聞き流しラボby kufu-yaWebテキストNEW
中小企業診断士 2次試験

知識ではなく、解き方を聞く。

1次試験の合格者に向けて、与件文の読み方、設問の切り分け方、解答の型を、事例ごとに解説します。

事例別の過去問解説重要論点講義ファイナルペーパー
診断士 聞き流しラボ 2次試験対策

インターネット販売

事例Ⅱ 第20回

事例Ⅱ ネット販売を始めるだけで終わらせない。配送費用と実店舗連携9分36秒2026年8月19日公開

「インターネット販売の知識は知っているけれど、与件文で『配送費用がかさんで利益が出ない』という記述を見たとき、これを書くところだと気づけますか?」。動画はこんな問いかけから始まります。このページでは、出題のされ方、与件文の着眼点、課題の見極め、実店舗との双方向の連携策、解答の型、混同しやすい誤答を、動画の流れにそってまとめました。まず動画を聞いて、あとからここで復習するのがおすすめです。

「ネットで売っている」と書いてあったら、何を書く?

動画は、講師のこんな問いかけから始まります。インターネット販売という知識はあっても、与件文に「配送費用がかさんで利益が出ない」といった記述を見たとき、これを書くところだと気づけますか、と。聞き手の答えは正直でした。具体的には結びつけられていない。「ネットで売っています」と書いてあると、なんとなく良いことのように読んでしまい、コストの話までは意識が向いていない、と言います。

講師はそこがまさに落とし穴だと受けて、今日の位置づけを説明します。前回扱ったのは、インターネット・マーケティングという手段の使い方です。今日はその中でも、実際に商品を販売する場面に絞って、二次の現場でどう見抜き、どう答案に落とし込むかを見ていきます。

マーケティングの話と、今日の販売の話って、どう線を引けばいいんですか?

伝える・つながる手段の話と、実際に取引を成立させる話、という違いがあります。今日は後者、ネットで実際に商品を売るという場面にしぼって、その特徴と留意点を掘り下げます。

聞き手が「売る場面に絞って、特徴と留意点を見ていくんですね」と確認したとおり、今日の焦点は2つです。ネット販売ならではの特徴と、答案に書くときの留意点。「ネットで売っているから良いこと」と読み流さず、コストの話まで意識を向けられるようになるのが狙いです。

このページでは、出題のされ方、与件文の着眼点、情報の整理、解答の型、混同しやすい誤答の順に、動画の流れにそってまとめます。

出題のされ方は2パターン

講師はまず、どんな出方をするかを整理します。1つ目は、与件文に「ネット販売を始めたけれど、配送費用がかさんで利益が出ない」という課題が書かれていて、その解決策として問われるパターンです。

聞き手が、配送費用がかさむのはなぜかと尋ねます。講師の説明は次の構造です。1回あたりの注文金額が小さいのに、配送費用は毎回かかる。だから売上に対する配送費用の割合が重くなる。中小企業ではここが現実的な負担になりやすい、といいます。

1回の注文金額が小さい配送費用は毎回かかる売上に対する配送費用の割合が重くなる(中小企業では現実的な負担)
注文が小口だと、配送費用だけが相対的に重くなります。

聞き手は「注文が小口だから、配送費用だけが相対的に重くなる」とまとめていました。

2つ目は、実店舗とネットショップの両方を持っている事例企業で、両者をどう連携させるかを問う設問です。

実店舗もネットも両方あるなら、それぞれ別々にやればいいんじゃないんですか?

それだと機会損失なんです。

つまり、出題は大きく2つの顔を持ちます。配送費用がかさんで利益が出ないという収益性の課題と、実店舗とネットショップをどう連携させるかという設問です。与件文でどちらの匂いがするかを意識しながら読むと、後の着眼点がつかみやすくなります。

講師はもう一点、押さえてほしいことを挙げます。この論点は単独の設問というより、新規顧客開拓や商圏拡大といった上位の狙いの具体策として、前回扱ったインターネット・マーケティングの総論と組み合わせて出ることが多い、という点です。

与件文の着眼点は3つ

では、与件文のどこを見ればこの論点だと気づけるのか。講師が挙げる着眼点は3つです。

① 強みにつながる記述情報発信(商品情報・在庫)と情報収集(顧客情報)② 配送費用の課題を示す記述1回の注文金額が小さく、配送費用の負担が重い③ 実店舗との連携の手がかり実店舗とネットの両方・カタログ配布・メルマガこの論点を疑うネット販売の記述を見たとき
3つの着眼点のどれかが出たら、この論点を疑います。

1つ目:インターネット販売の強みにつながる記述

強みは大きく2つに分かれます。

強み与件文の書かれ方
情報発信商品情報や在庫状況を常に発信できている
情報収集顧客情報を直接収集できている/アンケートやノベルティでプロモーションできている

情報発信について講師は、実店舗では今日の在庫や新商品を全員に一斉に伝えるのは難しいが、ネットならそれができる強みだと説明します。聞き手は「更新すればすぐ伝わる、という強みですね」と受けました。情報収集については、実店舗だと接客した人の感覚に頼りがちなのに対し、ネットなら顧客のデータとして直接集まってくる、という強みです。

私、なんとなく「ネットは便利」ってだけで読んでて、この2つに分けて捉えられてませんでした。

そこを分けて読めるようになると、答案の説得力が変わります。

2つ目:配送費用の課題を示す記述

1回あたりの注文金額が小さくて、配送費用の負担が重い、という弱みの記述です。先ほどの、注文が小口だからコストが重くなる話に対応します。

3つ目:実店舗との連携の手がかりになる記述

講師が挙げる手がかりは3種類です。

  • 実店舗とネットショップの両方を持っている
  • 実店舗でカタログを配布している
  • メールマガジンで実店舗のセール情報を配信している

こういった記述があれば要注意だといいます。聞き手は、カタログやメルマガは一見ただの販促の話に見えるが、それも今日の論点の手がかりになるのですね、と確認しました。

情報の整理:まず課題を見極める

着眼点が拾えたら、次は情報の整理です。最初にやるのは、与件文の課題が「販売機会の拡大」なのか、「収益性、つまり配送費用等のコスト」なのかの見極めです。

与件文の課題は?販売機会の拡大収益性(配送費用等のコスト)強みを活かす情報発信・情報収集商品情報の充実品揃え改善配送費用を低減1回あたりの注文金額を高める(まとめ買いの提案)
課題が機会の拡大か収益性かで、考える方向が分かれます。
課題考える方向提案の例
販売機会の拡大強みを活かす商品情報の充実、顧客の声を集めた品揃え改善
収益性配送費用を低減まとめ買いの提案で注文金額を高める

見分け方はこうです。販売機会の拡大が課題なら、さきほどの情報発信・情報収集という強みを活かす方向で考えます。商品情報の充実や、顧客の声を集めた品揃え改善といった提案です。聞き手は「強みを伸ばす方向で答える、ということですね」と受けていました。

一方、収益性が課題なら、1回あたりの注文金額を高める工夫、たとえばまとめ買いの提案などによって、配送費用を低減させる方向で考えます。

たとえるなら、どんな感じですか?

たとえば、送料無料になる金額のラインまであと少し、というときに、もう一品買い足そうかなと思ったことないですか。あれと同じ発想です。

送料無料ラインのたとえ

講師のたとえです。1回の注文でまとめて買ってもらうことで、売上に対する配送費用の割合を下げる、という発想になります。

あー、それわかります。送料が気になって、結局まとめて注文しちゃう、あの感覚ですね。

その理解で大丈夫です。

聞き手は、事例企業の側から見ると、まとめ買いを促すことで配送費用の負担を減らせる、ということですね、と整理しました。

実店舗があるなら、双方向の連携策を確認する

実店舗を持つ事例企業であれば、講師はもう一段掘り下げます。実店舗とネットショップを一方通行にせず、双方向に誘導し合う連携策を提案に含められないか確認する、ということです。

実店舗ネットショップ誘導誘導実店舗 → ネットカタログを配布してネット販売へ誘導ネット → 実店舗メルマガでセール情報や割引クーポンを届ける
実店舗からネットへ、ネットから実店舗へ。両方向がそろって連携です。

具体的には、実店舗ではカタログを配布してネット販売へ誘導する。ネットショップ側では、メールマガジンでセール情報や割引クーポンを届けて、実店舗へ誘導する。講師は「この両方向がそろって、初めて連携と呼べます」と言います。

双方向っていうのは、実店舗からネットへ、ネットから実店舗へ、両方向ということですか?

そうです。この両方向がそろって、初めて連携と呼べます。

片方だけだと、ただの案内で終わっちゃうけど、両方向にすると、行き来する仕組みになるんですね。

解答の型:「始める」で終わらせない

解答の基本の型は、課題、施策、効果の3つをつなげて書くものです。講師は次のように示します。「〜という課題、配送費用の負担や販売機会の限定などに対し、〜という施策、まとめ買いの提案や実店舗との相互誘導などにより、〜という効果、収益性の改善や販売機会の拡大などを実現する」。

課題(〜という課題)配送費用の負担・販売機会の限定など施策(〜という施策)まとめ買いの提案・実店舗との相互誘導など効果(〜という効果)収益性の改善・販売機会の拡大など
課題、施策、効果の3つをつなげて書きます。

聞き手は「課題、施策、効果、この3つをつなげて書く、ということですね」と確認し、講師は「そうです」と受けます。課題の欄には配送費用の負担や販売機会の限定、施策の欄にはまとめ買いの提案や実店舗との相互誘導、効果の欄には収益性の改善や販売機会の拡大が入る、というのが講師の挙げた例です。

ここで講師が一番大事だと言うのは、「ネット販売を始める」だけで終わらせないことです。実店舗との関係、つまり連携させるのか、独立させたままでいいのか、そこまで踏み込んで書きます。

それ、まさに私がやりがちなパターンです。「インターネット販売を強化し、売上を拡大する」って書いて、それで終わってました。

それだと、事例企業の実態に即した答案にならないんです。

講師が示した答案のイメージ

「実店舗のカタログでネット販売へ誘導しつつ、ネットショップのメルマガで実店舗のセール情報を届けることで、双方の来店・購入機会を増やす」。このくらいまで、具体的につなげてください、と講師は言います。

聞き手は「施策を書くときは、実店舗とネットの関係まで含めて考える、という意識ですね」と確認していました。

混同・誤答しやすい3つのポイント

最後に、講師は混同や誤答をしやすいポイントを3つ整理します。

1つ目:メリットだけを語り、デメリット・留意点に触れない

インターネット販売のメリットだけを語って、配送費用等のデメリットや留意点に触れないことです。情報発信・情報収集という強みを書くこと自体は間違いではありません。ただ、強みだけで終えず、配送費用の負担への対策まで書いて初めて、実態に即した答案になります。聞き手も、メリットを言うだけでなくコスト面の対策まで書くのですね、と確認していました。

メリットばかり書いちゃう、っていうのは分かる気がします。

特に中小企業では配送費用の負担は現実的な課題です。メリットを書くなら、対策とセットで提案してください。強みだけ書いて終わると、片手落ちの答案になります。

2つ目:実店舗とネットショップを別物として扱う

連携の提案を忘れることです。与件文に実店舗の記述があるのに、ネットの話だけで完結させてしまうと、事例企業が実店舗を持っているという設定を活かせていない答案になります。実店舗の記述があれば、双方向の誘導策を組み込めないか必ず確認してください、と講師は念を押します。

3つ目:前回の総論と混同する

前回扱ったインターネット・マーケティングの総論には、新規顧客開拓、既存顧客の固定化、製品開発や品揃え改善という3つの目的がありました。これと混同して、販売そのものの特徴・留意点に触れないまま一般論で終わらせることです。

それ、最初に私が聞いた質問ですね。伝える・つながる話と、実際に売る話の違い。

そうです。今日の論点は、あくまで実際に商品を「販売」する場面での、情報発信・情報収集という特徴と、配送費用の低減・実店舗との連携という留意点。ここに焦点を絞って書くことを忘れないでください。

誤りどうなるか対策
メリットだけ語る片手落ちの答案対策とセットで提案
実店舗とネットを別物にする実店舗の設定を活かせない双方向の誘導策を確認
総論と混同する一般論で終わる特徴と留意点に絞る

答案を書く前に見るところ(動画の整理)

  • 与件文に、商品情報・在庫状況の発信や顧客情報の直接収集の記述があるか
  • 課題が「販売機会の拡大」か「収益性(配送費用等)」か
  • 実店舗の記述があれば、実店舗からネット、ネットから実店舗の双方向の誘導策を組み込めないか

まとめ

動画の整理

  • インターネット販売は、前回のマーケティング(伝える・つながる手段)とは別に、実際に販売する場面の特徴と留意点を問われる
  • 着眼点は3つ:強みにつながる記述(情報発信・情報収集)、配送費用の課題を示す記述、実店舗との連携の手がかりになる記述
  • まず課題が販売機会の拡大か収益性かを見極める。拡大なら強みを活かす方向、収益性ならまとめ買いなどで配送費用を下げる方向
  • 実店舗を持つ事例企業なら、実店舗はカタログでネットへ、ネットはメルマガで実店舗へ、という双方向の連携策を必ず確認する
  • 答案は課題・施策・効果をつなぎ、「ネット販売を始める」で終わらせず実店舗との関係まで書く
  • 誤答は3つ:メリットだけを語る、実店舗とネットを別物にする、前回の総論と混同する

動画の最後に、聞き手は「『ネットで売る』で終わらせずに、配送費用と実店舗との関係まで見る。今日でその視点が整理できました」と話しています。講師の言葉では、デメリットへの対策とセットにすること、実店舗とネットを別物として扱わないこと、前回の総論と混同しないこと、この3つに気をつければ、本番でこの論点をしっかり得点につなげられる、ということです。

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