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中小企業診断士 1次試験

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物の流れ分析『PQ分析・単純工程分析・多品種工程分析・フロムツーチャート』

運営管理 第48回

運営管理・生産方式・現場改善 00311分32秒2026年2月22日公開

「あなたがもし工場の責任者だとしたら、毎日ものすごい量を作る製品と、月にほんの数個しか作らない製品で、工場の中での移動方法をどう変えますか」。動画はこんな問いかけから始まります。このページでは動画の流れにそって、PQ分析、単純工程分析、多品種工程分析、フロムツーチャートの4つと、生産量による使い分けをまとめました。まず動画を聞いて、あとからここで復習するのがおすすめです。

工場の責任者なら、量の違う製品をどう運ぶ?

「毎日ものすごい量を作る製品と、月にほんの数個しか作らない製品。工場の中での移動方法を、同じにしますか?」。動画はこんな問いかけから始まります。普通に考えれば、同じように扱えるはずがありません。この「量が違えば運び方も変える」という発想を、論理的に整理してくれるのが物の流れ分析です。

ただし、現場の思いつきでいきなりレイアウトを変える、という話ではありません。出発点は、PQ分析の結果を踏まえること。そのうえで、グループごとに別の分析手法を当てはめていきます。出てくる手法は4つです。

  • PQ分析:製品を生産量でA・B・Cの3グループに分ける。
  • 単純工程分析:量の多いAグループ向け。加工と検査だけで流れを描く。
  • 多品種工程分析:中程度のBグループ向け。似た製品をまとめてレイアウトを考える。
  • フロムツーチャート:量の少ないCグループ向け。工程間の運搬量を表にして配置を決める。

PQ分析:生産量で製品をA・B・Cに分ける

PQ分析では、製品を生産量に応じて大きく3つのグループに分けます。量の多いほうから順に、A、B、Cです。動画は、グループごとにまったく違うアプローチを取る、とても体系的な手法だと紹介します。トラック何台分も作る製品と、ごくわずかしか作らない特殊品とで、移動のルールを変えるのは当然、というわけです。

AグループBグループCグループ品種(生産量の多い順に左から並べる)少品種・多量ライン生産単純工程分析中程度似た製品をまとめる多品種工程分析多品種・少量工程間の運搬量をフロムツーで分析
品種を生産量の多い順に並べ、A・B・Cの3つに分けてから、グループごとに分析の方法を変えます。

(補足:PQは、一般に Product(製品・品種)と Quantity(量)の頭文字とされます。動画には出てこない説明です。)

グループ生産量動画の分析とレイアウト
A圧倒的に多い製品別レイアウトのライン生産。単純工程分析
B中程度多品種工程分析で似た製品をまとめ、3パターンに分けて考える
C少ないフロムツーチャートで工程間の運搬量を見て、近づける工程を決める

Aグループ:ライン生産と単純工程分析

いちばん量の多いAグループは、製品別レイアウトのライン生産を採用するのがセオリーです。ベルトコンベア式の、一直線の大量生産ラインを思い浮かべてください。

ライン生産にすると、プロセス全体が大きく変わります。製品の組み立て順序に合わせて機械が並んでいるので、工程と工程の間で運ぶ必要がなくなります。自分の作業が終わったら、すぐ隣の人に渡すだけ。台車に乗せて運ぶような無駄がなくなります。残る工程は、物を変化させる加工と、それが正しいかを確かめる検査の2つだけです。

運搬というアクション自体が、消えてしまうのですか。

動画の説明ではそうなります。だからAグループの分析は、加工と検査だけを見れば足りるんです。

その手法が単純工程分析です。原料から製品になるまでの流れを、たった2つの記号で表します。丸が加工、四角が検査。どんなに複雑に見える生産ラインも、このフィルターを通せば、丸・四角・丸…と2種類の記号の連続になります。情報を極限まで削ぎ落とすことで、全体の流れが一目で分かる。これが大量生産における究極の効率化だ、と動画は説明します。

工程図記号(JIS Z 8206)6種加工運搬貯蔵滞留数量検査品質検査動画で使う動画の「四角」単純工程分析の書き方(例)原料製品丸(加工)と四角(検査)の連続だけにする
JISの記号は6種。動画の単純工程分析は、このうち丸(加工)と四角(検査)だけで流れを描きます。

(補足:動画にない話です。工程図記号はJIS Z 8206で、加工・運搬・停滞・検査の4つの要素工程に分けて定められています。停滞は貯蔵と滞留に、検査は数量検査と品質検査に分かれ、記号は全部で6種類です。動画の「四角」は、このうち数量検査(□)と同じ形です。品質検査はひし形(◇)で、規格では別の記号になっています。)

(補足:運搬の記号は小さい丸で、停滞のうち貯蔵は下向きの三角、滞留はD形です。単純工程分析は、これらのうち運搬と停滞を図に描かず、加工と検査だけに絞って流れを見る方法、と動画から読み取れます。ライン生産で運搬が「消える」というより、「分析の対象から外す」と覚えたほうが安全です。)

Bグループ:多品種工程分析と3つのレイアウト

続いて、生産量が中程度のBグループです。専用ラインを組むほどの量ではないけれど、効率は上げたい。一番現場が頭を悩ませるボリュームゾーンです。ここで行うのが多品種工程分析です。

まず、工程や経路が似ている製品や部品を見つけ出して、グループ化します。似た者同士で仲間探しをするわけです。そしてその結果をもとにレイアウトを検討しますが、そこには大きく3つのパターンがあります。

切断旋盤フライス穴あけ塗装検査製品X1234製品Y1234製品Z12345製品W123X・Y:工程が全く同じ → 専用ライン化Z:ほぼ同じ → 共通部分をライン、穴あけだけ分岐W:共通性なし → 機能別レイアウトで対応
多品種工程分析表の例(説明用に作った例)。番号は工程を通る順番です。

(補足:この表は動画にない例です。製品が通る工程の順番を並べて、似た経路の製品を見つけるイメージをつかむために、説明用に作りました。)

工程の似方レイアウトの考え方
複数の製品で工程が全く同じAグループの考え方を応用して、専用ライン化を検討する
グループにしてもほとんど共通性がない機能別レイアウトを検討する。旋盤は旋盤、溶接は溶接と、同じ機能の機械を1か所にまとめ、製品が必要な機械のある場所へ移動する
一部は違うが、ほとんど同じ工程共通の工程を流れ作業化し、違う一部の工程だけをラインから分岐させる

実務でいちばん多そうなのは、大体同じだけど、ちょっと仕様が違う、という3つ目ですよね。

そうなんです。メインの通りがあって、特別な加工が必要なものだけ脇道にそれて、また戻ってくる。柔軟で、ハイブリッドな解決策です。

共通部分をベースのラインとして流しちゃうわけですね。

その通りです。中規模な生産現場の複雑さをさばく、実践的な知恵だと動画は紹介しています。

(補足:動画は、機能別レイアウトを「同じ機能の機械を1か所にまとめる方式」と説明します。資料によっては、工程別レイアウトとも呼ばれます。また、ライン生産に当たる製品別レイアウトと、この機能別レイアウトの中間に、似た製品をまとめて専用の場をつくる「グループ別レイアウト」を置く整理もあります。動画はグループ別という言い方はしません。)

Cグループ:フロムツーチャートで逆戻りを見つける

最後は、生産量が少ないCグループです。多種多様な特殊品を少しずつ作るので、動きがバラバラになりがちな環境です。この混沌とした状態を分析するのがフロムツーチャートです。前工程(from)と後工程(to)の関係を定量化して、工程どうしの相互関係を分析する道具です。

作り方は3つのステップです。

  • ステップ1:行と列に、工程をレイアウト順に書く。縦の行にも横の列にも、実際の工場に並んでいる順番で工程名を書く。
  • ステップ2:ます目に、延べ運搬距離と重量を書き込む。ここが山場で、移動の方向によって書く場所が変わる。
  • ステップ3:完成した図を見ながら、最終的なレイアウトを決める。延べ運搬重量の多い工程どうしを近接させる。

書く場所のルールは、こうです。行や列の並びと同じ向きに運ぶ場合を正順といい、表の右上側に書きます。逆に、並びと逆向きに戻る場合は逆順といい、左下側に書きます。動画の例で確かめましょう。

to(後工程)from↓工程A工程B工程C工程A工程B工程C3kg1m2kg3m1kg4m右上=正順(流れのとおり)左下=逆順(逆戻り)青と赤は動画の例、橙は補足の例(kg=重さ、m=運ぶ距離)
行(from)から列(to)へ運ぶ量と距離を、交点のマスに書き込みます。
  • 工程Aから工程Bへ、3kgの物を1m運ぶ:AからBは並びと同じ向きなので正順。A行とB列の交点(右上)に、3kg・1mと書く。
  • 工程Cから工程Aへ、1kgの物を4m運ぶ:CからAへ戻るので逆順。C行とA列の交点(左下)に、1kg・4mと書く。

全部のデータを埋めると、右上側にはスムーズに進んでいる正順のデータが、左下側には後戻りしている逆順のデータが集まります。パッと見て、左下に数字が多い現場は、物が逆流していて非効率だと一目で分かります。感覚ではなく、数字とマス目でデータとして見える化できるのが、この手法の強みです。

ステップ3では、具体的にどうするんですか。

図の中で延べ運搬重量の多いものを探して、レイアウト上で近づけます。重いものを長距離運ぶのは大変ですからね。数字を見て、運搬重量の多い工程どうしを隣り合わせに配置し直すわけです。

勘に頼るのではなく、正順・逆順というデータの裏付けでレイアウトを最適化していくんですね。

ええ。これが、生産量が少ないCグループを効率化する最適解です。

(補足:動画の例を検算してみます。重さと距離を掛けると、A→Bは3kg×1m=3kg・m、C→Aは1kg×4m=4kg・mです。重さだけで見ればA→Bのほうが大きく、重さ×距離で見ればC→Aのほうが大きくなります。動画の「延べ運搬重量」をどちらの意味で使うかは、動画の説明だけでは決められません。資料によって、運搬量そのものを見る場合と、運搬量×距離を見る場合があるとみられます。試験では、問題文の指示に従ってください。図の橙のマス(B→C、2kg・3m)は、書き込みの練習用に足した例です。)

(補足:動画は「表の上側」「表の右半分」と話しますが、正確には、対角線より右上が正順、左下が逆順です。また、この手法はJIS Z 8141(旧版の2001年版で確認)では、製品工程分析の応用型として、工程間の物の流量を「どこから(from)」「どこへ(to)」の形式で分析するもの、とされています。JISの表記は「フロムツウチャート」です。正順・逆順は、資料により「順行・逆行」「順方向・逆方向」とも書かれるようです。工場改善の解説連載(MONOist)では「正流・逆流」と書かれ、縦の欄をFrom、横の欄をToとし、正流は斜線の上側(右上)、逆流は下側(左下)に表示されるとあり、動画の書く位置と同じです。)

この3つの使い分けが試験の要点

動画は、この3つの使い分けは中小企業診断士の試験で非常に重要だと強調します。また、物の流れを分析することは、単に物の置き場所を決めるだけの話ではなく、無駄を削ぎ落として競争力を高める根幹の活動でもあります。

試験の注目点:生産量で分析の手法を切り替える

  • A(多い):ライン生産。単純工程分析(丸=加工、四角=検査)。
  • B(中程度):多品種工程分析でグループ化。同じ工程なら専用ライン、共通性がなければ機能別レイアウト、一部違うなら共通部分をライン化して分岐。
  • C(少ない):フロムツーチャート。正順は右上、逆順は左下。延べ運搬重量の多い工程を近接させる。

(補足:PQ分析・単純工程分析・多品種工程分析・グループ別レイアウトは、JIS Z 8141(2001年版)の本文には見当たりません。JISの用語ではなく、試験対策書などで使われる整理とみられます。教材によって呼び方や分け方が少し違うことがあります。PQ分析そのものについては、MONOistの解説に、品種を生産量の多い順に並べてA・B・Cの3グループに分け、Aは製品別レイアウト、Bはグループ別レイアウトとする説明があります。Cについては、多品種少量で少人数や一人生産方式などの自己完結型が一般的で、レイアウトは「機種別」と書かれており、動画の「機能別」とは言い方が違います。単純工程分析・多品種工程分析・フロムツーチャートとの対応づけは、今回確認できた資料には書かれていません。)

まとめ

グループ手法ポイント
A(多い)単純工程分析ライン生産。丸(加工)と四角(検査)だけで描く
B(中程度)多品種工程分析似た製品をグループ化。専用ライン/機能別/共通部分をラインにして分岐
C(少ない)フロムツーチャート正順は右上、逆順は左下。重い工程どうしを近づける

最後に、動画は聞き手に問いかけます。あなたの身の回りの業務や作業スペースに、フロムツーチャートでいう「逆順」の動き、つまり逆戻りをしているものはありませんか。重い物や、頻繁に使う物を、あえて近くに置く。それだけで物の流れはどれくらい変わるでしょうか。一度、頭の中で表を描いてみてください、という呼びかけで締めくくられます。

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