聞き流しラボby kufu-yaWebテキストNEW
中小企業診断士 2次試験

知識ではなく、解き方を聞く。

1次試験の合格者に向けて、与件文の読み方、設問の切り分け方、解答の型を、事例ごとに解説します。

事例別の過去問解説重要論点講義ファイナルペーパー
診断士 聞き流しラボ 2次試験対策

インターネット・マーケティングの3つの目的の見抜き方

事例Ⅱ 第23回

事例Ⅱ ホームページを作るで終わらせない、3つの目的の見抜き方8分49秒2026年8月19日公開

「インターネット・マーケティングって、知識としては知ってるけど、実際に与件文で見たとき、これが新規顧客開拓の話なのか、既存顧客の固定化の話なのか、パッと判断できますか?」。動画はこんな問いかけから始まります。このページでは動画の流れにそって、3つの目的の見分け方、それぞれが実現する理屈、与件文の4つの着眼点、整理の手順、解答の型と混同しやすい誤りをまとめました。まず動画を聞いて、あとからここで復習するのがおすすめです。

「インターネットを使いましょう」で当たりなのか

動画は、聞き手への問いかけから始まります。インターネット・マーケティングの知識は持っている。けれど、実際に与件文で見たとき、これが新規顧客開拓の話なのか、既存顧客の固定化の話なのか、パッと判断できるか。聞き手は正直に、そこまで区別せずに読んでいたと認めます。

正直そこまで区別せずに読んでます。「インターネットを使いましょう」って書けば当たってるだろう、くらいの感覚で解答を組み立ててました。

そこなんです。今日は、インターネット活用そのものではなく、それを何のために使うのか、という「目的」の見分け方を軸に、二次の現場でどう使うかをやっていきます。

講師は先に、手段の確認をします。ホームページ、ブログ、電子メール、電子商取引、そして実店舗とネットを両方持つクリック&モルタル。聞き手は、ここまでは1次試験で覚えていると答えます。そこで講師は、今日はその手段の名前を並べる話ではなく、その手段を使って何を実現するのか、目的の側から見ていくと宣言します。

課題の書かれ方で、3つの目的に仕分ける

聞き手が「実際、どういう出方をするんですか」と聞くと、講師はまず事例Ⅱの中小企業の特徴を挙げます。店舗が届く範囲でしか商売できていない、という物理的な制約を抱えていることが多い、というのです。そこから、課題の出方は3パターンに分かれます。

  • 商圏を広げたい、遠方の顧客にもアプローチしたいという課題。まず新規顧客開拓の場面だと考える。
  • 既存の顧客との関係が浅い、個別対応ができていないという課題。既存顧客の固定化の場面。
  • 顧客の声を製品や品揃えに反映する仕組みがないという課題。製品開発・品揃え改善の場面。
商圏が店舗の範囲に限られる新規顧客開拓既存客との関係が浅い個別対応ができない既存顧客の固定化顧客の声を反映する仕組みがない製品開発・品揃え改善
課題の書かれ方で、3つの目的のどれかが決まります。

商圏の話が出たら新規顧客開拓、と。

そうです。もう一つのパターンは、既存の顧客との関係が浅い、個別対応ができていない、という課題。これは既存顧客の固定化の場面です。

顧客との距離感の話ですね。

はい。そして三つ目、顧客の声を製品や品揃えに反映する仕組みがない、という課題。これは製品開発・品揃え改善の場面です。

聞き手は、新規顧客開拓、既存顧客の固定化、製品開発・品揃え改善の3つに整理し直して、「どれに当たるかで出方が変わるんですね。私、今まで『インターネットを使えば大体解決する』くらいにしか読んでませんでした」と振り返ります。講師の答えは、そこを分けて読めるようになると、答案の的の絞り方が変わるというものでした。

なぜその目的が実現するのか

3つの目的は、ただ覚えるものではありません。講師は、それぞれ「なぜその目的が実現するのか」という理屈も押さえておくよう言います。理屈が分かっていれば、答案の中でインターネットの特性と目的を結びつけて書けるからです。

新規顧客開拓インターネットに物理的な制約がない→ 商圏を広げられる既存顧客の固定化顧客との対話と購買履歴に基づく個別提案→ ロイヤルティ向上製品開発・品揃え改善双方向性を活かし顧客の声を集める→ 新製品・改善に活用
目的ごとに、インターネットのどの特性が効くのかが決まっています。

新規顧客開拓は、インターネットに物理的な制約がないからこそ、商圏そのものを広げられるという理屈です。既存顧客の固定化は、顧客とのコミュニケーションや、購買履歴に基づく個別提案によって、ロイヤルティの向上が見込めるという理屈。製品開発・品揃え改善は、インターネットの双方向性を活かして、顧客の声を集め、新製品や商品の改善に活かせるという理屈です。

店舗の場所に縛られない、という特性がそのまま効くんですね。

そうです。既存顧客の固定化は、顧客とのコミュニケーションや、購買履歴に基づく個別提案によって、ロイヤルティの向上が見込める、という理屈です。

一人ひとりに合わせた提案ができるから、離れにくくなる、ということですね。

はい。製品開発・品揃え改善は、インターネットの双方向性を活かして、顧客の声を集め、新製品や商品の改善に活かせる、という理屈です。

一方的に発信するだけじゃなくて、聞く方にも使える、という特性ですね。

講師は、この3つの理屈を押さえておくと、与件文のどの記述に反応すればいいかも見えやすくなるとまとめます。次はその、与件文の見方です。

与件文のサイン:着眼点は4つ

「与件文のどこを見たら、この3つを見分けられるんですか」という聞き手の問いに、講師は着眼点を大きく4つ挙げます。

① 商圏の制約を示す記述実店舗のみ・遠方の引き合い新規顧客開拓② 既存顧客との関係の記述接点が限られる・個別対応なし既存顧客の固定化③ 製品開発に関わる記述ニーズを反映する仕組みがない製品開発・品揃え改善④ 活用の土台を示す記述HP・SNS・メールアドレス収集提案のレベルを決める
4つ目は目的ではなく、提案の出発点を決めるサインです。
  • 商圏の制約を示す記述:実店舗のみで営業している、来店できる顧客に限られている、遠方から引き合いがあるのに対応できていない、といった書かれ方。
  • 既存顧客との関係に関わる記述:顧客との接点が限られている、個別対応ができていない、という弱み。
  • 製品開発・品揃え改善に関わる記述:顧客のニーズを製品に反映する仕組みがない、という記述。
  • インターネット活用の土台がすでにあることを示す記述:ホームページを持っている、SNSを使っている、メールアドレスを収集している、といった記述。

そして4つ目が、実はここが見落とされがちなんですが、インターネット活用の土台がすでにあることを示す記述です。ホームページを持っている、SNSを使っている、メールアドレスを収集している、という記述があるかどうかです。

土台があるかどうかも、着眼点に入るんですね。

はい。土台があるかないかで、提案できる施策のレベルが変わってきます。

1つ目から3つ目は、聞き手が講師の説明を聞きながら「それは新規顧客開拓のサインですね」と、そのつど3つの目的に結びつけていきます。そして講師が特に強調するのが4つ目です。見落とされがちなのが、土台の有無。目的の見分けだけでなく、「どこまで踏み込んだ提案ができるか」を決めるサインだからです。

整理の手順:仕分け、そして土台とつなぐ

実際に整理するときの手順を、聞き手が尋ねます。講師が示したのは2段階です。

① 課題を3つの箱に仕分ける② 活用の土台とつなげる土台があるそれを起点に具体化する土台がない基本の発信手段の整備から提案する
仕分けたあとで、与件文にある資産の有無を見ます。

第1段階は、課題の仕分けです。与件文の課題を、新規顧客開拓、既存顧客の固定化、製品開発・品揃え改善のどれに当たるかで分けます。商圏の制約が課題なら新規顧客開拓、個別対応の弱さが課題なら既存顧客の固定化、顧客の声を活かせていないことが課題なら製品開発・品揃え改善。聞き手は「課題を3つの箱に振り分ける、というイメージですね」と受け止めます。

第2段階は、土台とのつなぎです。振り分けたら、さきほどの4つ目の着眼点、インターネット活用の土台と結びつけます。すでにホームページがあるなら、それを起点に具体化する。何もないなら、まず基本的な発信手段の整備から提案する。この順番です。

講師のたとえ:自転車

すでに自転車を持っている人に、次は電動アシストに買い替えましょうと提案するのと、自転車を持っていない人に、まず自転車を買いましょうと提案するのとでは、話の始め方が違います。それと同じで、与件文にある資産の有無で、提案の出発点を変える、というたとえです。

あー、それわかります。持ってるものを土台にする発想と、ゼロから始める発想は、確かに違いますね。事例企業側から見ると、与件文に書かれている資産をまず確認する、ということですね。

その理解で大丈夫です。既存顧客の固定化を狙う場合は、もう一歩踏み込んで、顧客情報を一元管理できているかも見てください。

講師はこの先に、既存顧客の固定化を狙う場合の確認ポイントを1つ加えます。顧客情報を一元管理できているかです。誰が、どんな購買状況で、どんな要望を持っているかが分かる仕組みがあれば、それを使った個別提案が具体化しやすくなる、と言います。

情報を集めるだけじゃなく、それを整理して使える状態にしておく、ということですね。

その通りです。ここまで整理できれば、あとは実際の解答にどう落とし込むかです。

解答の型:制約、特性、目的をつなげる

では、解答の型です。講師が示した基本形は、「〜という制約に対し、インターネットの〜という特性を活かし、〜を実現する」という流れです。最初の〜には商圏の狭さや個別対応の弱さなど、2つ目の〜には物理的制約がない、双方向性があるなど、最後の〜には新規顧客開拓・既存顧客の固定化・製品開発や品揃え改善のどれかが入ります。

① 制約(〜という制約に対し)商圏の狭さ・個別対応の弱さなど② 特性(〜という特性を活かし)物理的制約がない・双方向性があるなど③ 目的(〜を実現する)新規顧客開拓・既存顧客の固定化・製品開発や品揃え改善
制約、特性、目的の3つをつなげて書きます。

制約、特性、目的、この3つをつなげて書く、ということですね。

はい。ここで一番大事なのは、「ホームページを作る」で終わらせないことです。

聞き手は、この点について耳の痛い告白をします。「インターネットを活用し、顧客との関係を強化する」と書いて、それで満足していた、と。講師はこう指摘します。それでは、何のために作るのかが採点者に伝わらない。目的とつなげて、次のくらいまで書いてほしい、と言うのです。

聞き手が書きがちな答案講師が示した書き方
インターネットを活用し、顧客との関係を強化するメール配信の仕組みを整え、購買履歴に基づく個別提案を行う
目的が見えない既存顧客の固定化を図る、と目的まで書く

講師が示した模範の書き方

「会員向けにメール配信の仕組みを整え、購買履歴に基づく個別提案を行うことで、既存顧客の固定化を図る」

それ、まさに私がやりがちなパターンです。「インターネットを活用し、顧客との関係を強化する」って書いて、それで満足してました。

それだと、何のために作るのかが採点者に伝わりません。「会員向けにメール配信の仕組みを整え、購買履歴に基づく個別提案を行うことで、既存顧客の固定化を図る」くらいまで、目的とつなげて書いてください。

手段を書くときは、必ず3つの目的のどれに効くのかまでセットで書く、という意識ですね。

聞き手のまとめ方が、この章の要点です。手段を書くときは、3つの目的のどれに効くのかまでセットで書く。手段の名前だけで答案を終えない、という意識を持っておきます。

混同・誤答しやすい3つのポイント

講師は、最後に混同・誤答しやすいポイントを3つ整理します。ここまでの話の裏返しなので、整理しながら確認していきましょう。

誤りなぜ困るか対策
手段の名前だけで終わる何のためかが伝わらない目的とセットで書く
土台がないのに高度な施策浮いた答案になる土台の有無を先に確認
3つの目的を混同課題と打ち手がずれる課題に合わせて選ぶ

1つ目は、目的を明示せず、手段の名前だけで終わらせることです。「ホームページを作る」「SNSを始める」だけでは、何のためかが採点者に伝わりません。これは、さきほどの「目的とセットで書く」の話そのものです。

2つ目は、与件文にインターネット活用の土台が無いのに、いきなり高度な施策を提案してしまうことです。土台の有無を確認してから提案する、という順番を忘れないよう、講師は念を押します。聞き手は「土台がないのに、いきなり個別提案とか言い出しちゃうと、浮いた答案になっちゃいますね」と受け止めていました。

3つ目は、3つの目的を混同することです。新規顧客開拓、既存顧客の固定化、製品開発や品揃え改善は、それぞれ異なる課題に対応する打ち手です。与件文の課題に合わせて選ぶ必要があります。

さっきの、目的とセットで書くところですね。

2つ目は、与件文にインターネット活用の土台が無いのに、いきなり高度な施策を提案してしまうことです。土台の有無を確認してから提案する、という順番を忘れないでください。

土台がないのに、いきなり個別提案とか言い出しちゃうと、浮いた答案になっちゃいますね。

そうなんです。3つ目は、新規顧客開拓・既存顧客の固定化・製品開発や品揃え改善という3つの目的を混同することです。それぞれ異なる課題に対応する打ち手なので、与件文の課題に合わせて選ぶ必要があります。

3つを一緒くたにせず、課題に合わせて使い分ける、ということですね。

答案を書く前に確かめたいこと

  • 与件文の課題は、3つの目的のどれに当たるか
  • ホームページ・SNS・メールアドレスなど、活用の土台はすでにあるか
  • 既存顧客の固定化なら、顧客情報を一元管理できているか
  • 手段の名前だけで終わらず、目的まで書き切っているか

この回の位置づけ

最後に講師は、この回の守備範囲をはっきりさせます。実際に商品を販売する場面や、情報発信の向きを詳しく見分ける場面は、それぞれ別の回で掘り下げる、というのです。今日はあくまで、目的を見分けるという土台の部分を押さえてください、と講師は言います。聞き手も、「今日は目的の見分け方、それ以外の個別の施策は別の回で深掘りする、という位置づけなんですね」と確認しています。

まとめ

動画の整理

  • インターネット活用の目的は3つ:新規顧客開拓、既存顧客の固定化、製品開発・品揃え改善
  • 目的ごとに理屈がある:物理的制約がない(商圏拡大)、対話と購買履歴(ロイヤルティ向上)、双方向性(顧客の声を活かす)
  • 与件文の着眼点は4つ:商圏の制約、既存顧客との関係、製品開発・品揃え改善、そして活用の土台
  • 手順は仕分け、土台の確認、目的まで書くの3つ
  • 誤答の3パターン:手段だけで終わる、土台がないのに高度な施策、3つの目的の混同

講師のまとめは、インターネット・マーケティングの論点が出たら、まず与件文の課題を3つの目的のどれかに仕分け、次に活用の土台がすでにあるかを確認し、そして手段の名前だけで終わらせず目的まで書き切る、というものでした。聞き手は「仕分け、土台の確認、目的まで書く。この3つですね」と言い直します。

動画の最後に、聞き手は「インターネット活用の話を、ちゃんと目的から考えられるようになった気がします」と話しています。「インターネットを使いましょう」と書けば当たる、という読み方から、課題を仕分けて、土台を確かめて、目的まで書く読み方へ。この3つを押さえておけば、本番でこの論点に出会ったときに、迷わず的を絞った答案が書けるはずだ、というのが講師の締めくくりです。

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