、施策を1つ挙げて終わりにしないことです。施策を書くだけでもダメではありませんが、点数の伸びが変わってくる、という話でした。施策と一緒に「これは企業から顧客への情報発信です」「顧客から顧客への情報交換の場です」というように、情報の向きを言葉にして書き添えます。

課題顧客同士がつながりを持てていない施策ホームページ上で顧客同士が情報交換できる場を提供する向き + 効果顧客から顧客への情報の流れを作り、つながりを強化する「向き」を一言そえると、施策を選んだ理由まで伝わる
課題・施策・効果の3点セットに、向きを書き添えます。

動画で挙がった書き方の例が、次の文です。

「顧客同士がつながりを持てていない、という課題に対し、ホームページ上で顧客同士が情報交換できる場を提供することで、顧客から顧客への情報の流れを作り、つながりを強化する」

こう書くと、施策を選んだ理由まで答案の中で説明できます。向きという考え方が、そのまま理由づけになるわけです。

施策の理由づけに、向きという考え方をそのまま使えるんですね。それだと採点者にも、なぜその施策なのかが伝わりやすそうです。

そうなんです。書くときは、課題の言い換えと施策の記述をしっかり書きつつ、向きと効果にも一言触れる、というバランスを意識すると書きやすいと思います。

間違えやすい3つのパターン

1つ目は、向きを意識せず、思いついた施策を並べるだけになるパターンです。講師が「一番多い」と言う間違いで、聞き手も「与件文にネットっぽい課題があると、とりあえずSNS、ホームページ、メルマガと並べたくなる」と打ち明けます。

それだと、「なぜその施策なのか」が答案から抜け落ちてしまいます。まず向きを判定してから、その向きに合う施策を1つか2つ、丁寧に理由づけして書くほうが評価されやすい、というのが講師の見立てです。施策の数より、向きとのつながりの説明のほうが大事です。

2つ目は、「顧客から顧客へ」の施策を、「企業から顧客へ」の一方的な発信と混同するパターンです。例えば「顧客同士の口コミを増やしたい」という課題に対して、「企業がホームページでお知らせを発信する」と書いてしまうケースです。これは情報の向きが逆になっています。企業が一方的に発信しているだけで、顧客同士は何も交流していません。

課題:顧客同士の口コミを増やしたいNG:企業が発信するホームページでお知らせを発信する→ 向きが逆になるOK:企業が場を用意する顧客同士が交流できる場を提供する→ 顧客から顧客へ動詞で見分ける:「発信する」か「場を用意する」か
「発信する」と「場を用意する」は、別の施策です。

顧客から顧客への施策は、企業が発信するのではなく、企業が顧客同士のやり取りの「場」を用意する、という発想です。ここを取り違えると、課題と施策がかみ合わない答案になってしまいます。場を作るのか、発信するのか、動詞のレベルで見分けましょう。

3つ目は、コミュニケーション手段の選び方との混同です。コミュニケーションの手段を選ぶ発想自体は、これまでの講義でも触れてきました。今日のインターネットの話は、その中でもインターネットという手段だけに絞り、情報の向きという切り口でさらに深く掘り下げるものです。範囲が重なって見えても、答案に落とし込むときの視点が違うので、混ぜて覚えないようにしてください。

本番で使うチェックポイント3つ

本番のチェックポイント(動画より)

  • 与件文の企業の悩みを見たら、施策を考える前に「情報を届けたいのか」「情報を集めたいのか」「顧客同士をつなげたいのか」の3つで向きを判定する。
  • 施策を書くときは、施策名だけで終わらせず、その施策がどの向きの情報の流れを作るのかを言葉にして添える。
  • 「顧客から顧客へ」の施策は、企業が発信するのではなく、企業が場を用意するという発想で書く。講師は、ここの取り違えが一番点数に響く、と言います。

この3つを押さえておけば、与件文にインターネット関連の課題が出てきたときに、慌てずに向きから逆算して施策を選べるようになる、というのが動画の結びです。

知識はあったのに使い方が分からなかった部分が、今日でだいぶクリアになりました。

本番でも、まず向きを見極めることから始めてみてください。

まとめ

この講義のまとめ

  • インターネット施策は、情報の向き(企業から顧客、顧客から企業、顧客から顧客)で役割が変わる。
  • 与件文の悩みを1つずつ拾い、「届けたい」「集めたい」「つなげたい」のどれかを先に判定する。
  • 悩みごとに向きが違えば、1つの答案の中で複数の向きの施策を組み合わせてよい。
  • 答案は課題・施策・効果の型で書き、施策に「どの向きの情報の流れか」を書き添えて理由づけにする。
  • 「顧客から顧客へ」は、企業が発信するのではなく、場を用意する施策。動詞で見分ける。

まず動画で、パン屋さんの3つの掲示物のたとえを耳で聞いてから、このページで向きと答案の書き方を見直してみてください。

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