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中小企業診断士 1次試験

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受注と部品管理『オーダーエントリー方式・生産座席予約方式・製番管理・追番管理』

運営管理 第44回

運営管理・生産計画 00810分12秒2026年2月23日公開

「資格試験の勉強というと、どうしても膨大な暗記になりがちですが、仕組みと、なぜその方法が使われるのかという背景が分かれば、驚くほどすっと頭に入ってくる」。動画はこんな話から始まります。このページでは動画の流れにそって、受注を円滑にするオーダーエントリー方式と生産座席予約方式、部品を管理する製番管理・追番管理・常備品管理の3方式、そして試験の引っかけパターンをまとめました。まず動画を聞いて、あとからここで復習するのがおすすめです。

運営管理の「要」は、受注と部品のスムーズさ

動画は「資格試験の勉強というと、どうしても膨大な暗記になりがち。でも、仕組みと、なぜその方法が使われるのかという背景が分かれば、驚くほどすっと頭に入ってくる」という話から始まります。ここで扱う方法は、単なる用語ではなく、生産現場が長年ムダと戦ってきた歴史そのものなのだそうです。

テーマは2つ。お客さんから注文を受けてから、いかにスムーズに生産につなげるか(受注の円滑化)。そして、工場の中の部品をいかにぐちゃぐちゃにしないか(部品の管理の円滑化)です。

  • 受注の円滑化:オーダーエントリー方式、生産座席予約方式
  • 部品管理の3つの基本方式:製番管理方式、追番管理方式、常備品管理方式
お客さんの注文から、完成品まで受注を円滑に(入口)部品を円滑に(工場の中)オーダーエントリー方式作り置き→注文で仕上げ生産座席予約方式受注時に設備の枠を予約名前と説明を入れ替える引っかけに注意製番管理方式同じ製造番号で一式管理追番管理方式連番で進み具合を見る常備品管理方式一定量を在庫しておく
入口の2方式と、工場の中の3方式。合わせて5つの名前と中身を結びつけます。

動画は最後に、試験の裏技も教えてくれます。出題者は方式の名前と説明をわざと入れ替えて出してくることが多い、というのです。仕組みを押さえておけば、すり替えにはすぐ気づけます。

オーダーエントリー方式:途中まで作っておき、注文で仕上げる

まず「完全受注生産」と「見込生産」の板挟みから考えます。注文を受けてから1から全部を作る完全受注生産は、お客さんの細かい要望に応えられる反面、リードタイムが長くなって待たせてしまいます。逆に完成品を作り置く見込生産は、すぐ納品できる反面、売れ残りの在庫リスクを抱えます。どちらも一長一短です。

お客さんの注文(オーダー)が入る完全受注生産設計・部品づくりから注文後の待ちが長い見込生産完成品を作り置きすぐ出荷売れ残りの在庫リスクオーダーエントリー方式標準品を途中まで作り置き仕上げ待ちは短く、仕様も選べる
注文が入る点線より右側が、お客さんの待ち時間です。

そこで登場するのがオーダーエントリー方式です。途中までは標準品として作っておき、顧客から注文(オーダー)が入ってから、細かい仕様を変更して完成させます。動画の例は自動車です。ベースとなる車体やエンジンは先に大量に作っておき、注文が入ってからシートの色を変えたり、装備を取り付けたりします。1から作るわけではないので、納期を大きく縮められます。

方式作っておく範囲強みと弱み
完全受注生産なし(注文後に全部)要望に完全に応える/待ちが長い
見込生産完成品まですぐ出荷/売れ残りリスク
オーダーエントリー方式途中まで(標準品)仕様変更に強く納期が短い

つまり、完全受注生産と見込生産のいいとこ取りですか。

そのとおりです。途中で仕様が変わっても短期間で対応できる柔軟さが最大の強みで、顧客満足度と生産効率を両立させています。

(補足:JIS Z 8141(2001年版)は、この方式を「生産工程にある製品に顧客のオーダを引き当て、製品の仕様の選択又は変更をする生産方式」と定義しています。JISの表記は「オーダエントリー方式」で長音がありません。同じJISには、見込生産を受注生産の特徴を取り込んだ形に改めることを受注生産化という、という備考もあります。専門媒体には、部品や半製品まで見込みで作って在庫し、注文後に組み立てる「受注組立生産」という言い方もあり、考え方は近いものの、JISが同じ意味と定めているわけではありません。JIS Z 8141は2022年に改正されていますが、改正版の本文は確認できていません。このページのJISの引用は、すべて2001年版です。)

生産座席予約方式:工場の空きを飛行機の座席のように押さえる

名前は飛行機の座席予約から来ています。営業と製造は、ともすると対立しがちです。営業は「早く作れ」と言い、製造現場は「急な割り込みで計画が狂う」と困ります。この溝を埋めるのが生産座席予約方式です。営業が注文を受けるときに、製造設備を使うスケジュールをあらかじめ予約してしまいます。

月火水木金設備A設備BA社の注文B社の注文空き空きC社の注文営業は注文を受けるその場で、空いている枠にオーダーを割り付け、その日を納期として回答する
飛行機の座席表のように、設備の空きを見ながら予約します。

営業は、設備の空き状況を見ながら「何月何日に確実に納品できます」という納期を顧客に示せます。製造側も、注文が入った瞬間に「よし、原料を調達しよう」とすぐ準備に動けるので、無駄がありません。受注の入り口を最適化して、全体を滑らかに動かすわけです。

予約する相手は、機械の空き時間だけですか。

動画では設備のスケジュールが中心です。JISの定義(2001年版)では、設備の使用日程のほかに資材の使用予定などにもオーダーを割り付けます。

令和元年度 運営管理 第6問

「生産座席予約方式に関する記述として最も適切なもの」を選ぶ問題です。正解は「受注時に、製造設備の使用日程・資材の使用予定などにオーダーを割り付けて生産する方式」で、JISの定義とほぼ同じ文です(JISは末尾に「顧客が要求する納期どおりに」も書いています)。誤りの選択肢には、外注先へ資材を渡す方式、部品を1組立品分のセットで出庫するロット納入、そして製番管理方式の定義文が混ぜられていました。動画の言う「説明のすり替え」の実例です。

(補足:資料によって位置づけが違います。JIS(2001年版)は生産方式の用語の並びで、モジュール生産、オーダエントリー方式、生産座席予約方式を続けて載せています。一方、予備校サイトの過去問解説は「生産計画と生産統制」の単元に置いています。どの単元でも問われるので、定義文の暗記が確実です。)

製番管理方式:製品と部品を同じ番号でひも付ける

ここから部品管理に入ります。いくら注文がきれいに流れても、工場の中の部品が混乱していては作れません。1つ目は製番管理方式(製番=製造番号)です。主に個別受注生産、つまりオーダーメイドに近い生産で使われます。製品を作る命令書や加工の指示書、そしてすべての部品に、まったく同じ製造番号を付けます。

製番 A-101製造命令書A-101加工・組立の指示書A-101部品アA-101部品イA-101部品ウ欠品!同じ製番の部品が1点でも欠けたら、組み立てを始められない(隣の製番から借りるのもNG)
製品と部品を同じ番号でひも付けるのが製番管理です。

製品と部品が1対1の運命の赤い糸で結ばれているみたいですね。

いい例えです。1つの番号で全部を追えるので、個別管理がぐっと楽になります。ただし厳しい掟があります。同じ番号の部品が1点でも欠けていると、組み立てを始められません。

隣のラインの部品をちょっと借りるのもダメですか。

絶対にダメです。別注の製品で組み間違いが起きると致命的ですから、品質を守る厳格なルールなのです。

令和2年度 運営管理 第8問(製番管理方式の特徴)

  • 適切:部品が1点でも遅れると組み立てを始められない(部品は製番ごとに管理され、他の製番の部品は使えないため)。
  • 適切:製番ごとに管理するので、品質保証に必要な情報をたどりやすい。
  • 不適切:組み立て開始時にすべての部品へ番号を割り当てる(番号をつけるのは製造命令書を発行するとき)。
  • 不適切:ロットサイズが大きい場合に適する(小さい場合に適する)。

(補足:JIS Z 8141(2001年版)は製番管理方式を「製造命令書を発行するときに、その製品に関するすべての加工と組立の指示書を準備し、同一の製造番号をそれぞれにつけて管理を行う方式」と定義し、備考で、個別生産のほか、品種ごとの月間生産量が少ないロットサイズの小さいロット生産でも多く使われるとしています。動画の「個別受注生産向け」は代表例で、ロット生産でも小さなロットなら使えます。)

追番管理方式:連番を振って、進み具合を一目で見る

製番管理と対照的なのが、毎日同じものを大量に作り続ける連続生産の現場です。ここでは別の悩みが出ます。毎日同じ景色なので、いま予定どおり進んでいるのか、遅れているのかが分からなくなりがちなのです。そこで使うのが追番管理方式(追い番管理)です。すべての製品に一連の製造番号、つまり連番を振っていきます。

1番計画:1000番まで実績:950番計画1000番 − 実績950番 = 50個の遅れ数字を見るだけで、現場の人がすぐ気づける
連番の数字そのものが、進み具合のものさしになります。

計画では1000番までできているはずなのに、実績が950番なら、50個遅れていると一目で分かります。複雑なシステムがなくても、現場の作業員が直感的に進捗をつかめるのが最大のメリットです。(補足:この50個は、日産100個なら半日分、日産200個なら4分の1日分にあたります。自作の計算例です。)

製番と追番は、どちらも番号を振りますが、何が違うのですか。

製番は、注文やオーダーを単位に同じ番号で製品と部品を束ねます。追番は、製品を作った順に通し番号を振って、進み具合を見ます。同じ「番号」でも、目的がまるで違います。

(補足:追番管理方式は、平成22年度の運営管理第9問(工程管理方式)の選択肢にも出る用語です。予備校サイトの解説は、追番管理方式を「繰り返し生産の場合に、生産すべき数あるいは生産された数を累計で記録し、計画追番と実績追番の差により進捗管理を行う方式」としており、動画の説明と合っています。一方、JIS Z 8141(2001年版)には「追番管理」の見出し語はありません(2022年の改正版は本文を確認できていません)。専門媒体は連続生産の管理を「継続管理方式」と呼び、投入と完成だけをつかめばよいと説明します。また、連続生産の進度管理には、累計生産量の計画線と実績線のズレを見る「製造三角図」が使われます。累計で差を見る発想は追番に通じますが、この専門媒体の記事に「追番管理」という名前は出てきません。)

常備品管理方式:安く、いつも使う部品は在庫しておく

3つ目は、動画が「常備品管理方式」と呼ぶ方式です。部品を常に一定量、在庫としてストックします。ただし、工場のあらゆる部品をストックするわけではありません。動画が挙げる対象は2つです。

  • 注文してから届くまでに時間がかかる部品(調達リードタイムが長い部品)。なくなるとラインが止まるため。
  • ネジやボルトのように安価で、継続的に使い続ける部品。数円のネジを毎回数えて発注するのはナンセンスで、管理コストのほうが高くついてしまうため。

常備品にすれば部品の管理が極めてシンプルになり、管理コストを大きく減らせます。

(補足:JIS Z 8141(2001年版)は常備品を「常に所要量を在庫している資材」と定義し、在庫せず必要のたびに調達する資材を非常備品(引当品)と呼びます。定義に対象の条件は書かれていません。「常備品管理方式は、部品の調達リードタイムが長い場合に有効である」という記述は、平成22年度の運営管理第9問で正しい選択肢(正解)とされました(予備校サイトの解説による)。資料によって強調点は異なり、ダブルビン方式の解説では、単価が安く消費量が安定して短納期で確実に入る品を例にします。常備品の補充は、JISが在庫管理方式として挙げる定量発注方式や定期発注方式、重点管理のためのABC分析と関係します。詳しくは別の回で扱います。

3方式を見分けて、すり替えを見抜く

方式番号・向く生産強みと注意点
製番管理製品・指示書・部品に同一の製造番号。個別受注生産、小ロット個別管理が楽で追跡しやすい/1点でも欠品なら組立不可
追番管理製品に連番。連続生産連番の差で進捗が一目で分かる
常備品管理一定量を在庫。安価で継続使用する部品など管理が簡単でコスト減

すり替えの見抜き方

動画の例は「連続生産で連番を振って進捗を見るのは常備品管理」という誤った文章です。これは追番管理の説明ですよね、と気づければ得点になります。キーワードで覚えると速いです。個別受注と同一製造番号と欠品で組立不可なら製番。連続生産と連番と進捗なら追番。一定量の在庫と安価で継続使用なら常備品です。

(補足:製番管理とMRPの違いも、試験の定番比較です。製番管理は製番ごとに別管理するので、異なる製番に共通部品があっても別々に手配します。そのため、品切れや過剰在庫が起きやすいとされます。MRPは、JIS(2001年版)で「生産計画・部品構成表・在庫の情報から資材の必要量と時期を求める体系」とされ、総所要量から有効在庫(手持在庫と発注残)を引いた正味所要量を求めます。たとえば製番1001が部品Xを10個、製番1002が20個必要で、在庫が15個なら、製番ごとに手配すると合計30個、MRPで集約して在庫を引くと15個です。単純化した例で、実際の製番管理でも在庫を引き当てる場合はあります。MRPの計算は別の回で詳しく扱っています。)

まとめ

  • オーダーエントリー方式:途中まで標準品を作り、注文後に仕様を決めて仕上げる。納期短縮と柔軟さを両立する。
  • 生産座席予約方式:受注時に設備の使用日程や資材の使用予定へオーダーを割り付け、確実な納期を示す。
  • 製番管理方式:同一の製造番号で製品・指示書・部品を束ねる。個別受注生産向き。部品が1点でも欠ければ組立不可。
  • 追番管理方式:連続生産で連番を振り、計画番号と実績番号の差で進捗を見る。
  • 常備品管理方式:一定量を常に在庫して管理を簡単にする。名前と説明のすり替えに注意。

動画の最後の問いかけも、おもしろい視点でした。あなたの日常の仕事は、案件ごとに番号を振って管理する製番型でしょうか。それとも、日々のルーティンに連番を振って進み具合を追う追番型でしょうか。試験勉強をきっかけに、自分の仕事の運営管理を見直してみると、思わぬ発見があるかもしれません。

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