聞き流しラボby kufu-yaWebテキストNEW
中小企業診断士 2次試験

知識ではなく、解き方を聞く。

1次試験の合格者に向けて、与件文の読み方、設問の切り分け方、解答の型を、事例ごとに解説します。

事例別の過去問解説重要論点講義ファイナルペーパー
診断士 聞き流しラボ 2次試験対策

社会貢献のマーケティング

事例Ⅱ 第25回

事例Ⅱ 利益還元とは別物、本業の外側で稼ぐ信頼9分4秒2026年8月19日公開

「社会貢献のマーケティングって、知識としては知ってるけど、実際に与件文を読んだときに『ここで使うところだ』って気づけますか?」。動画は、こんな問いかけから始まります。このページでは動画の流れにそって、どんな出方をするか、与件文の着眼点、情報の整理、解答の型、混同・誤答しやすいポイントをまとめました。まず動画を聞いて、あとからここで復習するのがおすすめです。

知っているのに、与件文で気づけない

動画は、講師の問いかけから始まります。「社会貢献のマーケティングって、知識としては知ってるけど、実際に与件文を読んだときに『ここで使うところだ』って気づけますか?」。聞き手の答えは「正直あやふやです」。企業が社会貢献をしているという記述があっても、なんとなく「いいことしてますね」で終わってしまう気がする、と言います。

企業が社会貢献してますね、っていう記述があったら、なんとなく「いいことしてますね」で終わっちゃう気がします。

そこなんですよね。知識はあるのに、答案にどう落とし込むかで差がつくんです。

講師は、知識があるかどうかではなく、答案にどう落とし込むかで差がつく、と言います。今回は、社会貢献のマーケティングを二次の現場でどう見抜いて、どう答案につなげるかがテーマです。このページでは動画の流れにそって、どんな出方をするか、与件文の着眼点、情報の整理、解答の型、混同・誤答しやすいポイントの順に見ていきます。

最初に確認:本業の提供そのものとは別の活動

講義の入口で、聞き手が確認したいことがあると切り出します。この論点は、利益の一部を寄付するとか、環境に優しい製品を作るとか、そういう社会的な取り組みとは違うのか、という確認です。

これって、利益の一部を寄付するとか、環境に優しい製品を作るとか、そういう社会的な取り組みとは違うんですよね?

いいところに気づきましたね。実はそこ、多くの受験生が混同するところなんです。

講師はここで、今日の論点の範囲をはっきりさせます。扱うのは、本業の製品やサービスの提供そのものではなく、それとは別の活動を通じて社会に貢献していく、という側面です。

利益還元・環境配慮型本業の売上・利益や製品・サービス自体を通じた社会的な取り組み今日の論点本業の提供そのものとは別の活動文化支援・慈善活動・地域活性化が軸まず見分ける「製品・サービス自体」の話か、「別の活動」の話か
与件文の記述が「製品・サービス自体」か「別の活動」かを、まず見分けます。

動画の後半(混同しやすいポイント)で、講師はこの違いをもう少し細かく言い直します。利益還元や環境配慮の取り組みは、本業の売上・利益や、製品・サービスそのものを通じた社会的な取り組み。今日の論点は、本業の製品・サービスの提供そのものとは別の活動、つまり文化支援や慈善活動、地域活性化が軸になります。詳しくは後の章で見ます。

どんな出方をするか

まず、どんな出方をするかの整理です。与件文の企業が、本業の製品・サービスとは直接関係のない形で地域や社会と関わっている。たとえば、イベントへの協賛、文化活動の支援、地域の担い手としての活動です。こういう記述がある場合に、企業イメージ向上の材料として提案する、というのが基本の出方です。

本業の売り物とは関係ない場面での関わり方、っていうのがポイントなんですね。

そうです。それと、地域との関係性強化とか、地域での評判・知名度向上を問う設問の根拠として使われることも多いです。

もう一つの出方は、地域との関係性強化や、地域での評判・知名度向上を問う設問の根拠として使われるパターンです。単独の設問というより、ブランド力強化や顧客との関係性強化の論点と組み合わせて問われることが多い、と講師は言います。

場面使い方
本業とは直接関係のない形で地域や社会と関わる記述企業イメージ向上の材料として提案
地域との関係性強化、評判・知名度向上を問う設問設問の根拠として使う
ブランド力強化、顧客との関係性強化の論点組み合わせて問われることが多い

単体で覚えるというより、他の論点とセットで引き出しに入れておく感覚ですね。

そのとおりです。

着眼点:与件文のどこを見るか

では、与件文のどこを見たらこの論点だと気づけるか。講師は着眼点を3つ挙げます。

1つ目は、文化・芸術支援に関わる記述です。聞き手が「具体的には、どういう書かれ方をするんですか?」と尋ねると、講師はこう答えます。地域の祭りやイベントに協賛・後援している、という記述。あるいは、展示や発表の場を提供するといった、文化的な活動に関わっている、という記述です。

祭りに協賛してます、って一文があったら、それがこの論点のサインなんですね。

そうです。

2つ目は、慈善的な活動に関わる記述。寄付や無償での協力といった、収益を伴わない支援活動を行っている、という記述です。

3つ目は、地域活性化に関わる記述です。地域の担い手不足や空洞化に対して企業が主体的に関わっている。地域の他の事業者・団体・大学・ボランティア団体などと連携している。地域との共存共栄を志向している。こうした記述が、地域活性化のサインになります。

① 文化・芸術支援地域の祭りやイベントへの協賛・後援展示や発表の場の提供② 慈善的な活動寄付や無償での協力など収益を伴わない支援活動③ 地域活性化地域の担い手不足や空洞化に主体的に関わる他の事業者・団体・大学・ボランティア団体と連携3つの角度で与件文を読む
文化・芸術、慈善、地域活性化。この3つの角度で読みます。
着眼点記述の例
文化・芸術支援祭り・イベントへの協賛・後援、展示や発表の場の提供
慈善的な活動寄付、無償での協力(収益を伴わない)
地域活性化担い手不足・空洞化への関与、他の事業者・団体・大学・ボランティア団体との連携、共存共栄の志向

文化・芸術、慈善、地域活性化、この3つの角度で読んでいけばいいんですね。

情報の整理:記述の有無、種類、その先の効果

着眼点が拾えたら、次は情報の整理です。講師がまず確認するのは、与件文に「本業の販売活動そのもの」ではなく「本業以外の場面での社会との関わり」を示す記述が、実際にあるかどうかです。

え、それって、単に製品やサービスが良いっていう記述だけじゃダメなんですか?

ダメなんです。製品が良い、という記述だけでは、この論点の根拠にはなりません。あくまで、本業の提供そのものとは別の活動があるかどうかを見るんです。

そこ、勘違いしそうなポイントですね。

記述があったら、次はそれが文化・芸術面での支援なのか、慈善的・無償の支援なのか、地域活性化への関与なのか、どれに近いかを整理します。そのうえで、その活動がどう企業イメージの向上や、地域での認知度・信頼の獲得につながっているかまで確認します。

① 記述があるかを確認「本業以外の場面での社会との関わり」② どれに近いかを整理文化・芸術/慈善・無償/地域活性化③ 効果まで確認企業イメージ・認知度・信頼の獲得につながるか製品が良い、という記述だけではこの論点の根拠にならない
記述の有無、種類の整理、その先の効果。この順に確認します。

活動の種類を見分けるだけじゃなくて、その先の効果まで確認するんですね。

地域活性化は、連携のほうが効果が高い

もう一つ、地域活性化の場面では、企業単独の取り組みより、地域の他の事業者・団体・大学・ボランティア団体などと連携して進めるほうが効果が高い、という考え方も押さえておきます。単独だと時間もコストもかかって、実現性が低くなりやすいからです。聞き手が「たとえるなら、どんな感じですか?」と聞くと、講師は部活動にたとえました。

たとえるなら、どんな感じですか?

たとえば部活動で、自分のチームだけで練習試合の相手を探すのは大変ですが、近隣の学校や地域のクラブチームと合同で練習試合や合宿を組むと、負担も分散できて、得られる経験も増えますよね。企業も同じで、単独で抱え込むより、地域の担い手同士で手を組んだほうが、少ない負担で大きな効果を出せるんです。

あー、それわかりやすいです。一人で全部やろうとするより、周りを巻き込んだほうが結局うまくいく、っていう感覚ですね。

その理解で大丈夫です。

企業が単独で時間もコストもかかって、実現性が低くなりやすい地域の担い手と連携事業者・団体・大学・ボランティア団体など効果が高い部活動のたとえ自分のチームだけで練習試合の相手を探す部活動のたとえ近隣の学校やクラブと合同で練習試合や合宿
単独で抱え込むより、地域の担い手同士で手を組みます。

解答の型:活動と効果をセットで書く

では、実際の解答の型です。講師が示す基本の型は次のとおりです。

基本の型

「〜という本業以外の活動を、〜と連携しながら行うことで、企業イメージ・認知度を向上させ、地域における信頼関係を強化し、〜につなげる」

最初に、文化支援とか地域貢献みたいな活動そのものを置くんですね。

そうです。ここで一番大事なのは、活動そのものの紹介で終わらせないこと。企業イメージの向上、認知度の向上、地域との信頼関係の強化、このいずれか、あるいは複数を経由して、最終的にどんな経営上の効果につながるのかまで書くことです。

① 本業以外の活動を書く連携先(事業者・団体)も明示する② 経由する言葉を書く企業イメージ・認知度・地域との信頼関係③ 経営効果で結ぶ与件文の課題に合わせた言葉を選ぶ活動の紹介だけで終わらせない
活動、経由する言葉、経営効果。この順につなげます。

聞き手は、これが自分のやりがちな書き方だと言います。「地域の祭りに協賛し、地域貢献を行う」と書いて、それで終わってしまいそう、と。講師は、それだとその活動が経営にどう効くのか採点者に伝わらない、と指摘します。

それ、まさに私がやっちゃいそうです。「地域の祭りに協賛し、地域貢献を行う」って書いて、それで終わってしまいそうです。

それだと、その活動が経営にどう効くのか採点者に伝わらないんです。「地域の祭りに協賛することで企業イメージを高め、地域住民からの信頼や来店につなげる」くらいまで、活動と効果をつなげてください。

活動と効果、この2つを必ずセットにする、という意識ですね。

書き方講師の指摘
「地域の祭りに協賛し、地域貢献を行う」経営にどう効くのか採点者に伝わらない
「地域の祭りに協賛することで企業イメージを高め、地域住民からの信頼や来店につなげる」活動と効果をつなげた書き方

連携先を明示する

地域活性化を絡める場合は、連携先、つまり地域の事業者や団体を明示すると、与件文への対応度が高くなります。

「連携して」だけじゃなくて、誰と連携するのかまで書くんですね。

経営効果の言葉は、与件文の課題に合わせる

最後につなげる経営効果の言葉も、与件文の課題に合わせて選びます。客足の減少が課題として書かれているなら来店の回復に、新規顧客の開拓が課題なら新規顧客の獲得に。企業イメージ・認知度・信頼関係の先にある効果の言葉を、与件文の文脈に寄せる、ということです。

与件文の課題つなげる効果の言葉
客足の減少来店の回復
新規顧客の開拓新規顧客の獲得

「経営効果につなげる」って、ふわっと書くんじゃなくて、与件文が挙げてる課題に合わせた言葉を選ぶんですね。

そうです。同じ活動でも、与件文の課題が違えば、つなげる効果の言葉も変わってくる、ということを意識してください。

混同・誤答しやすいポイント

最後に、混同・誤答しやすいポイントが4つ整理されます。

1つ目:利益還元・環境配慮型との混同

1つ目は、冒頭で確認したところです。聞き手が「利益還元とか環境配慮の取り組みとの違いですね」と確認し、講師は次のように整理します。

見る点利益還元・環境配慮型今日の論点
軸本業の売上・利益や、製品・サービス自体を通じた社会的な取り組み本業の製品・サービスの提供そのものとは別の活動(文化支援、慈善活動、地域活性化)
まず見分ける与件文の記述が「製品・サービス自体」の話与件文の記述が「それとは別の活動」の話

名前も似た雰囲気があるから、本番で焦ると混ざりそうです。

混ざりやすいので、与件文の記述が「製品・サービス自体」の話なのか、「それとは別の活動」の話なのかを、まず見分けてください。

2つ目:根拠のない一般論

2つ目は、与件文に本業以外での社会との関わりの記述が無いのに、一般論として文化支援や地域貢献を提案してしまうパターンです。

根拠がないのに、良さそうだからって書いちゃう、ということですね。

そうです。この論点も、与件文に根拠がある場合にだけ使ってください。

3つ目:活動を紹介するだけ

3つ目は、活動を紹介するだけで、企業イメージ・認知度・信頼関係のどれを経由して経営効果につながるのかを書かないパターンです。先ほどの「地域の祭りに協賛し、地域貢献を行う」で終わってしまう書き方が、これにあたります。

4つ目:企業単独の提案

4つ目は、地域活性化の文脈で、企業単独での取り組みとして提案してしまい、地域の他事業者・団体との連携という視点が抜けるパターンです。

さっきの部活動のたとえのところですね。単独で頑張る前提で書いちゃいけないんですね。

誤り押さえること
利益還元・環境配慮型との混同「製品・サービス自体」か「別の活動」かを見分ける
根拠のない一般論与件文に根拠がある場合にだけ使う
活動の紹介だけ企業イメージ・認知度・信頼関係を経由し、経営効果まで書く
企業単独の提案地域の他事業者・団体との連携を書く

混同・誤答しやすいポイント

  • 与件文の記述は「製品・サービス自体」の話か、「それとは別の活動」の話か
  • 与件文に、本業以外での社会との関わりの根拠があるか
  • 活動の紹介で終わらず、企業イメージ・認知度・信頼関係を経由した経営効果まで書いたか
  • 地域活性化の文脈で、連携先を明示したか

まとめ

動画の整理

  • 与件文で、文化・芸術支援、慈善的な活動、地域活性化の3つの着眼点を拾う
  • まず、本業以外の場面での社会との関わりの記述かどうかを確認する
  • 次に、3つのどれに近いかを整理し、企業イメージ・認知度・信頼関係のどれにつながるかまで見る。地域活性化なら、単独ではなく連携先まで意識する
  • 答案では、活動の紹介で終わらせず、効果までセットで書く。地域活性化なら連携先を明示する
  • 気をつけるのは4つ:利益還元・環境配慮型との混同、根拠のない一般論、活動紹介だけで終わる答案、単独提案になってしまう答案

動画の最後に、聞き手は「知識としては知ってたつもりでしたけど、与件文のどこで気づいて、どう答案につなげるか、今日でだいぶ整理できました」と話しています。講師は、この4つに気をつければ、本番でこの論点をしっかり得点につなげられる、と締めくくります。

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