独立組織とバウンダリースパニングで大企業がベンチャーに勝つ仕組み
企業経営理論 第20回
「ある業界トップの大企業が、莫大な予算と何年もの歳月をかけて革新的なプロジェクトを進めている。ところが、世に出す直前に、どこかのガレージで起業したばかりの数人のチームが、まったく同じアイデアを半分の時間とコストで市場に出してしまう」。動画はこんな想像から始まります。このページでは動画の流れにそって、社内ベンチャー、リバースエンジニアリング、バウンダリー・スパニング、ステージゲートの4つを、試験で問われやすい点とあわせてまとめました。まず動画を聞いて、あとからここで復習するのがおすすめです。
巨大企業が、身軽なスタートアップに負ける理由
動画は、こんな想像から始まります。ある業界トップの大企業が、莫大な予算と何年もの歳月をかけて、革新的なプロジェクトを進めています。ところが、世に出す直前になって、ガレージで起業したばかりの数人のチームが、まったく同じアイデアを、半分の時間とコストで市場に出してしまう。現実のビジネスの最前線では、毎日のように起きている光景だといいます。
お金も優秀な人材も豊富な巨大企業が、なぜ身軽なスタートアップにあっさり負けてしまうのか。動画の答えは、技術力の差というより、組織の構造やマネジメントの仕組みそのものにあることが多い、というものです。(もちろん負ける理由は仕組みだけではありません。ここでは動画の見立てにそって、「仕組みの問題」として整理していきます。)
動画は、イノベーションを魔法のようなものとは見ません。実際は、とても泥臭くて、計算されたマネジメントの連続だといいます。既存の枠組みをどう扱うか。アイデアをどう検証するか。無駄な失敗をどう防ぐか。こうした具体的な手法を見ていくと、組織のあり方が立体的に見えてくる、という流れです。取り上げるのは、次の4つの用語です。
- 社内ベンチャー:既存の枠組みから独立した社内組織で、新規事業や新製品を生み出す。
- リバースエンジニアリング:既存の製品を分解・解析して、仕組みを解明する。
- バウンダリー・スパニング:組織の境界を越えて、外部の関連組織や環境と連携する。
- ステージゲート:多数の開発プロジェクトから、有望なものを効率的に選別する。
どれも、診断士試験の「企業経営理論」で、新製品開発や研究開発のマネジメントとして出てくる用語です。
社内ベンチャー:本体から切り離した小型ボート
最初のテーマは、巨大な企業が直面する「遅さ」や「しがらみ」を打ち破るための一手、社内ベンチャーです。動画の定義では、新規事業や新製品の創出を目的として、既存の枠組みから独立した社内組織を設立することを指します。ポイントは「既存の枠組みから独立した」という部分です。
動画のたとえは、こうです。既存の大きな組織は、巨大なタンカーのようなもの。急には舵を切れません。そこで、本体から切り離した、機動力のある小型ボートを用意して、スイスイと先へ走らせる。この小型ボートが、社内ベンチャーです。
なぜ小型ボートのほうが速いのでしょうか。既存の大きな組織の中では、どうしても多層的な承認プロセスが必要になります。何をするにも会議、会議です。独立した組織体制を作れば、この意思決定のスピードを上げられます。意思決定が早くなれば、結果として開発期間を短縮できます。現場が「あの海域が面白そうだぞ」と思ったら、船長の判断ですぐに進められる、というわけです。
スピード以外のねらい:人材と事業展開
ただ、社内ベンチャーのねらいは、スピードアップだけではありません。動画は、人材面の重要なねらいを挙げます。従業員の創造性の向上と、起業家精神にあふれる優秀な人材の離職の防止です。
手続きばかりで、自分のやりたい挑戦ができない。それなら会社をやめて、自分で起業してやる。そうなってしまうのを防ぐわけですね。
そのとおりです。大企業には、本来なら起業して大成功するような優秀な人材が、たくさん眠っています。でも枠組みが硬すぎると、彼らにとっては息苦しいだけの場所になってしまいます。
だから、小型ボートを任せて、起業家精神を満たしてあげるんですね。企業にとっても、貴重な人材を手放さずに済みます。
事業展開の面でも、役割があります。いきなり大きなタンカーごと未知の海へ向かうのは、リスクが高すぎます。座礁したら大惨事です。そこで、社内ベンチャーを切り込み隊長として走らせます。すると、次のような効果が期待できます。
社内ベンチャーのねらい(動画の整理)
- 意思決定のスピードアップと、開発期間の短縮
- 従業員の創造性の向上
- 起業家精神にあふれる優秀な人材の離職の防止
- 新規分野での経験の蓄積(失敗しても本体へのダメージは小さく、得た知見は企業全体の財産になる)
- 従来の事業の枠にとらわれないアイデアの創出(主力事業のルールに縛られないので、斬新な発想が生まれやすい)
- 異業種への参入の足がかり
動画は、社内ベンチャーを「単なる別働隊ではない」といいます。人材を引き止めるいかりでもあり、未来を開拓する先遣隊でもある。そんな二つの顔を持つ、という見方です。
(補足:動画にない話です。社内ベンチャー制度の実際の姿は、従業員からアイデアを募り、優れた案に会社が資金を出して、子会社や別部門、関連会社などとして立ち上げるものです。主に資金力のある大企業が行いますが、中小企業にも取り入れている例があります。例として、三菱商事の社内ベンチャー制度から生まれたスマイルズ(スープストックトーキョーを展開)があります。)
(補足:動画は「独立」と「スピード」を強調しますが、完全に切り離された別会社ではありません。社内ベンチャーは、親会社の管理のもとで自律性を保つ組織です。そのため、事業の開始や展開に組織的な承認が必要で時間がかかる、既存事業を脅かすようなビジネスは認められにくい、といった弱点も指摘されます。また、会社の資金を受けるので、独立した起業ほど自由には動けない場合もあります。)
(補足:動画にない話です。会社の中にいながら起業家のように動く人を「イントラプレナー(社内起業家)」と呼びます。この言葉を広めたとされるのが、ギフォード・ピンチョット三世の1985年の著書『Intrapreneuring』です。)
試験の注目点:社内ベンチャーは「枠にとらわれない」ための組織
- 社内ベンチャーは、本業や既存事業の考え方の枠の中で進めるための組織ではありません。枠にとらわれない発想を生み、本業と異なる事業への進出や、根本的に異質な製品開発をねらって設置されることが多い組織です。
- 新規事業について学ぶ「学習装置」としても働きます。
- 既存の社内の意思決定プロセスに合わせるより、自律性が重んじられます。ただし親会社のもとにあるので、まったく自由ではありません。
- 過去にも、社内ベンチャーの性格を問う出題があります(令和元年度)。動画の「既存の枠組みから独立」というキーワードと、「異質な事業・製品」「創造性」をセットで覚えておくと、選択肢を切りやすくなります。
リバースエンジニアリング:完成品から作り方をさかのぼる
組織の枠組みを柔軟にするアプローチがわかったところで、次は、そのボートの中で、あるいは企業全体として、研究開発をどうマネジメントするかです。ここからは、研究開発のマネジメント関連用語が3つ続きます。1つ目がリバースエンジニアリングです。
動画の定義は、こうです。他社などの既存の製品を分解・解析することで、その構造や動作メカニズム、製造工程、設計仕様、プログラムのソースコードなどを解明する手法のこと。ゼロから真っ白なキャンバスに絵を描くのではなく、すでに完成している既存の製品を徹底的にバラバラにして、背後にある仕組みを暴き出すプロセスです。
料理にたとえると
動画は、有名レストランの美味しい料理にたとえます。「この味はどうやって出しているんだろう」と、味から食材や調理法を推測していく。これも似ていますが、リバースエンジニアリングは、単なる味の推測よりはるかに科学的で徹底しています。
- どんなスパイスが入っているかを探るだけでなく、そのスパイスを何度の熱で何分間加熱したのかまで調べる。これが製造工程にあたります。
- さらに、なぜこの順番で食材を入れるレシピになっているのかまで分析する。これが設計仕様のレベルです。
ハードウェアなどの物理的な製品に限った話でもありません。ソフトウェアの世界でも、既存のアプリケーションを解析して、プログラムのソースコードなどを解明することは、重要な手法です。既存の製品から学ぶことは、自社の開発スピードを上げる強力な手法になります。
(補足:「リバース」は「逆」という意味です。ふつうの開発は、設計仕様をつくり、製造工程を整えて、完成品に至ります。リバースエンジニアリングは、この向きを逆にして、完成品から仕様や製造工程へさかのぼります。解説では、開発コストの削減と開発期間の短縮につながること、設計図や仕様書がなくても製品を復元できることが、メリットとして挙げられます。)
(補足:動画にない話ですが、法律面の注意も押さえておきましょう。リバースエンジニアリングそのものが、一律に違法というわけではありません。ただし、解析で得た技術を使って製品を作ると、特許権や意匠権、著作権などを侵害することがあります。また、ライセンス契約で解析が禁じられている場合もあります。他社の製品を正規のルートで買った場合は、買った製品の所有権が自分に移るので、使い方に制限は少ないとされます。一方、不正に入手した他社の試作品を解析するのは、不正競争防止法上の問題になりえます。どこまで許されるかは、事案ごとの判断になり、資料によって説明のしかたも違います。)
(補足:経済産業省の「営業秘密管理指針」には、関連する裁判例が紹介されています。製品を解析して秘密の情報に近い情報を得るには、専門家が多額の費用をかけて長時間分析する必要があるとして、その情報は「公然と知られていない(非公知性)」と認めた例があります。反対に、一般に利用できる成分分析で、市場に出回る製品の合金の種類や配合比率が容易にわかるとして、非公知性を認めなかった例もあります。解析が簡単にできる情報は、それだけ秘密として守りにくい、ということです。)
バウンダリー・スパニング:境界を越えて外とつながる
ここで聞き手が、鋭い疑問を挟みます。既存の完成品からいくら学んでも、結局は既存の枠の中の知識にとどまってしまうのではないか。内部にとどまらず、まったく違う外部から新しい知識を得るにはどうすればいいのか。この問いに答えるのが、次の用語バウンダリー・スパニングです。
動画の定義は、組織間の境界を超えて活動することです。具体的には、新製品開発において、自社の各部門が、外部の関連組織や環境と密接に連携・協力することを指します。バウンダリー(boundary)は「境界」、スパニング(spanning)は「またぐ、橋をかける」という意味です。
「秘密にしたほうが安全」ではないの?
ここで、聞き手がもう一つ、素朴な疑問を投げかけます。
新製品の開発って、ライバルに知られてはいけないトップシークレットですよね。外部と距離を置いて、自社内だけで秘密裏に進めたほうが、情報漏洩のリスクもなくて安全なんじゃないですか。
鋭い指摘です。分厚い壁の中に閉じこもっていれば、情報が漏れるリスクは最小限にできます。でも今のビジネス環境では、自社内だけで秘密裏に進めようとすること自体が、かえって致命的なリスクになりえます。
安全策を取ることが、リスクになるんですか。どうしてでしょう。
どんなに巨大で優秀な企業でも、自社が内部に抱え込める知識や技術には、必ず限界があるからです。殻に閉じこもったままだと、市場の急激な変化や、まったく新しい技術の進化のスピードに取り残されてしまいます。
だからこそ、自社の各部門が、外部の関連組織と密接に連携する必要があります。連携の相手は、大学の研究機関であったり、異業種のパートナーであったりします。外部の環境と協力することで、新しいアイデアや最先端の技術を、自社に取り込めるのです。
動画はこれを、こうまとめます。内部の機密を守るための壁を、いかにして、情報が行き来する柔軟な境界に変えていくか。それがバウンダリー・スパニングの真髄だ、と。
(補足:「柔軟な境界」といっても、何でも公開するという意味ではありません。外部と組むときは、何を共有して何を守るのかを、あらかじめ決めておくことが大切です。壁をなくすのではなく、壁に「出入り口」を設ける、とイメージするとよいでしょう。)
(補足:動画にない話です。バウンダリー・スパニングは、もともと組織論の研究から出た考え方です。1970年代に、組織と環境をつなぐ「境界での役割」が研究されました。たとえば、アルドリッチとハーカーが1977年に、境界の役割と組織の構造の関係を論じています。同じ年にタッシュマンも、研究所での特別な境界の役割を扱いました。研究開発組織では、外部の技術情報を社内に取り込んで伝える人を「ゲートキーパー」と呼ぶ研究もあります。さらにアンコナとコールドウェルは1992年に、新製品開発チームの外部とのやり取りを調べ、やり取りの量だけでなく種類が成果に関係すると示しました。動画の定義は、こうした広い考え方を、新製品開発の場面に絞って言い表したものと考えるとよいでしょう。)
試験の注目点:連携の相手は「外部」
- バウンダリー・スパニングは、「自社の各部門が、外部の関連組織や環境と連携する」ことです。「組織内の各部門が」と書かれるので社内の話に見えますが、連携する相手は外部です。社内の部門どうしの調整とは、区別しておきましょう。
- 過去にも出題があります(平成30年度)。「境界を越える」「外部と連携」「新製品開発」の3つのキーワードを手がかりにしてください。
- 言葉が似ているので注意:ステージゲートの「ゲートキーパー」は、審査をする上級管理者のことです。研究開発組織の「ゲートキーパー」は、外部の情報を社内に橋渡しする人を指します。別の意味です。
ステージゲート:アイデアの洪水から有望なものを選び抜く
ここまでの流れを振り返りましょう。社内ベンチャーで組織を独立させてスピードを上げ、リバースエンジニアリングで既存の技術を解析し、バウンダリー・スパニングで外部とも連携してアイデアを広げました。ところが、こうしてアイデアや技術をどんどん広げると、最終的にものすごい数の候補が集まります。いわゆるアイデアの洪水です。企業のリソースには限りがあるので、その中から本当に価値のあるものだけを、どうやって選び抜くのか。ここで登場するのが、ステージゲートです。
ステージゲートとは、多数の開発プロジェクトや技術テーマから、有望なものを効率的に選別するための管理手法です。やり方はこうです。
- 開発プロセスを、複数の段階(ステージ)に分ける。
- 各段階の移行時に、評価審査の門(ゲート)を設ける。
- ゲートを通ったものだけが、次のステージに進む。
- 最終的な審査を通過した製品のみを、市場に投入する。
オーディション番組にたとえると
動画は、多数の参加者がいるオーディション番組にたとえます。最初は何万人という候補者がいて、まず書類選考という最初のゲートがあります。そこを通過した人だけが、次のステージである地方予選に進み、さらに厳しい審査の門を経ていきます。
オーディションでも、最初から応募者全員に高額なボイストレーニングを受けさせたりはしません。そんなことをしたら、番組の予算が吹き飛んでしまいます。企業の研究開発もまったく同じです。初期のステージでは、ほとんど予算をかけず、簡単な調査だけで最初の評価審査にかけます。そこから複数の段階を経て、見込みのないものは早い段階でストップさせます。そうして、限られた予算と人材を、本当に有望な技術テーマだけに集中させられます。有望なものを効率的に選別できるのが、ステージゲート最大のメリットだ、と動画はまとめます。
(補足:動画にない話です。ステージゲートは、ロバート・クーパー(Robert G. Cooper)が広めた新製品開発の管理の枠組みです。クーパーが1990年に雑誌『Business Horizons』に論文を書いています。ステージゲートという名前は、1980年代後半から使われているといいます。)
(補足:クーパー側の公式な説明では、標準的な形は、アイデア探しの段階に加えて、5つのステージと5つのゲートで構成されます。5つのステージは、(1)概念の検討、(2)事業計画づくり、(3)開発、(4)テストと検証、(5)市場への投入です。ただし、ステージの数は会社によって異なり、4〜7段階とする資料もあります。動画の「複数の段階」という言い方は、そのことを踏まえたものと考えるとよいでしょう。)
(補足:ゲートは、次のステージに入る前に通る、「続けるか、やめるか」と「資源(お金や人)をどう配分するか」を決める地点です。上級管理者が、事業としての価値や準備の状況を審査します。ゲートの結果は、Go(進める)、Kill(中止)、Hold(保留)、Recycle(やり直し)などです。公式の説明では、ステージが進むにつれて投資額が増えますが、情報の質も上がっていくので、賭け金を少しずつ増やしていくポーカーのように、リスクを管理できる、とされています。動画の「初期は予算をかけず、見込みなしは早く止める」という話は、この考え方とそろっています。)
試験の注目点:ステージゲートは「選別」の仕組み
- ステージゲートは、アイデアを広げる方法ではなく、多数の候補から有望なものを選別するための管理手法です。
- 段階(ステージ)に分け、移行時に審査の門(ゲート)を設けます。見込みのないものは早い段階で打ち切り、お金と人を有望なテーマに集中させます。
- 動画の4用語は、「独立(社内ベンチャー)」「解析(リバースエンジニアリング)」「外部連携(バウンダリー・スパニング)」「選別(ステージゲート)」と一言で言い分けられるようにしておきましょう。
4つの用語を、1本の流れでつなぐ
動画の最後の振り返りを、図にまとめました。まず、既存のしがらみから抜け出すために社内ベンチャーを設立して、意思決定のスピードを上げます。次に、既存の製品の仕組みやプログラムのソースコードなどを、リバースエンジニアリングで徹底的に解明します。さらに、自社内に閉じこもらず、バウンダリー・スパニングによって組織間の境界を越えて外部と密接に連携します。最後に、そうやって集まった多数の開発プロジェクトから、ステージゲートの厳しい門を使って有望なものだけを選別し、市場に投入します。これらが、企業が新しい価値を市場に送り出すための、確かなマネジメントの形だと動画は言います。
| 用語 | 何をするか(キーワード) |
|---|---|
| 社内ベンチャー | 既存の枠組みから独立した社内組織で新規事業・新製品を生み出す(独立・スピード・創造性・起業家精神) |
| リバース | 他社などの既存の製品を分解・解析して仕組みを解明する(構造・製造工程・設計仕様・ソースコード) |
| バウンダリー | 組織間の境界を越えて、外部の関連組織や環境と連携する(新製品開発・外部連携) |
| ステージゲート | 開発を段階に分け、移行時に審査して有望なものを選別する(ステージ・ゲート・効率的な選別) |
こうして並べると、4つの用語が役割分担していることがわかります。社内ベンチャーは「器」、リバースエンジニアリングとバウンダリー・スパニングは、器に入れる「知識の入れ方」、ステージゲートは、集まった候補の「ふるい」です。
社内ベンチャーを作って、そのまま走らせれば、うまくいくわけではないんですね。
そうです。独立しただけでは、中身の知識もアイデアも足りません。既存の製品から学び、外部とつながってアイデアを広げます。そして広がった候補は、ステージゲートで絞り込みます。全体で仕組みになっています。
最後の問い:あなた自身のステージゲートは?
動画は最後に、考えを深めるための問いを投げかけます。今日の話は、企業という大きな組織だけの話にとどまるでしょうか。たとえば、あなた自身のキャリアや個人的な目標に対して、どんなステージゲートを設けて選別できるでしょうか。いきなり全財産をつぎ込んで大きな挑戦をするのではなく、まず週末だけ小さく試してみるようなステージを作る。それも立派なステージゲートです。
あるいは、バウンダリー・スパニングのように、いつもの職場や学校の境界を越えて、まったく違う環境の人たちと密接に連携してみる。それがあなたの人生に、思いもよらないブレイクスルーをもたらすかもしれません。さらに、あなた自身の中に、既存の枠組みから独立した小さな社内ベンチャーを立ち上げる、という見方もできます。組織のマネジメント手法は、個人のスキルアップや成長戦略にも、そのまま応用できる強力なツールになります。
まとめ
- 巨大企業が身軽なスタートアップに負ける原因は、技術力より、組織の構造やマネジメントの仕組みにあることが多い(動画の見立て)。
- 社内ベンチャーは、新規事業・新製品の創出を目的に、既存の枠組みから独立した社内組織を設立すること。意思決定が速くなり開発期間が短くなるほか、従業員の創造性の向上、起業家精神のある人材の離職防止、新規分野での経験の蓄積、枠にとらわれないアイデアの創出、異業種参入の足がかりになる。
- リバースエンジニアリングは、他社などの既存の製品を分解・解析して、構造や動作メカニズム、製造工程、設計仕様、プログラムのソースコードなどを解明する手法。ハードにもソフトにも使える。
- バウンダリー・スパニングは、組織間の境界を越えて活動すること。新製品開発で、自社の各部門が外部の関連組織や環境と密接に連携・協力する。自社内だけで秘密裏に進めるのは、かえって致命的なリスクになりうる。
- ステージゲートは、開発プロセスを複数のステージに分け、移行時にゲート(評価審査)を設けて、多数の開発プロジェクトや技術テーマから有望なものを効率的に選別する管理手法。
- 4つは、独立する、学ぶ、外とつながる、選び抜く、という一本の流れで理解できる。
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