聞き流しラボby kufu-yaWebテキストNEW
中小企業診断士 2次試験

知識ではなく、解き方を聞く。

1次試験の合格者に向けて、与件文の読み方、設問の切り分け方、解答の型を、事例ごとに解説します。

事例別の過去問解説重要論点講義ファイナルペーパー
診断士 聞き流しラボ 2次試験対策

小売業者のマーケティング

事例Ⅱ 第27回

事例Ⅱ 4Pを並べる前に、誰に・どう位置づけるかを決める12分8秒2026年8月19日公開

「小売業を営む事例企業が出てくると、『誰に、どんな商品を、どう売るべきか』っていう助言問題、よく出ますよね」。動画はこんな問いかけから始まります。標的市場もポジショニングも4Pも知識としては知っているのに、本番でどこから手を付ければいいのか迷う。このページでは、出題のされ方、与件文の着眼点、整理の順番、一貫性の見方、解答の型、混同しやすい4つのポイント、本番のチェックポイントを、動画の流れにそってまとめました。まず動画を聞いて、あとからここで復習するのがおすすめです。

知識はあるのに、本番でどこから書くか迷う

動画は、小売業を営む事例企業が出てくる事例Ⅱの助言問題から始まります。「誰に、どんな商品を、どう売るべきか」という聞き方は、よく出ます。聞き手は、標的市場もポジショニングも4Pも、知識としては全部知っていると言います。それでも、本番でどこから手を付ければいいのか、いつも迷うのだそうです。

聞き手の悩みは具体的です。与件文を読んで、思いついた4Pの要素からとりあえず書き始めてしまう。あとで振り返ると、論理がつながっていないことがある。講師はこれを、バラバラに知っている状態と、本番で使える状態は別物だと受けます。

与件文を読んで、思いついた4Pの要素からとりあえず書き始めちゃうんですけど、あとで振り返ると論理がつながってないことがあって。

バラバラに知ってる状態と、本番で使える状態って、実は別物なんです。

そこで動画は、小売業のマーケティングを助言問題に組み立てるときの骨組みに絞ります。標的市場の決定から、ポジショニングの決定、そしてマーケティング・ミックスの4Pまで。この順番と使い方が、今日の主題です。

このページでは、動画の流れにそって、出題のされ方、与件文の着眼点、整理の順番、一貫性の見方、解答の型、混同しやすい4つのポイント、本番のチェックポイントの順にまとめます。

出題のされ方:標的市場とポジショニングをセットで問う

聞き手が最初に尋ねたのは、この論点が実際どんな問われ方をするのか、でした。講師によると、一番多いのは「今後どのような顧客層に、どのような商品・サービスを提供すべきか」という聞き方です。標的市場とポジショニングをセットで問うパターンです。

セットで、というのは?

「誰に」を聞いている時点で標的市場の話が含まれていて、「どのような商品・サービス」の部分にポジショニングと4Pの要素がにじんでいる、という設問です。片方だけ答えても不完全になりやすいんです。

もう一つは、聞き手が挙げた「今後どのようなマーケティング施策をとるべきか」という総合的な聞き方です。講師は、こちらは製品・価格・プロモーション・立地の4つの観点から答えを組み立てさせる出題で、字数がある程度大きい設問で出やすいと言います。

① 顧客層と商品を問うどのような顧客層にどんな商品・サービスを標的市場とポジショニングをセットで問う② 総合的な聞き方今後どのようなマーケティング施策を製品・価格・プロモーション・立地4観点で組み立てる定義そのものを問われることはほとんどない与件文の強み・機会を誰に・どう見せて・何をどう売るかに落とし込む
出題の型は2つ。定義を問う形はほとんどありません。

逆に、「小売業者のマーケティングとは何か」という定義そのものを聞かれることは少ない、と聞き手は言います。講師の答えは「ほとんどありません」。与件文から読み取った強みや機会を、誰に・どう見せて・何をどう売るか、という型に落とし込ませる出題が中心です。だから、定義を覚えていても、それだけでは点にならない、というのが講師の説明です。

知識はあるのに使えない、ってまさにこれですね。定義を暗唱できても、与件文のどこを見てその型に当てはめるかが分からないと、答案が書けない。

そのとおりです。次は、その「与件文のどこを見るか」の話に進みましょう。

与件文の着眼点①:標的市場

聞き手の最初の質問は、標的市場の決定に関わる部分は、与件文のどこを見ればいいのか、でした。講師の答えは、顧客層に関する記述です。大きく三種類あります。

  • 人口統計的な特徴:年代や性別、所得、家族構成。
  • 地理的な特徴:地域や自治体、気候。
  • 心理的な特徴:価値観や生活様式、こだわり。

この三種類のどれかが与件文に書かれていたら、標的市場を絞り込む材料になります。

人口統計的な特徴年代・性別・所得・家族構成地理的な特徴地域・自治体・気候心理的な特徴価値観・生活様式・こだわり既存顧客か新規顧客かどちらに重心を置くかを示す記述
顧客層に関する3種類の特徴と、既存・新規のどちらに重心があるかを見ます。

三種類もあるんですね。人口統計的なものは分かりやすいですけど、心理的な特徴って与件文だとどう出るんですか。

たとえば「健康志向」「こだわりの強い客層」「地元への愛着が強い」みたいな記述です。数字では出てこないけど、明らかにある種の価値観を持った客層を指しています。

あー、それ読み飛ばしそうです。数字が書いてないと、標的市場の材料だって気づかないかもしれません。

気づけるかどうかで差がつくところですね。

もう一つの材料は、既存顧客と新規顧客のどちらに重心を置くべきかを示す記述です。聞き手はこれを「既存客を大事にすべきか、新規開拓を狙うべきか、という話」と受け、講師が与件文の例を挙げます。

与件文の記述読み取れる重心
「常連客の来店頻度が落ちている」既存客側
「認知度が低く新規の流入が少ない」新規客側

与件文の着眼点②:ポジショニングと4P

次はポジショニングです。講師によると、見るところは二つあります。一つは競合他社との違いを示す記述、もう一つは事例企業自身の強みに関する記述です。

見る点与件文に出るもの
競合との違い大手チェーン・同業の中小店・代替品との違い
自社の強み品質・専門知識・接客・立地・歴史・こだわり

競合との違いと自社の強み、この二つを組み合わせて「どう見せるか」を決めるということですね。

そうです。強みだけを見ていても、競合の中でどう位置づくかが分からないと、差別化の根拠として弱くなります。

最後に、マーケティング・ミックスの4Pに関わる記述です。講師は、四つのどれかに当てはまる記述を拾い出していく、と言います。

4Pの要素見る記述
製品・サービス取扱商品・品揃え・サービス内容
価格価格帯・値付けの方針
プロモーション広告・チラシ・SNS・口コミ・イベント
場所(立地)店舗の立地・商圏・出店形態・販売チャネル

整理の順番:顧客、競合との違い、4Pの順

着眼点は分かった。でも与件文にはいろいろな記述が混ざって出てくる。それをどう整理すればいいのか、と聞き手は尋ねます。講師の答えは「順番が大事」。三段階です。

  • まず、顧客に関する記述を、標的市場、つまり「誰に」の材料として仕分ける。
  • 次に、競合との違いに関する記述を、ポジショニング、つまり「どう位置づけるか」の材料として整理する。
  • 最後に、商品・価格・販促・立地に関する記述を、マーケティング・ミックス、つまり「何を・どう」の材料として整理する。
① 顧客に関する記述年代・地域・価値観など標的市場「誰に」② 競合との違いの記述大手・同業の中小店などポジショニング「どう位置づけるか」③ 商品・価格・販促・立地に関する記述マーケティング・ミックス「何を・どう」4Pは一番あと。先に「誰に・どう位置づけるか」を決めないと、4Pの中身の正しさを判断できない
仕分ける順番は、顧客、競合との違い、4Pの順です。

顧客の話が先で、4Pの話は一番あとなんですね。私、逆に4Pの記述から目に留まって、先にそっちを書きたくなっちゃうんですけど。

その気持ち、よく分かります。でも4Pって「何をどう売るか」の話なので、先に「誰に・どう位置づけるか」が決まっていないと、4Pの中身が正しいかどうか判断できないんです。

順番を間違えると、あとから見て根拠のない4Pになってしまう、ということですか。

まさにそうです。

講師は、もう一つ大事なことを加えます。4Pは、四つを独立にバラバラ挙げるだけでは足りません。決めた標的市場・ポジショニングと矛盾しないように組み合わせる、という一貫性の視点です。

4Pは標的市場・ポジショニングと一貫させる

一貫性とは具体的にどういうことか、という聞き手の問いに、講師は一つのお店を例にします。

講師の例

地元のこだわりの強い客層を標的市場に選び、専門知識と丁寧な接客を強みにポジショニングを決めたお店。このとき、4Pのプロモーションで値下げチラシを大量にばら撒く施策を書いたらどうなるか。

標的市場地元のこだわりの強い客層ポジショニング専門知識と丁寧な接客4P:プロモーション値下げチラシを大量にばら撒く安さの訴求は、狙う客層とズレる
決めた方向性と4Pの中身が一本の線でつながっているかを確認します。

あ、それは矛盾しますね。こだわりの強い客層に専門知識で勝負するお店なのに、値下げで安さを訴求したら、狙っている客層とズレてしまいます。

そのとおりです。標的市場とポジショニングで決めた方向性と、4Pの中身が一本の線でつながっているか、書きながら確認する必要があるんです。

なるほど。バラバラに4つのPを思いつくのではなくて、前段で決めた「誰に・どう位置づけるか」に沿って4Pを選ぶ、という順番なんですね。

その感覚がつかめれば大丈夫です。

解答の型と、4Pの配分

では実際、解答にどう落とし込むか。講師には基本の型があります。

解答の基本の型

「〜という顧客層に対し、〜という強みを訴求するため、〜という製品・サービス、〜という価格、〜というプロモーション、〜という立地・販売チャネルを組み合わせて提供する。これにより〜という効果を実現する」

〜という顧客層に対し標的市場〜という強みを訴求するためポジショニング〜という製品・サービス〜という価格〜というプロモーション〜という立地・販売チャネル4Pを組み合わせて提供するこれにより〜という効果を効果の実現字数が限られる設問では、4Pを均等に書かない与件文の記述が最も厚いPを中心に、他は補足程度に
標的市場、ポジショニング、4P、効果の順に一文でつなぎます。

標的市場、ポジショニング、4P、効果、この順番で一文にまとめるんですね。

そうです。ただし、字数が限られる設問では、4Pをすべて均等に書こうとしないでください。

均等じゃなくていいんですか。てっきり製品も価格もプロモーションも立地も、それぞれちゃんと触れないといけないと思ってました。

与件文の記述が最も厚いPを中心に書くのが現実的です。多くの場合、製品・サービスとプロモーションの記述が厚くなりやすいので、この二つを中心に据えて、他のPは補足程度に触れる、という配分になりやすいです。

与件文の記述量に応じて、力の入れどころを変えるということですね。

そうです。全部を同じ重みで書こうとすると、かえって浅く広くなって、根拠の薄い答案になりがちです。厚みのある記述を軸にして、そこを深く掘り下げる方が、説得力のある答案になります。

混同しやすい4つのポイント

ここまでの流れを受けて、聞き手は混同しやすいポイントを尋ねます。講師が挙げたのは4つです。

1つ目は、標的市場の決定とポジショニングの決定の混同です。「誰に売るか」を決める前に「どう見せるか」を先に書いてしまうパターンです。

それ、さっきの一貫性の話にもつながりますよね。順番を間違えると。

そうです。標的市場が定まっていないうちにポジショニングを書くと、根拠のない差別化になりやすいんです。「専門性で勝負します」と書いても、誰を狙っての専門性なのかが抜けていると、説得力がなくなります。

2つ目は、一貫性の欠如です。4Pを思いつくまま羅列して、標的市場やポジショニングとの一貫性を欠くパターンです。講師は、高付加価値層を標的市場としているのに、価格だけ安売り訴求のプロモーションを書くと矛盾する、と説明します。先ほどの値下げチラシの例と同じ構造です。

これは二回目なので、私もう間違えない自信あります。

いいですね、その調子です。では三つ目に進みましょう。

3つ目は、この骨格の話と、客数や客単価を伸ばす個別の施策との混同です。ここでいう骨格とは、「誰に・どう位置づけ・4Pで何をするか」という話です。

客数を増やす施策とか、客単価を上げる施策とか、そういう具体的な打ち手の話ですよね。

そうです。今日扱っているのは、あくまで骨組みをどう組み立てるかという話であって、来店頻度を上げるとか購買点数を増やすといった個別の具体策は、また別の観点として扱うべきものです。

骨組みの話と、骨組みの中に入ってくる各論を、ごちゃ混ぜにしないということですね。

そうです。

講師は、今日の「誰に・どう位置づけ・4Pで何を」という型を先に固めておくと、あとから客数・客単価の具体策を勉強したときに、その型のどこに位置づく話なのかが整理しやすくなる、と言います。順番として、まず骨組みを押さえるのが大事、ということです。

4つ目は、STPと4Pの混同です。STP、つまりセグメンテーション・ターゲティング・ポジショニングの三段階と、マーケティング・ミックスの4つの要素を、一緒くたに列挙してしまうパターンです。聞き手は、両方知識としては知っているけれど、役割の違いは意識したことがなかった、と言います。

段階役割
STP「誰に・どう見せるか」を決める。標的市場とポジショニングの決定がここに当たる
4P決めた方向性を「どう実現するか」を決める

決める段階と、実現する段階。役割が違うんですね。

そうです。答案の中でも、この二つを混ぜて羅列するのではなく、まずSTPで方向性を決め、その方向性を実現する手段として4Pを組み合わせる、という構造を意識して書くと、読み手にも論理の流れが伝わりやすくなります。

頭の中で段階を分けて整理しておけば、答案を書くときも迷わなくなりそうです。

混同のパターン起きること
標的市場とポジショニングの混同「誰に」の前に「どう見せるか」を書き、根拠のない差別化になる
一貫性の欠如4Pを羅列し、標的市場・ポジショニングと矛盾する
骨格と個別施策の混同客数・客単価の具体策を骨組みと混ぜる
STPと4Pの混同決める段階と実現する段階を一緒くたに列挙する

本番のチェックポイント5つ

最後に、講師が今日の内容を本番で使うときのチェックポイントをまとめます。1つ目から3つ目は講師が、4つ目は聞き手が挙げ、5つ目は講師が加えます。

一つ目、与件文を読んだら、顧客に関する記述、競合との違いに関する記述、4Pに関する記述の三種類に仕分けること。二つ目、その仕分けた材料を、標的市場、ポジショニング、4Pの順番で整理すること。三つ目、4Pは均等に書こうとせず、与件文の記述が厚いPを中心に据えること。

四つ目は、標的市場・ポジショニングと4Pの一貫性を、書きながら確認することですよね。

そうです。そして五つ目、客数・客単価の個別施策とは切り分けて、今日の骨組みの型で答案を組み立てること。

チェックポイント5つ

  • 与件文を、顧客・競合との違い・4Pの三種類に仕分ける
  • 標的市場、ポジショニング、4Pの順番で整理する
  • 4Pは均等に書かず、記述が厚いPを中心に据える
  • 標的市場・ポジショニングと4Pの一貫性を、書きながら確認する
  • 客数・客単価の個別施策とは切り分け、骨組みの型で組み立てる

講師は、この五つを押さえておけば、小売業のマーケティングを問う助言問題で、迷わず型に沿って書けるはずだと言います。

まとめ

動画の整理

  • 助言問題は「どのような顧客層に、どのような商品・サービスを」と、標的市場とポジショニングをセットで問う形が多い。総合的に「どのような施策を」と聞かれれば、製品・価格・プロモーション・立地の4観点で組み立てる
  • 与件文の着眼点は、標的市場なら顧客層(人口統計・地理・心理)と既存・新規の重心、ポジショニングなら競合との違いと自社の強み、4Pなら商品・価格・販促・立地の記述
  • 整理の順番は、顧客、競合との違い、4Pの順。4Pは決めた標的市場・ポジショニングと矛盾しないよう一貫させる
  • 解答は、標的市場、ポジショニング、4P、効果の順に一文でつなぐ。字数が限られる設問では、記述が最も厚いPを中心に書く
  • 混同しやすいのは4つ。標的市場とポジショニング、一貫性の欠如、骨格と客数・客単価の個別施策、STPと4P

動画の最後に、聞き手は「知識としては知っていたはずのSTPと4Pが、今日で『使える形』になった気がします」と話しています。誰に・どう位置づけ・何をどう売るか、この順番を本番でも思い出す、という言葉に、講師は「その順番さえ体に入っていれば、大丈夫です」と応じ、答案作成の練習で実際に使ってみてほしいと結びます。

LISTEN

動画で聞く

NEXT

続けて読む