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株価の指標をまとめて解説『多くの受験生が苦手意識を持つ株価の指標について、徹底的に解剖』

財務・会計 第12回

財務・会計・資金調達・企業価値評価 00520分2026年2月19日公開

「多くの受験生がちょっと苦手意識を持ってしまう株価の指標について徹底的に解剖していこうかなと」。動画はこんな言葉から始まります。このページでは動画の流れにそって、5つの大文字と2つの小文字の記号、略語を分数にする黄金法則と例外のDOE、PBRの1倍割れ、過去の試験のデータを使ったパズル問題、サステナブル成長率をまとめました。まず動画を聞いて、あとからここで復習するのがおすすめです。

略語が並ぶと丸暗記に頼りがち。でも今回の目的は暗記ではない

動画は、隙間時間に学習を進めている受験生へのねぎらいから始まり、「多くの受験生がちょっと苦手意識を持ってしまう株価の指標について徹底的に解剖していこうかなと」という話に入ります。DPS、PER、PBRと、見た目の似たアルファベット3文字の略語が並ぶと、どうしても丸暗記に頼りがちになる分野です。

ただ、動画が掲げる今回の最大のミッションは、用語の暗記ではありません。試験で、複数の指標をかけたり割ったりして答えを導く、いわゆるパズル問題を、短時間で試行錯誤せずにスムーズに解くこと。そのための道具が記号化テクニックです。各指標の元になる項目を1文字の記号に置き換え、分数の式として扱います。動画によれば、トップクラスの受験生は、問題を見た瞬間に頭の中で、式をこの記号に変換しているそうです。

  • 5つの大文字と2つの小文字を覚える。
  • 略語を分数に直す「黄金法則」と、その例外を知る。
  • 配当、利益、純資産の指標を、記号の式で整理する。
  • 試験の問題を、記号で解いてみる。
  • 最後に、サステナブル成長率の式から、企業の姿勢を考える。

土台になる、5つの大文字と2つの小文字

まずは、元の英単語をイメージしながら、5つの大文字を確認します。動画では、聞き手が1つずつ答える形で進みます。

SShare発行済株式総数DDividend配当額PPrice時価総額EEarnings当期純利益BBook value純資産d = D÷S1株あたりの配当金p = P÷S1株あたりの株価小文字 × 発行済株式総数S = 大文字d×S=D  p×S=P
S以外の大文字は会社全体の金額、小文字は1株あたりの金額です。
  • S:発行済株式総数。英語のShare(株式)。
  • D:配当額。Dividend。
  • P:時価総額。Price。
  • E:当期純利益。Earnings。
  • B:純資産。Book value(簿価)。

S以外の大文字は、どれも会社全体の金額です(Sは株数です)。ここに、1株あたりの金額を表す小文字が2つ加わります。

小文字のdは、1株あたりの配当金です。配当額である大文字のDを、1株あたりにしたものですね。

なるほど。全体のDに対して1株あたりだから、小文字のdになる。

そうです。同様に、小文字のpは1株あたりの株価で、時価総額Pの1株あたりバージョンです。

全体の金額を表す大文字と、1株あたりの金額を表す小文字、という関係ですね。

ええ。ということは、1株あたりの金額に発行済株式総数Sをかければ、全体の金額に戻ります。

あ、そうか。数式で言うと、d×S=Dになる。

はい。そして、p×S=Pです。この論理的なつながりを頭の片隅に置いておくと、後の理解がスムーズになります。

略語を分数に変える「黄金法則」

ここから動画は、記号化テクニックの真骨頂に入ります。DPSやPERなど、3文字で表される指標の多くは、分数の形で表せます。講師が示す法則は、「略語の前の文字を、略語の後ろの文字で割る」。聞き手が「前の文字を後ろの文字で割る」と繰り返すと、講師は「正確に言うと、略語の前の文字、略語の真ん中の文字、略語の後ろの文字という形ですね」と言い直します。この法則を念頭に置けば、複雑な分数の公式をいちいち丸暗記しなくて済み、試験での認知負荷を大幅に下げられる、というのが動画の主張です。

分母 SDPSD÷SEPSE÷SBPSB÷S分母 P配当利回りD÷P分母 E配当性向D÷EPERP÷E分母 BDOED÷BPBRP÷BROEE÷B
分母ごとに並べると、約分でどれが消えるかが見えます。DOE は黄色で示しました。

(補足:動画の言い直しを整理すると、次のようになります。DPS、EPS、BPSのように「パーシェア(1株あたり)」で終わる指標は、後ろのS(株式数)で割ります。PERやPBRのようにレシオ(比率)で終わる指標は、前の文字を真ん中の文字で割ります。この整理は動画の説明ではないので、指標ごとに分母を確かめながら使ってください。)

配当の指標:DPS・配当利回り・配当性向

では、法則が実際にどう働くか、配当に関する指標から順に見ていきます。

指標記号の式意味
1株当たり配当金(DPS)d=D÷S1株にいくら配当が出るか
配当利回りd÷p(=D÷P)株価に対する配当の比率
配当性向D÷E当期純利益のうち配当に回した割合

なお、配当利回りと配当性向は日本語名の指標で、略語の文字ではなく、記号の意味(Dが配当額、Pが時価総額、Eが当期純利益)から式を作ります。DPSは、前のDを後ろのSで割るので、D÷S。先ほど確認した小文字のdと同じ意味です。配当利回りは、投資した株価に対してどれくらいのリターンが配当で返ってくるかを見る指標で、小文字ならd÷p、大文字ならD÷Pと書けます。どちらで書いても同じ値になります。

配当性向は、企業が稼いだ当期純利益のうち、どれだけを株主への配当として還元したかを示します。利益のE、配当のDでD÷E。動画では、この数字から、積極的に利益を還元する会社なのか、内部に留保する会社なのかが読み取れるとされ、聞き手は企業の配当政策を測る指標だと受けています。

最大の罠:DOEは例外

ここで動画は、受験生が陥りやすい罠として、株主資本配当率(DOE)を取り上げます。株主から調達した資本、つまり純資産に対して、どれだけ配当で還元しているかを示す指標です。

出ましたね、要注意の例外指標。

DOEなんですが、分数の形にするとき、さっきの黄金ルールが通用しません。純資産、つまりBに対する配当のDの割合なので、式はD÷Bになります。

試験では、この例外をついて混乱を誘う引っかけ問題が出やすいと。

その通りです。だからDOEを見たら、即座にD÷Bと変換できるように、強く印象づけて警戒しておく必要があります。

(補足:動画の「例外」についての補足です。DOEも、あとで出てくるROEも、末尾の「E」はEquity(自己資本・株主資本)のことで、記号のE(当期純利益)とは別物です。動画はDOEの分母を純資産Bとして説明していますが、分母の呼び方は、資料により「株主資本」「自己資本」「純資産」とさまざまです。問題文の定義に従ってください。)

利益と純資産の指標:EPS・PER・BPS・PBR

指標記号の式意味
1株当たり当期純利益(EPS)E÷S1株が稼いだ利益
株価収益率(PER)P÷E利益に対する株価の倍率
1株当たり純資産額(BPS)B÷S1株に含まれる純資産
株価純資産倍率(PBR)P÷B純資産に対する株価の倍率

EPSは、利益のEを株式数のSで割るので、E÷S。PERは、動画では「最初の株価Pを、真ん中の利益Eで割る」と説明され、P÷Eです。株式市場で株価が割安かどうかを判断する代表的な指標だとされます。BPSは、純資産のBを株式数のSで割ってB÷S。PBRは、株価のPを純資産のBで割ってP÷Bで、PERと並んで重要な指標です。聞き手は、PBRも割安度を測る指標だが、収益ではなく持っている資産を基準にしている点がポイントだ、と整理します。

PERが小さい、つまりP÷Eの分数が小さいということは、稼ぐ力であるEに対して、株価Pが相対的に低い水準にとどまっているという意味ですよね。だから割安だと。

ええ。熱心な投資家からすれば、収益があるのに株価が安い、いわゆるお買い得な銘柄を探すためのセンサーとして機能しているわけです。

(補足:動画の言い方の補足です。PERが低いからといって、必ず割安とは限りません。事業の将来性や業種によって、PERの水準は異なるとされています。動画は、割安かどうかを判断する指標のひとつとして紹介していると受け止めてください。)

PBRが1倍を割ると、何が起きているのか

動画は、PBRの意味をもう一段深く理解するために、PBRが1より小さい、いわゆる1倍割れの状態になっているとしたら何を意味するのか、と問いかけます。聞き手は、PBRの式P÷Bで、1より小さいということは、分母の純資産Bよりも、分子の時価総額Pのほうが小さいということですね、と整理します。

純資産 B(帳簿上):1,000万円時価総額 P(株価×株式数):800万円PBR = P÷B = 800÷1,000 = 0.81倍割れ:時価総額が純資産を下回る
数値は動画にない設例です。時価総額のほうが短い状態が1倍割れです。

講師の説明はこうです。企業の持つ純資産の価値よりも、市場で評価されている株価の総額のほうが安い。これは市場経済では、ある種の異常事態といえる。理論上は、その会社の株式をすべて買い占め、会社を解散して純資産をすべて売り払えば、手元に利益が残るからです。聞き手は、つまり市場は、事業を続けるより解散して資産を分配したほうが価値が高いと見ているわけですね、と言い換えます。講師は、だからPBRが1倍を恒常的に割っている企業は、常に買収のリスクにさらされていると評価される、と続けます。

(補足:動画の説明は、理屈を分かりやすく単純化した例えです。純資産は帳簿上の金額で、資産を実際に売って得られる金額と同じとは限りません。また、解散や売却にも費用がかかります。「1倍割れなら必ず解散したほうが得」と読まないようにしてください。)

株価指標ではないが、頻出:ROEとサステナブル成長率

動画は、株価の指標ではないものの、パズル問題によく出る指標を2つ追加します。1つ目はROE(自己資本利益率)。純資産を使ってどれだけ利益を上げたかを示すので、利益のEを純資産のBで割ってE÷Bです。

2つ目はサステナブル成長率(持続成長率)。銀行などの外部からの資金調達に頼らず、内部留保だけを事業に再投資した場合に、純資産をどれだけ成長させられるかを示す指標です。公式はROE×(1-配当性向)。記号に置き換えると、ROEはE÷B、配当性向はD÷Eなので、E÷B×(1-D÷E)になります。これで、パズル問題を攻略するためのピースがそろったと動画は言います。

実戦:過去の試験のデータをパズルとして解く

動画は、実際の試験を想定した練習として、E社のデータを題材にします(動画では令和5年再試験のデータと紹介されています。出題年度や問題番号は、この記事では確認していません)。与えられているのは、配当性向36.00%、DOE(株主資本配当率)3.42%、PER16.00倍。設問1でROEを、設問2で配当利回りを求めます。

動画が示す最初のステップは、数字を見る前に、与えられた指標をすべて記号の式に変換することです。

  • 配当性向:D÷E=0.36
  • DOE(例外):D÷B=0.0342
  • PER:P÷E=16.00

次に戦略です。設問1で求めるROEはE÷B。手元の2つの式D÷EとD÷Bには、どちらにもDが入っています。分子にDがある分数どうしなので、一方を他方で割れば、Dが約分で消えるはずです。D÷BをD÷Eで割ると、割る方の分母と分子をひっくり返してD÷B×E÷D。Dどうしが約分されて、E÷Bだけが残ります。あとは数字を入れるだけで、0.0342÷0.36=0.095。答えは9.50%です。

設問2の配当利回りはD÷P。手元にあるのは配当性向D÷EとPERのP÷Eで、今度はどちらも分母にEがあります。邪魔なEを消すため、D÷EをP÷Eで割ります。D÷E×E÷P、つまりEが約分で消えてD÷Pが残ります。0.36÷16.00=0.0225、答えは2.25%です。

DOED÷B = 3.42%配当性向D÷E = 36%上 ÷ 下D が約分で消える設問1 ROEE÷B3.42÷36 = 9.50%配当性向D÷E = 36%PERP÷E = 16倍上 ÷ 下E が約分で消える設問2 配当利回りD÷P0.36÷16 = 2.25%
与えられた2つの式を割り算して、余計な文字を消します。

動画は、文字にして見比べることで、当てずっぽうの試行錯誤が本当に不要になる、と言います。問題用紙の余白にS、D、P、E、Bの記号と分数をさっと書き出してパズルを紐解く、というのが動画の勧める戦術です。

1社の数字で通しで確かめる(動画にない設例)

動画のE社の数字を、1つの会社にまとめてみます。ここからは、動画にない数値例です。発行済株式総数10,000株、純資産1,000万円、当期純利益95万円、配当額34.2万円、株価1,520円(時価総額1,520万円)とします。

指標計算結果
DPS34.2万円÷10,000株34.2円
配当利回り34.2÷1,5202.25%
配当性向34.2÷9536%
DOE34.2÷1,0003.42%
EPS95万円÷10,000株95円
PER1,520÷9516倍
BPS1,000万円÷10,000株1,000円
PBR1,520÷1,0001.52倍
ROE95÷1,0009.5%
成長率9.5%×(1-0.36)6.08%

動画の数字(配当性向36%、DOE3.42%、PER16倍)が、そのまま出てきます。ROEは9.5%、配当利回りは2.25%で、動画の答えと一致しました。記号の式から、ほかの関係も作れます。E÷B×D÷E=D÷Bなので、DOE=ROE×配当性向(9.5%×36%=3.42%)。P÷E×E÷B=P÷Bなので、PBR=PER×ROE(16×9.5%=1.52倍)です。

配当を0にしたら? 数式の裏にある企業の姿勢

動画の最後は、数式の背後にある企業の哲学についての問いです。サステナブル成長率の式ROE×(1-配当性向)で、もし企業が配当を一切やめて0にしたとします。配当性向は0%、(1-0)は1なので、サステナブル成長率はROEと完全に一致します。講師は、数学的には、配当を0にして稼いだ利益のすべてを内部留保に回し、事業に再投資し続けることで、持続可能成長率は最大化される、と説明します。

全体の長さ=ROE 9.5% 濃い部分=成長率配当性向 0%9.50%配当性向 36%6.08%配当性向 100%0%成長率 = ROE × (1-配当性向)配当をゼロにすると、成長率は ROE と同じになる
数値は動画にない設例です。配当に回す割合が増えるほど、成長率は下がります。

そこで動画は問いかけます。あなたが投資家だとして、高い配当を出して現在の株主を満足させる経営と、配当を我慢させてでも内部留保を最大化して大きな成長にかける経営と、どちらの株主になりたいか。聞き手は「今すぐの安定したリターンか、未来の最大化された成長か」と受け、講師は、サステナブル成長率という1つの数式は、企業がどちらの未来を選択しようとしているかを、数字の裏にある哲学として物語っている、とまとめます。動画は、どちらが正しいという答えは示しません。

(補足:動画にない設例の数字で見ると、配当性向が0%なら成長率は9.50%、36%なら6.08%、100%なら0%です。ただしこの式は、ROEが今後も同じ水準で続くと仮定した簡単な式とされています。実際の企業が、そのとおりの速さで成長するとは限りません。)

まとめ

この回のまとめ

  • 記号は大文字5つ(S:発行済株式総数、D:配当額、P:時価総額、E:当期純利益、B:純資産)と、小文字2つ(d:1株あたり配当金、p:1株あたり株価)。小文字×S=大文字。
  • 動画の黄金法則は、略語を分数に直す方法。前の文字を、後ろか真ん中の文字で割る。略語の文字で作れるのは、DPS=D÷S、EPS=E÷S、BPS=B÷S、PER=P÷E、PBR=P÷B。配当利回り=D÷P、配当性向=D÷Eは日本語名の指標なので、記号の意味から作る。ROE=E÷Bは別枠で、DOEと同じく略語の文字の並びでは作れない。
  • 動画が警戒を促す例外はDOE。D÷Bと変換する(動画の説明)。
  • PBRが1倍を割るのは、時価総額が純資産より小さい状態。動画は買収リスクの話として説明する(解散の話は単純化した例えとして読む)。
  • パズル問題は、与えられた指標を記号の式に直し、割り算で余計な文字を約分して消す。動画の例では、ROE=DOE÷配当性向=9.50%、配当利回り=配当性向÷PER=2.25%。
  • サステナブル成長率=ROE×(1-配当性向)。配当を0にするとROEと一致する(動画の説明)。

動画は、数字を暗記するのではなく、記号に直して考える習慣を持つことが、試験での強い武器になると呼びかけて終わります。自分で式を書き出しながら、もう一度動画を聞いてみてください。

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