ソーシャルマーケティング
事例Ⅱ 第21回
「ソーシャルマーケティングって、言葉としては知っているのに、与件文のどこを見たらこれだと気づけますか?」。動画はこの問いかけから始まります。社会貢献や環境配慮の記述を見て「良い会社ですね」で終わらせず、答案でどう使うか。このページでは動画の流れにそって、位置づけと出方、与件文の着眼点3つ、情報の整理、解答の型、混同しやすい誤答をまとめました。まず動画を聞いて、あとからここで復習するのがおすすめです。
「良い会社ですね」で終わらせない
動画は、講師から聞き手への問いかけで始まります。「ソーシャルマーケティングって、言葉としては知っているのに、与件文のどこを見たらこれだと気づけますか?」。聞き手の答えは正直です。社会貢献や環境配慮の話が出てきても、なんとなく「良い会社ですね」で終わってしまう。それを答案にどう使うのかまでは、ピンとこない、というのです。
講師も、企業が利益だけでなく社会的な存在としてどう振る舞うか、という視点だとは知っている、と言います。ところが、それを二次試験の答案でどう使うかとなると、急に手が止まる。動画はこの「知っている」と「書ける」の間を埋める回です。
このページでは、動画の流れにそって次の順に見ていきます。
- 位置づけ:直接ではなく、間接的に効く打ち手
- どんな出方をするか
- 与件文の着眼点3つ
- 情報の整理:まず記述が「あるか」を確認する
- 解答の型:取り組みと効果をセットで書く
- 混同・誤答しやすい3つのポイント
位置づけ:直接ではなく、間接的に効く打ち手
聞き手が最初に確認したのは、これは売上や利益に直接結びつく施策という扱いではないんですよね、という点でした。講師は「そこは大事な前提です」と答えます。ソーシャルマーケティングは、企業イメージやブランド価値の向上を通じて、間接的に経営に寄与する打ち手として位置づけられる。直接売上を伸ばす施策とは、性質が違う、という説明です。
直接効くわけじゃないから、あくまで他の提案を後押しする材料として使う、ということですかね。
聞き手のこの理解は、このあと講師が説明する「出方」と重なっていきます。
どんな出方をするか
講師はまず、どんな形で出てくるかを整理します。
- 与件文に、地域貢献、環境配慮、社会課題への対応といった記述があると、それを企業イメージの向上につなげる提案として問われることが多い。
- 与件文の企業が地域との関係を大事にしているタイプなら、地域社会への貢献策を提案する設問の根拠として使われることもある。
- 単独で問われるより、ブランド力強化やコミュニケーション戦略など、他の論点と組み合わせて出ることの方が多い。
企業イメージの向上、っていうのがキーワードなんですね。
そうです。
地域密着型の会社が出てきたら、ちょっと意識しておく論点、ということですね。
単体の柱というより、他の提案に説得力を足すための材料、というイメージですかね。
いい理解です。
講師が挙げた出方の例は、「地域での評判を活かしてブランド力を高めましょう」という提案です。この提案の中に、社会貢献活動が根拠の一部として組み込まれる、という出方をよくする、と言います。論点の主役というより、提案を支える根拠として顔を出す、と考えるとつかみやすいでしょう。
与件文の着眼点3つ
では、与件文のどこを見たら気づけるのか。講師が挙げた着眼点は3つです。
- コーズリレーテッドマーケティングの手がかり:売上の一部を寄付している、地域のイベントに協賛している、社会貢献活動を行っている、という記述。講師は「利益の一部を社会に還元するタイプ」と覚えておいてください、と言います。
- グリーンマーケティングの手がかり:環境に配慮した原材料や製法を使っている、地球環境への配慮を打ち出した製品・サービスを提供している、という記述。
- 企業イメージ・ブランドに関わる記述:地域での評判が良い、地域に根ざした経営をしている、という強みの記述。これもこの論点とつながる手がかりです。
| 与件文の記述 | つながる論点 |
|---|---|
| 売上の一部を寄付/地域イベントに協賛 | コーズ |
| 環境配慮の原材料・製法 | グリーン |
| 地域での評判が良い | 企業イメージ |
コーズリレーテッド、久しぶりに聞きました。
「寄付してます」「協賛してます」って書いてあったら反応する、ということですね。
そうです。
こっちは、寄付とかじゃなくて、商品そのものが環境に優しい、という話ですよね。
その理解で合ってます。
強みとして書かれてる評判の良さも、ソーシャルマーケティングの手がかりになるんですね。
そうなんです。
3つ目で講師が付け加えたのは、読み方のコツです。強みの記述単体で終わらせずに、その評判が生まれた背景に、社会貢献や環境配慮の取り組みがないかを、セットで見ておく。そうすると拾いやすくなります。
情報の整理:まず「あるか」を確認する
着眼点が拾えたら、次は情報の整理です。講師が最初にやるべきこととして挙げたのは、与件文に社会貢献・環境配慮に関わる記述が実際にあるかどうかの確認でした。
え、それ確認するまでもなく、なんとなくありそうって思っちゃいそうです。
そこが落とし穴なんです。無ければ、この論点は無理に使わない。それが大前提です。
なるほど、無いのに使っちゃダメ、ということですね。
記述があった場合は、それが「利益の一部を社会に還元するタイプ」なのか、「製品・サービスそのものが社会的価値を持つタイプ」なのかを見極めます。聞き手は、これは先ほどのコーズリレーテッドかグリーンかを判定することだと確認し、講師は「そうです」と答えます。そのうえで、その活動が企業イメージの改善やブランド価値の向上を通じて、経営、つまり売上や顧客獲得などにどう結びつくのかまで整理します。
「良いことしてます」で終わらせずに、それが経営にどうつながるかまで自分で埋める、ということですね。
聞き手のこの一言が、動画全体のテーマです。与件文に書いてあるのは「良いこと」までで、経営とのつながりは、答案を書く側が自分で埋める必要があります。
たとえ:近所付き合い
講師は、この間接的な効き方を、近所付き合いにたとえます。
たとえ:町内のお祭り
町内のお祭りに協賛したり、掃除を手伝ったりしても、それをした瞬間にお金が儲かるわけではありません。でも「あの人は感じがいい」「頼りになる」という評判が積み重なって、結果的に、何か困ったときに助けてもらえたり、信頼されたりします。
近所付き合い、ですか?
あー、それわかりやすいです。社会貢献も、直接売上に結びつくんじゃなくて、評判が積み重なって、回り回って経営にプラスになる、ということですね。
その理解で大丈夫です。だから答案でも、活動そのものより、その先の効果までつなげて書く必要があるんです。
解答の型:取り組みと効果をセットで
ここから実際の解答の型です。講師が示した基本形はこれです。
基本の型
「〜という社会貢献・環境配慮の取り組みを通じて、企業イメージを向上させ、〜につなげる」
聞き手が「取り組みの内容と、その先の効果、両方入れるんですね」と確認すると、講師は、一番大事なのは社会貢献活動を紹介するだけで終わらせないことだ、と強調します。それが企業イメージ・ブランド価値の向上を経由して、最終的にどんな経営上の効果につながるのかまで書く、ということです。
それ、まさに私がやりそうなパターンです。「地域のイベントに協賛し、地域貢献を行う」って書いて、そこで満足しちゃいそうです。
それだと、答案として片手落ちなんです。「地域のイベントに協賛することで企業イメージを高め、地域住民からの信頼や来店につなげる」くらいまで、取り組みと効果をセットで書いてください。
聞き手が気にしたのは字数配分です。効果の部分を削って、取り組みだけ詳しく書いてしまうことも起きそうだ、というのです。講師は「まさにそこが注意点です」と答えます。取り組みの説明に文字数を使いすぎて、効果を書く前に字数が尽きると、この論点の一番大事な部分が抜け落ちます。取り組みは簡潔に、効果まで書き切る分の余白を必ず残しておく。これが講師の指示です。
もうひとつ、聞き手は「効果の書き方も、毎回同じ言い回しでいいんですか?」と尋ねました。講師の答えは、型としてはそれでいいが、与件文がどんな課題を抱えているかで、効果の言葉を合わせると答案の説得力が上がる、というものです。結び先を変えるイメージで、動画の例は次の2つです。
| 与件文の課題 | 効果の結び先 |
|---|---|
| 客足の減少 | 来店や売上 |
| 新規顧客の開拓 | 新規顧客の獲得 |
効果まで書けば終わり、じゃなくて、その効果の中身も与件文の課題に合わせる、というところまで意識するんですね。
混同・誤答しやすい3つのポイント
最後に、講師が整理した混同・誤答のポイントです。3つあります。
- 根拠のない一般論:与件文に社会貢献・環境配慮の記述が無いのに、一般論として社会貢献活動を提案してしまう。この論点は、与件文に根拠がある場合にのみ使う。
- 活動の目的化:社会貢献活動そのものを目的化して、それが企業イメージ向上を経由して経営にどうつながるかを書かない。
- 2つのタイプの混同:コーズリレーテッドマーケティングとグリーンマーケティングを混同する。前者は利益の一部を寄付するといった還元型、後者は製品・サービス自体が環境配慮型、という違いがある。
さっきの、記述の有無を確認する話ですね。
活動の紹介だけで満足して、その先を書き忘れる、ということですね。
この2つ、名前が似てるから、本番で焦ると混ざりそうです。
焦ると混ざりやすいので、「お金や利益を回す話か」「商品そのものが環境に優しい話か」、この軸で区別する、と自分の中で整理しておくといいです。
| 誤り | 防ぎ方 |
|---|---|
| 根拠のない一般論 | 記述の有無を最初に確認する |
| 活動の目的化 | 取り組みと効果をセットで書く |
| 2タイプの混同 | お金を回す話か、商品が環境配慮か |
試験ではここに注目(動画の整理)
- 与件文に、社会貢献・環境配慮の記述が実際にあるか
- あるなら、利益の一部を還元するタイプか、製品・サービスそのものが社会的価値を持つタイプか
- 答案に、取り組みから企業イメージ・ブランド価値の向上を経由して、経営上の効果まで書けているか
- 効果の結び先が、与件文の課題(客足の減少、新規顧客の開拓など)に合っているか
まとめ
動画の整理
- ソーシャルマーケティングは、企業イメージ・ブランド価値の向上を通じて、間接的に経営に寄与する打ち手。直接売上を伸ばす施策とは性質が違う
- 出方は、企業イメージ向上の提案や、地域貢献策の根拠。単独より、ブランド力強化やコミュニケーション戦略などとの組み合わせが多い
- 着眼点は3つ:コーズリレーテッドの手がかり(寄付・協賛)、グリーンの手がかり(環境配慮の原材料・製法・製品)、企業イメージ・ブランドの記述(地域での評判)
- まず記述の有無を確認する。無ければ使わない。あれば、還元型か製品・サービス型かを見極め、経営への結びつきまで整理する
- 答案の型は「〜という取り組みを通じて、企業イメージを向上させ、〜につなげる」。取り組みと効果を必ずセットで書く
- 誤答は3つ:根拠のない一般論、目的化した紹介、2つのタイプの混同
動画の最後に、聞き手は「知識としては知ってたつもりでしたけど、与件文のどこで気づいて、どう答案につなげるか、今日でだいぶ整理できました」と話しています。「良いことしてます」で終わらせず、その先の企業イメージと経営効果まで自分で埋める。この一歩が、本番でこの論点を得点につなげるための分かれ目です。
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