聞き流しラボby kufu-yaWebテキストNEW
中小企業診断士 2次試験

知識ではなく、解き方を聞く。

1次試験の合格者に向けて、与件文の読み方、設問の切り分け方、解答の型を、事例ごとに解説します。

事例別の過去問解説重要論点講義ファイナルペーパー
診断士 聞き流しラボ 2次試験対策

流通機能

事例Ⅱ 第18回

事例Ⅱ 流通の3つの機能で、チャネル戦略の根拠を書く9分52秒2026年8月19日公開

「流通に関する課題が与件文に出てきたとき、なんとなく『効率化しましょう』って書いて終わっていませんか」。動画は、こんな問いかけから始まります。このページでは、流通の3つの機能、与件文の記述の見分け方、課題の仕分けと担い手の整理、答案の型、混同しやすい誤りを、動画の流れにそってまとめました。まず動画を聞いて、あとからここで復習するのがおすすめです。

「効率化しましょう」で終わっていませんか

動画は、こんな問いかけから始まります。流通に関する課題が与件文に出てきたとき、なんとなく「効率化しましょう」と書いて終わっていませんか。聞き手は「まさに私です」と答えます。物流のところも情報のところも、なんとなく雰囲気で「改善します」と書いてしまっていた、というのです。

講師によると、ここは知識としては持っているのに、二次の現場でうまく引き出せていない人がとても多い論点です。聞き手も、商的流通や物的流通という言葉は聞いたことがある。けれど、与件文のどこを見てそれだと判断すればいいのかが分からない、と打ち明けます。

知識はあるはずなんですよね。商的流通とか物的流通とか、聞いたことはあります。でも与件文のどこを見てそれだって判断すればいいのか、そこが分からないんです。

今日はまさにそこをやります。流通が果たしている機能を3つに分けて、与件文のどの記述がどの機能の話をしているのか、見分ける練習をしていきましょう。

聞き手は、正直なところ流通は「モノを運ぶこと」だとしか思っていなかったので、そこからもう一段深く整理したい、と応じます。このページでは、出題のされ方、3つの機能、身近な例、与件文のサイン、整理の手順、答案の型、混同しやすい誤りの順に、動画の流れにそってまとめます。

この論点はどう問われるか

講師はまず、出題のされ方を整理します。この論点は、「流通機能とは何か」を単独で直接問う設問はあまり多くありません。むしろ、チャネル戦略を提案させる設問の土台として使うことが多い、といいます。

たとえば「卸売業者を通さず直接販売すべきか」「新しい販売チャネルを設けるべきか」を問う設問があります。そこで、自社が流通のどの機能を代替・強化しようとしているのかを、根拠として明確にするために使います。

なるほど、直販化を提案するだけじゃなくて、「その直販化は、流通のどの機能を自社が担うことになるのか」まで書く、ということですね。

その通りです。

もう一つの出方が、与件文に流通の課題そのものが書かれているパターンです。在庫が滞留している、情報がうまく伝わらない、輸送コストが高い、といった記述で、それがどの機能の問題かを見極めさせる出題だと講師は説明します。

  • チャネル戦略の提案:直販化や新しい販売チャネルについて、自社が流通のどの機能を代替・強化するのかを根拠にする。
  • 課題が与件文に書かれている:在庫の滞留、情報が伝わらない、輸送コストが高い、といった記述が、どの機能の問題かを見極める。

聞き手はこれを「課題の原因を切り分けるための物差しとして、この3つの機能を持っておく必要がある」とまとめました。

流通の3つの機能

では中身です。流通が果たす機能は、商的流通、物的流通、情報流通の3つです。

商的流通売買で所有権を移す誰が払い、誰のモノになるか物的流通空間と時間の隔たりを橋渡し輸送・保管・流通加工情報流通情報の隔たりを埋める顧客の要望と生産者の情報
流通は、モノの隔たりだけでなく、所有権と情報の隔たりも埋めています。
  • 商的流通:商品の売買を通じて、所有権を生産者から消費者へ移す機能。誰が代金を払って、誰のモノになるか、という流れ。
  • 物的流通:生産者と消費者の間にある空間的な隔たりと時間的な隔たりを橋渡しする機能。輸送や保管、それに流通加工が含まれる。
  • 情報流通:生産者と消費者の間にある情報の隔たりを埋める機能。顧客が何を求めているかが生産者に伝わらない、あるいは生産者の情報が顧客に伝わらない、という隔たり。
機能何をする機能か
商的流通売買で所有権を移す
物的流通空間的・時間的な隔たりを橋渡し(輸送・保管・流通加工)
情報流通情報の隔たりを埋める

聞き手は講師の説明を、自分の言葉で言い直しながら確かめていきます。

お金と権利の流れ、ということですね。

物的流通は、生産者と消費者の間にある空間的な隔たりと時間的な隔たりを橋渡しする機能です。

空間的な隔たりというのは、作られる場所と買われる場所が離れていること、時間的な隔たりというのは、作られる時期と買われる時期がずれていること、ということですよね。

その理解で正確です。

つまり流通って、モノの隔たりだけじゃなくて、お金・権利の隔たりと、情報の隔たりも一緒に埋めている、ということなんですね。今まで「運ぶこと」しか見えていませんでした。

ネット通販で3つを全部体験している

講師は、身近な場面に置き換えます。あなたがネット通販で何かを買うとき、実は今の3つの機能を全部体験している、というのです。聞き手は「え、そうなんですか」と驚きます。

代金を支払い、商品が自分のものに商的流通注文した商品が配送され、手元に届く物的流通レビュー・商品説明・問い合わせ情報流通
ネット通販で買う場面には、3つの機能が全部含まれています。
場面機能
代金を支払い、商品が自分のものになる商的流通
注文した商品が配送され、手元に届く物的流通
レビュー・商品説明・問い合わせ情報流通

聞き手は「代金を払う場面と、荷物が届く場面と、レビューを読んだり問い合わせたりする場面って、確かに全部別の役割ですね」と気づき、今まで「配送されて終わり」くらいにしか意識していなかった、と振り返ります。

講師は続けます。この3つは、普段は流通業者がまとめて担ってくれているので意識しにくい。でも、事例企業が直販に踏み切るということは、この3つを自社でどこまで引き受けるかを考える、ということなのです。

これまで流通業者がまとめて担ってくれる商的流通物的流通情報流通直販に踏み切ると自社でどこまで引き受けるか商的流通物的流通情報流通商的流通だけでなく、物的・情報流通の負担も自社に移る
直販は「間に人を挟まない」だけの話ではありません。

この3つは、普段は流通業者がまとめて担ってくれているので意識しにくいんです。でも、事例企業が直販に踏み切るということは、この3つを自社でどこまで引き受けるかを考える、ということなんです。

なるほど、直販って「間に人を挟まない」ってだけじゃなくて、「その人が担っていた3つの機能を、自分で持つことになる」という話なんですね。本番でこの視点、絶対抜けます。気をつけます。

与件文でどう見分けるか

ここからは、与件文でこの3つをどう見分けるか、着眼点の整理です。機能ごとに、拾うべき記述が決まっています。

取引関係・代金決済商的流通輸送・在庫・保管・加工生産地と消費地が離れている物的流通顧客ニーズが生産者に伝わっていない(逆も)情報流通
与件文の記述がどの流れの話かを見分けます。
  • 商的流通:販売や仕入れの取引関係、代金決済に関する記述。誰がいくらで買って、誰が代金を払っているか、という記述。
  • 物的流通:輸送・配送、在庫・保管、流通加工に関する記述。それに空間的な隔たりや時間的な隔たりを示す記述で、生産地と消費地が離れている、生産時期と消費時期が異なる、といった書き方。
  • 情報流通:顧客ニーズが生産者に伝わっていない、あるいは生産者側の情報が顧客に伝わっていない、という記述。

物的流通のサインについて、聞き手は「遠いところから運んでいる」「季節によって作れる時期と売れる時期がずれる」といった記述があれば、と自分の言葉で確かめ、講師は「その通りです」と認めています。

それってつまり、「遠いところから運んでいる」「季節によって作れる時期と売れる時期がずれる」みたいな記述があったら、物的流通のサインだと考えていいということですね。

その通りです。最後は情報流通です。顧客ニーズが生産者に伝わっていない、あるいは生産者側の情報が顧客に伝わっていない、という記述です。

あ、これ、私、読み飛ばしてました。「顧客の声が届いていない」みたいな一文、なんとなく背景説明だと思って流していたんですが、あれって情報流通の課題を示すサインだったんですね。

気づけただけで十分です。

聞き手のように、背景説明だと思って流してしまいがちな一文こそ、情報流通のサインになりえます。与件文を読むときは、取引・代金、輸送・保管・距離や時期のずれ、情報の伝わり方、という3つの目で拾っていきましょう。

与件文の情報を整理する2段階

講師は、与件文の情報の整理を2段階で示します。まず、与件文中の流通に関する課題を、この3つのどれに当たるかで仕分けます。聞き手は、仕分けの問いをこう言い換えました。

  • 「誰が代金を払うか、所有権が誰にあるか」の記述なら商的流通
  • 「モノがどう運ばれ、どこに保管されるか」の記述なら物的流通
  • 「情報が誰に伝わっていて、誰に伝わっていないか」の記述なら情報流通

講師はこれに「そうです」と応じたうえで、2段階目に進みます。事例企業が直販やインターネット活用によって、どの機能を自社で担おうとしているのか、あるいはどの機能を卸や小売に委ねたままなのか。これを整理します。

つまり、課題を仕分けるだけじゃなくて、「今、誰がその機能を担っているか」まで把握するということですね。

はい。ここまで整理できていると、解答の骨格がかなり見えてきます。

仕分けと、担い手の把握、この2段階を踏むだけでも、書ける内容がだいぶ変わりそうです。次はいよいよ解答の書き方ですね。

整理の2段階

  • ①仕分け:与件文中の流通に関する課題を、商的・物的・情報流通のどれに当たるかで分ける
  • ②担い手の把握:直販やインターネット活用で自社が担おうとしている機能と、卸や小売に委ねたままの機能を整理する

解答の型:機能を明示する

解答への落とし込み方です。型は「〜という課題は、流通の〜機能が果たされていないことが原因である。〜という施策により、この機能を自社で担うことで、〜という効果を実現する」という組み立てです。聞き手は、これを課題、原因になっている機能、施策、効果という順番だと確認しました。

課題〜という課題は原因の機能流通の〜機能が果たされていないことが原因施策〜という施策により、この機能を自社で担う効果〜という効果を実現する
「どの機能か」を明示するのが、型の一番のポイントです。

講師が一番大事だと強調するのは、「流通を改善する」という抽象的な書き方で終わらせないことです。3つの機能のどれに効くのかを、必ず明示します。

ここで一番大事なのは、「流通を改善する」という抽象的な書き方で終わらせないことです。3つの機能のどれに効くのかを、必ず明示してください。

「効率化する」だけだと、読み手からすると何をどう良くしているのか分からないですもんね。「情報流通の機能を自社で担うことで」まで書けば、根拠が一気にはっきりします。

その一言があるかないかで、答案の説得力がまったく変わります。

「情報流通の機能を自社で担うことで」のような一言を入れる。この一言が、答案の根拠をはっきりさせるのです。

混同しやすい3つの誤り

型が分かったところで、聞き手は「逆にやりがちな失敗も知っておきたい」と言います。講師は、混同しやすいポイントを3つ挙げます。

1つ目は、商的流通、物的流通、情報流通を混同することです。聞き手は、モノの流れと、お金・権利の流れと、情報の流れは別物なのに、まとめて「流通」の一言で片付けてしまうことだ、と言い換えます。講師は「その通り」と認め、与件文の課題がどの流れの問題かを、丁寧に取り違えないようにと念を押します。

2つ目は、流通機能の話と、単なる「効率化」を混同することです。3つの機能のどれを強化・代替するのかを明確にせず、漠然と「効率化する」とだけ書くと、説得力が弱くなります。流通機能の視点と単なる効率化の視点は、似ているようで根拠の重さがまったく違う、と講師は言います。

これはさっきの解答の型のところでも出てきましたね。

そうです。3つの機能のどれを強化・代替するのかを明確にせず、漠然と「効率化する」とだけ書くと、説得力が弱くなります。

なるほど、効率化はあくまで結果であって、その手前に「どの機能を担うか」という判断があるということですね。

3つ目は、直販化の提案で、商的流通だけでなく物的流通・情報流通も自社で担うことになる点を見落とすことです。講師は、さっき身近な例で確認した通りだと言います。

3つ目は、さっき身近な例で確認した通りです。直販化の提案をする際、商的流通だけでなく、物的流通・情報流通も自社で担うことになるという点を見落とすことです。

直販は所有権移転だけじゃなくて、輸送・保管・情報伝達の負担も自社に移る、という視点、本当に大事ですね。私、以前この視点が抜けていて、「直販にすれば解決」とだけ書いて、点が伸びなかった理由が今はっきり分かりました。

誤り起きること
3機能の混同課題がどの流れの問題か取り違える
機能と効率化の混同どの機能を担うか不明で説得力が弱い
直販で商的流通だけ見る物的・情報流通の負担を見落とす

まとめ

動画の整理

  • 与件文に流通の課題が出たら、まず商的流通・物的流通・情報流通のどれの話かを、記述から仕分ける
  • 代金・所有権の記述は商的流通、輸送・保管・距離や時期のずれの記述は物的流通、情報が伝わっていない記述は情報流通
  • 事例企業が今どの機能を自社で担い、どの機能を委ねているかを整理し、施策によってどの機能を自社で担うことになるのかを解答に明示する
  • 「流通を改善する」で終わらせず、「〜機能を自社で担うことで」まで書く
  • 直販化では、商的流通だけでなく物的・情報流通の負担も一緒に移ることを忘れない

講師は、この3点を押さえておけば、流通の課題が出てきたときに、根拠のはっきりした答案が組み立てられるはずだと話します。聞き手は最後に、流通が「運ぶこと」だけじゃないと分かっただけで、与件文の読み方が変わりそうだと振り返っていました。「効率化しましょう」で終わらせず、どの機能が果たされていないのかを言葉にする。それが、チャネル戦略の根拠になります。

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