クフウヤ聞き流しラボWebテキスト(無料)NEW
中小企業診断士 1次試験

7科目を、聞き流しで一周する。

企業経営理論から中小企業政策まで、1次試験の論点を科目別の講義動画にまとめています。過去問の解説も1問ずつそろえています。

科目別の講義動画過去問完全解説ファイナルペーパーメンバーシップ
診断士 聞き流しラボ

収益性指標の徹底解説(収益・効率・安全)『財務諸表(PL/BS)を読み解くための3つの重要視点』

財務・会計 第35回

財務・会計・財務分析 0078分51秒2026年2月14日公開

「さて、今回は企業の稼ぐ力、つまり収益性について深く見ていきたいと思います。企業の成績表とも言える財務諸表の数字、これを使ってその会社がどれだけ効率的に利益を上げているのか、今日はその分析方法を解説していきます」。動画はこんな導入から始まります。このページでは動画の流れにそって、売上高利益率の4つの指標、費用の側の3つの指標、効率性を見る3つの回転率をまとめました。まず動画を聞いて、あとからここで復習するのがおすすめです。

利益と費用はコインの裏表:収益性の見取り図

動画は、企業の稼ぐ力、つまり収益性の話から始まります。企業の成績表ともいえる財務諸表の数字を使って、その会社がどれだけ効率よく利益を上げているのかを分析する方法を解説する、という導入です。

動画では、収益性の分析は大きく2つの側面から行うと整理されます。1つは売上から生まれる利益に注目する指標、もう1つは、その利益を圧迫する費用に注目する指標です。聞き手が「利益と費用、コインの裏表みたいな感じですね」と受けると、講師は肯定したうえで、さらに2つの見方を挙げます。売上高と利益の関係を見る売上高利益率と、投資した資本がどれだけ効率よく利益になっているかを見る資本利益率です。この回では、試験でも重要になる売上高利益率とその関連指標を丁寧に見て、後半で資産の使い方を見る効率性に進みます。

① 利益の側:売上高利益率売上高総利益率・売上高営業利益率売上高経常利益率・売上高当期純利益率▲ 利益と費用は、コインの裏表 ▼② 費用の側:売上高に対する費用の割合売上原価率・販管費比率金融費用比率③ 効率性:資産を使って売上を生む力有形固定資産回転率・棚卸資産回転率総資本回転率(単位は「回」)
動画の流れは、利益の側、費用の側、効率性の順です。

動画の副題には「収益・効率・安全」とありますが、安全性の指標(自己資本比率や流動比率など)は、この回では出てきません。ここで扱うのは、図の3つの束です。

売上高総利益率:商品そのものの儲ける力

最初は、いちばん基本的な売上高総利益率です。聞き手は「よく粗利率なんて呼ばれたりもしますよね」と言い添えます。計算式は次のとおりです。

売上高総利益率(%)= 売上総利益 ÷ 売上高 × 100

これは、提供している商品やサービス、それ自体が持っている儲ける力を示しているんです。

商品そのものの力ですか?

ええ。この率が高いということは、他社と差別化された商品を高く売れているか、あるいは企業努力で原材料を安く効率的に仕入れているか、ということです。

聞き手が「つまり売上原価が低いということですね」と言い換えると、講師は「その通りです」と応じます。逆にこの率が低い場合として、動画は、製品の差別化ができず値下げ競争に陥っているか、原材料などのコストが高騰しているといった可能性を挙げます。聞き手は「ビジネスの本当に根本的な競争力が見えてくる」とまとめます。

ここで聞き手が、試験対策として確かめたいことを1つ挙げます。講師は「細かいですが売上高総利益率ですね。覚えておくと良い点です」と応じます。

(補足:動画にない話です。売上総利益は、売上高から売上原価を引いた金額です。「売上総利益」が金額の名前、それを売上高で割った割合が「売上高総利益率」、と整理しておくと混ざりません。「粗利」「粗利率」は日常的な呼び名で、資料によって指す範囲や表記が異なることがあります。)

売上高営業利益率:本業の稼ぐ力

次は売上高営業利益率です。

売上高営業利益率(%)= 営業利益 ÷ 売上高 × 100

総利益との違いはどこにあるんでしょうか?

営業利益は、売上総利益からさらに販売費及び一般管理費、いわゆる販管費を差し引いたものです。ですから、この指標は本業での稼ぐ力を示すわけです。

動画の例はこうです。売上高総利益率が同じくらいの会社でも、営業利益率が低ければ、広告宣伝費、家賃、人件費といった販管費が他社より高くなっている可能性があります。逆に販管費が低ければ、営業利益率は高くなります。聞き手は「本業の効率性が見えてくる」と整理します。

数字で確かめましょう。次の設例は、動画にはないものです。売上高はどちらも1000、売上総利益はどちらも400(売上高総利益率40%)で、販管費だけが違う2社です。

項目A社B社
売上総利益400400
販管費300350
営業利益10050
売上高営業利益率10.0%5.0%

総利益率は同じ40%でも、販管費が50多いB社は、営業利益率が半分の5.0%になります。商品の力ではなく、売るための費用や固定的な費用のかけ方に差がある、という読み方ができます。

売上高経常利益率:財務活動も含めた総合力

続いて売上高経常利益率です。

売上高経常利益率(%)= 経常利益 ÷ 売上高 × 100

動画では、経常利益は営業利益に営業外の損益を加えたもので、企業の総合的な収益力を示す指標だとされます。聞き手が、営業外の損益でいちばん影響が大きいものは何か、と尋ねると、講師は、借入金の支払利息などのいわゆる金融費用が通常いちばん大きいと答えます。聞き手が、借金が多ければ多いほど金利の負担が大きくなるから、と言い換えると、講師は「おっしゃる通りです」と肯定し、借入金が多く金利負担が重い企業は、経常利益率がどうしても低くなる、と続けます。逆に借入れが少なければ高くなります。財務活動も含めた企業全体の力が見える指標、というわけです。

こちらも動画にない設例で確かめます。売上高はどちらも1000、営業利益が同じ100の2社で、支払利息だけが違います(営業外収益はなしとします)。

項目X社(借入少)Y社(借入多)
営業利益100100
支払利息1050
経常利益9050
売上高経常利益率9.0%5.0%

(補足:動画の説明を補います。営業外の損益には、支払利息のほかに、受取利息・配当金などの営業外収益や、その他の営業外費用も含まれます。金融費用が最大になりやすいというのは、一般的な傾向としての話です。)

売上高当期純利益率:最終利益の注意点

利益の側の最後は売上高当期純利益率で、その年度に最終的に残った利益の割合を示します。

売上高当期純利益率(%)= 当期純利益 ÷ 売上高 × 100

聞き手は「最終的に会社に残った利益の割合ということですね」と確認します。講師が注意点として挙げるのは、この指標には、その年だけの特別な利益や損失、つまり特別利益・特別損失が含まれてしまうことです。聞き手が、たまたま土地を売って儲かったといったイレギュラーな要因が入ると、と言い足すと、講師は「そうなんです」と応じ、他社や過去の数字と比べにくくなる傾向がある、と話します。

設例で見ましょう。先ほどの売上高1000の会社(経常利益80)が、ある年に土地の売却益50を特別利益として得たとします。税金は、税引前の利益の30%と仮定した数字です。

項目通常の年売却益のあった年
経常利益8080
特別利益050
当期純利益5691
売上高経常利益率8.0%8.0%
売上高当期純利益率5.6%9.1%

本業の実力は変わっていないのに、当期純利益率は5.6%から9.1%に跳ね上がります。経常利益率は8.0%のまま動いていません。

(補足:実際の税額は、法人税等の計算に従って決まります。30%は説明用の仮の数字です。)

費用の側から見る:原価率・販管費比率・金融費用比率

ここからが、コインの裏側、費用の話です。動画は3つの指標を、利益の指標と1組ずつ結びつけて紹介します。

  • 売上高売上原価率:売上高に対する売上原価の割合。売上高総利益率と表裏一体で、原価率が高ければ総利益率は低くなる。
  • 売上高販管費比率:売上高に対する販管費の割合。高ければ販売や管理のコストが高い、つまり本業の効率がよくないということで、営業利益率を押し下げる要因になる。
  • 売上高金融費用比率:売上高に対する支払利息などの金融費用の割合。高ければ金利負担が重く、経常利益率が低くなる大きな原因になる。
売上高1000(100%)- 売上原価 600(売上原価率 60%)売上総利益400(40%)- 販管費 300(販管費比率 30%)営業利益100(10%)+ 営業外収益 10 - 支払利息 30経常利益80(8%)設例:売上高1000の会社(特別損益なし)
売上高に対する各段階の利益と、引かれた費用の割合です。

設例の会社で数字を並べると、図のようになります。売上原価率60%と売上高総利益率40%を足すと100%、売上高総利益率40%から販管費比率30%を引くと営業利益率10%です。聞き手の「利益の指標と費用の指標をセットで見るとすごく分かりやすい」という感想のとおり、1組ずつ並べると関係が見えます。

(補足:動画の単純化の補足です。経常利益率は、営業利益率から金融費用比率だけを引いて決まるわけではありません。図の会社では、営業利益率10%に、営業外収益の比率1%を足し、金融費用比率3%を引いて、経常利益率8%になります。)

効率性:資産を使って、どれだけ売上を生むか

ここまでは収益性、つまり利益を出す力でした。次は、どれだけ効率よく稼いでいるかを見る効率性です。動画によれば、企業が持つ資産(人、物、金)をどれだけ上手に使って売上を生み出しているかを表します。効率性の指標は、単位がパーセントではなく「回」になる点が特徴だと話されます。

売上高 1000総資本が 500 の会社総資本 500総資本 5001000 ÷ 500 = 2.0回総資本が 250 の会社2502502502501000 ÷ 250 = 4.0回
同じ売上でも、使った資本が小さいほど「回」の数は増えます。

動画が取り上げる3つの回転率は、分母に置く資産が違います。

指標と計算式低いと考えられること
有形固定資産回転率
売上高 ÷ 有形固定資産
稼働率が低い、店舗の拡大しすぎ、設備の老朽化
棚卸資産回転率
売上高 ÷ 棚卸資産
在庫が過剰、売れ行きの悪い商品(不良在庫)
総資本回転率
売上高 ÷ 総資本
資本に対して売上が小さい(効率が悪い)可能性

有形固定資産回転率は、工場、機械、店舗といった有形固定資産が、どれだけ効率的に売上を生み出しているかを示します。低いときの原因として、動画は、工場の稼働率が低い、無計画に店舗を拡大しすぎた、設備が老朽化して生産性が落ちている、などを挙げます。聞き手は「資産が遊んじゃってる状態が見える」とまとめます。

棚卸資産回転率は、製品や商品といった在庫がどれだけ効率よく販売されているかを示します。低いのは、在庫が過剰だったり、売れ行きの悪い商品を抱えていたりする可能性を示し、聞き手はこれをいわゆる不良在庫と言い換えます。

総資本回転率は、会社全体の資産効率を見る指標です。総資本は、負債と純資産を合わせたものです。高いほど、少ない資本で大きな売上を上げている、つまり効率的な経営ができていると評価できる、というのが動画の説明です。

資産の合計 500(総資本と同額)有形固定資産250棚卸資産100その他の資産150有形固定資産回転率 = 1000 ÷ 250 = 4.0回工場・機械・店舗が、売上を生む効率棚卸資産回転率 = 1000 ÷ 100 = 10.0回製品・商品の在庫が、売れていく効率総資本回転率 = 1000 ÷ 500 = 2.0回会社全体の資産の効率設例:売上高1000の会社
回転率は、分母にどの資産を置くかで見えるものが変わります。

設例の会社(売上高1000)で計算すると、図のとおりです。同じ売上でも、分母が小さい棚卸資産では10.0回、分母が大きい総資本では2.0回と、回転率の水準は分母によって大きく変わります。回転率どうしの大小を比べるのではなく、同じ指標を、同業他社や自社の過去と比べるのが基本です。

(補足:動画の説明を補います。①設備が老朽化して帳簿上の金額が小さくなると、有形固定資産回転率はかえって高く出ることがあるとされています。数字だけで判断せず、設備の実態もあわせて見るのが安全です。②分母に、期末の残高を使うか、期首と期末の平均を使うかは、資料により異なります。)

指標は単独で見ない:パズルのピースとバックミラー

聞き手は、収益性と効率性の指標が「パズルのピースのように組み合わさって1つの企業の姿を浮かび上がらせる」と感想を述べます。講師は、大事なのは、これらの指標を単独で見ないことだと言います。互いに関連づけ、業界平均や、その会社の過去の実績と比較することで、分析はさらに深まる、という話です。

動画の最後には、視聴者への問いかけがあります。今回見てきた指標は、すべて過去の実績から計算されたものです。これは、車のバックミラーを見ているようなものかもしれない。そこに映った景色から、これから進むべき未来の道筋をどう描くか。どの強みを伸ばし、どの弱点を克服することが企業の持続的な成長につながるのか。数字の先にある戦略を考えることこそ、診断士に求められる本質的な力なのかもしれない、という締めくくりです。

バックミラー

バックミラーは動画のたとえです。後ろの景色は、いまの位置を知る手がかりにはなりますが、前の道そのものは映しません。財務指標も同じで、過去の結果から現状を読み、そこから先の戦略を考えるのは診断士の仕事、というのが動画の問いかけです。

まとめ

この回のまとめ

  • 収益性は、利益の側(売上高利益率)と費用の側(売上高に対する費用の割合)の裏表で見る。
  • 売上高総利益率は商品そのものの儲ける力、売上高営業利益率は販管費まで引いた本業の稼ぐ力、売上高経常利益率は金融費用なども含めた総合力。
  • 売上高当期純利益率には特別利益・特別損失が含まれるため、他社や過去との比較には使いにくい傾向がある。
  • 売上原価率・販管費比率・金融費用比率は、それぞれ総利益率・営業利益率・経常利益率と結びつけて読む。
  • 効率性の指標は回転率で、単位は「回」。有形固定資産、棚卸資産、総資本のどれを分母にするかで見えるものが違う。
  • 指標は単独で見ず、業界平均や過去の実績と比べる。過去の数字から、これからの戦略を考えるのが診断士の仕事、と動画は結ぶ。
LISTEN

動画で聞く

NEXT

続けて読む